あえさたさん、今回の作文では「言葉で表現することの難し(むずかし)さ」について非常に深い洞察(どうさつ)を示してくれましたね。
文章全体を通して、自身の経験だけでなく、家族のエピソードも交えることで、テーマに多角的に迫っ(せまっ)ています。
特に、母親の夜桜の下での表現の難し(むずかし)さに触れ(ふれ)た部分は、感じたことの大切さをうまく伝えていて印象的です。

また、文中で「まるで自分が世界の中心にいるかのよう」という表現を使っている点も素晴らしいです。
このたとえを用いることで、その瞬間(しゅんかん)の感動が読者にも伝わりやすくなっています。

さらに、一般(いっぱん)化された主題である「人間にとって言葉とは」と結論づける(けつろんづける)部分も、テーマに対する理解を深めるのに寄与(きよ)していると思います。
全体を通して、言葉にできない美しさや感動を、言葉を通じて伝えようとする努力が感じられる作文でした。

終わりに、作文の初めに触れ(ふれ)た桜の話題を再び持ち出すことで、見事に文章を一つの丸い形にまとめ上げています。
これらの要素が組み合わさることで、読む人にとっても理解しやすく、感情移入しやすい文章となっています。

[項目(こうもく)評価]
たとえがうまく使われています。
前の話や聞いた話がよく書けています。
一般(いっぱん)化の主題がよく書けています。
書き出しの結びがよく書けています。
 

森リン評価 言葉の限界と力 ha 05月2週 あえさた
字数/基準字数:
1177字/600字
思考点:95点
知識点:70点
表現点:81点
経験点:82点
総合点:83点
均衡点:1点
●語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
1200字換算
 
思考点:96点
知識点:71点
表現点:82点
経験点:83点
総合点:83点
均衡点:1点
●換算語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
●語彙の説明
語彙種類個数種類率点数説明
思考語彙27種32個84%95点考える言葉です。
理由、方法、原因などの説明の語彙。
多すぎると、説明の多い硬い文章になる可能性があります。
知識語彙48種73個66%70点難しい言葉です。
社会的な例や調べた例の語彙。
多すぎると、難しい言葉の多い重い文章になる可能性があります。
表現語彙117種190個62%81点豊かな言葉です。
話題の幅が広い語彙。
多すぎると、散漫な文章になる可能性があります。
経験語彙42種57個74%82点詳しい言葉です。
身近な例や経験した例の語彙。
多すぎると、身近な話の多い狭い文章になる可能性があります。
種類率は、60%以上が目標。70%以上の場合は多様な語彙が使われています。
1177字
 95点
 70点
 81点
 82点
字数 思考語彙 知識語彙 表現語彙 経験語彙

 


■思考語彙 27種 32個 (種類率84%) 95点
 第,。だから,。だからこそ,。つまり,。むしろ,。確か,。第,あるから,あるらしい,うまく言える,が確か,きると,ことこそ,しか言える,しよう,するため,すると,たから,たので,たらしい,と思う,ないから,のかも,は思う,人間にとって,伝えよう,言えるざる,

■知識語彙 48種 73個 (種類率66%) 70点
一望,一番,一緒,不思議,世界,中心,人間,今年,他人,体験,便利,公園,共有,前線,努力,友達,地面,夜桜,大切,完全,実感,小学,少年,展望,工夫,年生,感動,感覚,最近,本来,模倣,正直,正確,満開,状態,現実,理由,瞬間,科学,自分,表現,言葉,言語,近所,道具,限界,頂上,風情,

■表現語彙 117種 190個 (種類率62%) 81点
。確か,あいだ,あらわれ,が確か,こと,この世,これ,ころ,ごと,さ,ざわめき,するため,そこ,それ,それぞれ,ただ,とき,はるか,ひとつ,ほう,まま,もの,よう,わけ,ピンク,ライト,一,一望,一番,一緒,三,上,下,不思議,世界,中心,久しぶり,二,人,人間,今年,他人,体験,何,便利,僕,兄,公園,共有,初め,前線,努力,友達,台,地面,坂,多く,夜桜,大切,完全,実感,小学,少年,展望,山,山々,工夫,年生,心,思い,感じ,感動,感覚,方,日,昔,春,最近,木々,本来,枝,桜,模倣,正直,正確,母,気,気持ち,満開,父,状態,現実,理由,町,白,瞬間,科学,空,考え,者,耳,胸,自分,花だより,花びら,表現,言葉,言語,近所,道具,遠く,限界,雪,頂上,頬,風,風情,

■経験語彙 42種 57個 (種類率74%) 82点
あらわす,いただく,うまく言える,かかる,かねる,きる,きれる,しか言える,しれる,すぎる,できる,と思う,なでる,は思う,ふるえる,れる,付く,伝える,使う,分かる,向き合う,咲く,富む,届く,感じる,散る,歩く,照らす,生まれる,登る,立つ,笑う,聞く,見える,言い表す,調べる,足りる,透き通る,通る,達する,離れる,高鳴る,

■総合点 83点

■均衡点 1点
 

言葉の限界と力
   小6 あえさた(aesata)  2025年5月2日

  少年のころの桜はもっと長く咲いていた感じだが…と春ごとに同じ思いをくり返してきたが、今年の桜は久しぶりに長かった。「桜前線」という言葉があるが、この言葉はいただきかねる。つまるところ、昔からある「花だより」のほうが、はるかに風情に富むのである。散り初めのころのある日、枝を離れた花びらを見ていて、これが地面に達するまでのあいだの状態を、ぴたりとあらわす言葉がないのに気が付いた。

 僕は言葉で色々と表現していくことは難しいことだと思う。第一の理由は、ある体験を通してそのことを実感したことがあるからだ。それは、小学三年生のころ、兄と二人の友達と一緒に、近所の公園にある山を登ったときのことだった。長い坂を登りきると、一番上には展望台があり、そこからは町が一望できた。空は透き通るように青く、遠くの山々までくっきりと見えた。そのとき頂上に立った瞬間、まるで自分が世界の中心にいるかのように胸が高鳴り、空と自分とがひとつになったような不思議な感覚だった。風が頬をなで、木々のざわめきが耳にやさしく届いた。でもその感動を言葉にしようとしても、うまく言い表すことができなかった。ただ「すごい」としか言えず、そのもどかしさとともに、初めて言葉の限界を感じたのだった。

 第二の理由は、母も同じような体験をしたことがあると聞いたからだ。つい最近、母は父と一緒に近所を歩いていたとき、満開の夜桜の下を通りかかったという。桜はライトに照らされ、花びらがまるで白やピンクの雪のようになっていたらしい。そのときの美しさを母は言葉にしようとしたが、「うまく言えないのよね」と笑っていた。それを聞いたとき、僕は思った。やはりこの世には、言葉では完全に表現しきれない何かが確かにあるのだと。

 そこで言葉で表現しきれないものは何なのか気になったので調べてみた。すると、言葉とは本来、人が気持ちや考えを他人と共有するために生まれたものだということが分かった。つまり、どれほど多くの言葉を使ったとしても、感じたままをそのまま伝えることは難しいというのだ。ある言語科学者の言葉に、「言葉は現実の模倣にすぎない。」という言葉があるらしい。確かに、桜の美しさや心がふるえる瞬間は、人それぞれの感じ方がある。だからこそ、どんなに工夫しても、それを正確に伝えることはできないのかもしれないと思った。

 人間にとって言葉とは、ただの便利な道具ではなく、気持ちや思いを伝えようとする努力のあらわれなのだと思う。言葉にできないからといって、感じたことがなかったことになるわけではない。むしろ、どう言っても足りないほどの気持ちがあるということこそ、大切なのかもしれない。だから僕は、これからも言葉と向き合いながら、自分の心にあるものをできるだけ正直に伝えていきたいと思う。