豊かな表現を大切にする方法
   中3 あうさの(ausano)  2025年5月1日

 日本人の魂の奥底には、いつも水音が響いているのである。水音を表現した擬態語、擬声語が、その微妙な音をさまざまに伝えている。オノマトペは、同質社会でこそ微妙な伝達の機能を発揮できるが、異質な風土異質な文化のなかに住む人にはさっぱり通じない。言葉がその抽象力を持って伝達し得る領域には限界がある。言葉では言い表せない別の表現を、人間は考え出してきたのだ。私は擬声語、擬音語に代表されるような豊かな表現を大切にする生き方をしたい。

 そのための方法としては第一に、耳を澄ますことだと思う。

 「とろとろとろ…」

川の流れる音が心地よい。鮮やかな木々の真ん中を流れる上流の川を思い出した。聞こえるのは川のせせらぎだけではない。鳥の囀りや葉音が交わる囁きも私の耳に届いた。耳を澄ませるのは自然だけではない。例えば、カフェに行くと、コーヒー豆を挽く音が聞こえる。その音が私はとても落ち着くから好きだ。他にもしんとした廊下などでは足音や衣擦れの音なども聞こえてくるだろう。耳を澄ますと、自分の心の中が整理されて気分が落ち着く。というメリットもある。豊かな表現を大切にするには、自分の身の回りの音を大切にして、表現の選択肢を増やすことも一つの手だと思う。

 また、第二の方法としては、言葉でたくさん紡ぐことだ。

紡ぐというのはただ情報を伝え合うということではなく、思いや丁寧さ、細やかなニュアンスまでを表現しようとすることだ。

ヘレン・ケラーは生まれてすぐに目も耳も不自由になってしまい、最初は自分の思いが伝えられず、怒ったり泣いたりするだけだった。しかし、サリバン先生と出会うことでヘレンは言葉で世界とつながる事を知り、普通の人以上にたくさんの言葉を覚え、考えを表現できるようになった。演説をしたり、本を書いたり、世界中で人権を訴えたりするほど表現豊かな人になったのだ。1913年、ニューヨークで障がいを持つ人たちにも教育とチャンスを与えようとする内容の演説を自分の体験談を交えながら語った。それを聞いた聴衆たちはみんな胸を打たれ、大きな拍手を送った。障がい者を支援する運動も広がった。ヘレン・ケラーは言葉を手に入れ、何度も話すことで、感情を込めて人々の心に届く表現力を手に入れたのだ。

 確かに耳を澄ますことも言葉で紡ぐこともどちらも大切だ。しかし、1番大切なことは「感情は抑えつけるものではない。観察するものだ。」という名言があるように、自分の感じた事を素直に受け止めることだ。冷静に感情を整理して行動することも、もちろん大切なことだと思う。ただ、私は自分自身の心の声にきちんと向き合いたいと思った。