自分の身の回りの体験と本で読んだ社会的な話題を結びつけて、深い意見にまとめられています。読んだ人の心にも残る、豊かな考察でした。

<<え2019/86jみ>>

●総評
 「便利な生活」vs「質素な生活」という対比を(じく)にして、現代社会が抱える(かかえる)問題をよくとらえています。前半ではスマホや家電の体験を通して利便性のメリットを描き(えがき)、後半ではムヒカ元大統領の質素な暮らしを紹介(しょうかい)しながら、本当の豊かさについて考えています。最後に「心の豊かさ」へと主題を総合化している点も高く評価できます。

●段落ごとの講評
第1段落(要約・主題)
 「本当に必要なのか?」という問いかけから、主題をしっかり示せています。「自分自身が満足できる暮らし方を追求する」という問題意識が明確です。

第2段落(理由A・実例)
 スマートフォン、冷蔵庫、家電、調べ学習の話を自分の生活と重ねて具体的に描写(びょうしゃ)できています。実体験が豊富で、読み手にわかりやすく説得力があります。やや内容が多めですが、よくまとめています。

第3段落(理由B・実例)
 ムヒカ大統領の話を自分の意見の裏づけとしてうまく使っています。「物質的な豊かさ」と「人とのつながり」という対比も効果的です。引用や事実の説明が自然に意見と結びついており、思考が深まっています。

第4段落(まとめ・主題の一般(いっぱん)化)
 「心の豊かさ」というキーワードにより、文章全体をきれいにまとめています。名言の引用を最後に入れたことで、印象に残る締めくくり(しめくくり)になっています。

●特に優れていた点(指導項目(こうもく)に基づく)
複数の意見・実例をあげている:スマホ・冷蔵庫・ムヒカ氏の例など、豊かな具体例が挙げられている。

ユーモア表現を入れている:軽い語り口で「スマホ一台で世界とつながる」といった表現に親しみがありました。

意見の総合化を行っている:両方の生活スタイルの良さを認めつつ、「心の豊かさ」にまとめた構成が秀逸(しゅういつ)です。

●考えを深めるための質問
 あなたが「これだけは手放したくない」と思う便利な道具は何ですか? それがなくなったとき、自分の生活はどう変わるでしょうか?
 


■思考語彙 18種 19個 (種類率95%) 72点
 確か,。しかし,。たとえば,。もちろん,。例えば,からこそ,が思う,せざる,たちにとって,だから,つくるため,できざる,できれば,と思う,は思う,使えば,者こそ,自分らしい,

■知識語彙 65種 96個 (種類率68%) 82点
世界,世界一,予報,人生,以前,余計,便利,全体,冷蔵庫,利便,南米,参考,名言,味方,在任,報酬,大事,大切,大統領,天気,姿勢,学校,実感,家族,寄付,尊重,工夫,弁当,強力,必要,手元,授業,時代,時間,普段,有効,朝食,本当,機械,機能,毎朝,気温,満足,準備,物質,生活,異例,目標,知人,確率,確認,社会,簡単,自分,自身,財団,質素,辞書,農場,追求,道具,部分,降水,電子,食材,

■表現語彙 139種 219個 (種類率63%) 91点
 確か,あまり,いちばん,おかげ,かけがえ,きみ,こと,さ,さん,それ,それぞれ,それら,たち,つくるため,つながり,とき,ところ,ひとつ,もの,ゆとり,よう,ウルグアイ,スマ,スマート,トースター,フォン,ホ,ホセ,ライフスタイル,リーダー,レンジ,一,世の中,世界,世界一,中,予報,人,人生,今,介,以前,余計,便利,全体,冷蔵庫,利便,化,南米,参考,台,名言,味方,国,在任,型,報酬,多く,夢,大事,大切,大統領,天気,姿勢,学校,実感,家,家族,寄付,尊重,工夫,年,年寄り,幸せ,弁当,強力,当たり前,心,必要,性,意,手元,授業,数,方,時代,時間,普段,暮らし,書,有効,服,朝食,本,本当,機械,機能,毎朝,気温,満足,準備,物,物質,生活,畑,異例,的,目,目標,真,知人,確率,確認,社会,私,秒,答え,簡単,者,自分,自身,色々,話,豊か,財団,質,質素,車,辞書,農場,近く,追求,道具,部分,降水,電子,面,食材,飲み物,

■経験語彙 47種 64個 (種類率73%) 89点
あふれる,が思う,くれる,しまう,すぎる,せる,そぐ,つくる,つながる,できる,と思う,は思う,もらう,られる,れる,わかる,上がる,作る,使う,使える,合う,呼ぶ,困る,失う,好む,感じる,支える,書く,欠く,求める,沿う,知る,続ける,繋ぐ,耕す,落とす,見える,覚ます,語る,読む,調べる,貫く,近づく,選ぶ,限る,離れる,頼る,

■総合点 86点

■均衡点 3点
 

こればかりは自分で
   中2 あえもま(aemoma)  2025年5月2日

 現代社会において、技術は日々進歩している。ドアも自動で開くようになったりと、一昔前では考えられない、単純なことですら機械化されている世の中である。果たしてそれらは本当に必要なのか。私たちは、自分自身が満足できる暮らし方を追求する必要があるのである。

 利便性の高い生活は暮らしを豊かにしてくれる。 たとえば、私は毎朝スマートフォンのアラームで目を覚まし、天気予報アプリで気温や降水確率を確認してから服を選ぶ。学校へ行く準備をしながら、朝食を作るのは電子レンジやトースターだ。以前、家の冷蔵庫が機能しなくなったことがある。そのときは飲み物や食材が生ぬるくなってしまい、朝食やお弁当の準備が思うようにできず、家族もとても困っていた。普段は当たり前のように使っていた冷蔵庫のありがたさを、そのとき初めて実感した。また、授業でわからなかったところを調べるのに、スマートフォンは欠かせない。辞書や参考書が手元になくても、数秒で答えに近づくことができる。こうした便利な道具に支えられているおかげで、限られた時間を有効に使えたり、生活の質が上がったりしている。さらに、スマホ一台で、世界と簡単に繋がれたり、色々な世界を簡単に見ることができるようになった。遠く離れた世界が、まるで自分のすぐ近くにあるかのように感じられるのだ。もちろん、便利すぎて頼りすぎてしまう面もあるが、私たちが工夫して使えば、よりよい生活をつくるための強力な味方になってくれると思う。

 だが、余計なものをそぎ落とした暮らしから見えてくる大切なものもある。 私は以前、「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」という本を読んだことがある。この本は、南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領について書かれたものだ。かつて「世界一貧しい大統領」と呼ばれたが、「多くのものを必要とする者こそ貧しいのだ」と意に介せず、1国のリーダーとしては異例の質素な生活を貫いた。例えば、報酬の大部分を財団に寄付したり、知人からもらった1986年型の車を今も大切に使っていたり、大統領在任中も農場での生活を続け畑を耕したりなど、質素な生活を好んでいた。そのムヒカさんは、「真の幸せ」について、「物質的な豊かさばかりを追求するあまり、私たちにとってかけがえのない人と人とのつながり、特にお年寄りを尊重する姿勢が失われつつあります」と語っている。このようなホセ・ムヒカさんの話や、生活を知って私は、物があふれる今の時代だからこそ、人とのつながりや心のゆとりが、本当の幸せをつくるのだと思った。

 確かに、利便性の高い暮らしにも、質素な暮らしにもそれぞれ良さがある。しかし、「人生で大事なものはたったひとつ。心です。」という名言があるように、本当に大切なのは自分の心の豊かさなのである。それぞれが自分に合ったライフスタイル、夢、目標などに沿って自分らしく生活し、心の豊かさを求めることができれば、それは社会全体の豊かさにもつながるのだと私は思う。