僕を成長させてくれたもの
小3 あけいと(akeito)
2025年5月2日
「敬斗、今日のおやつは何だった?」
これは僕が学童保育に通っていた頃毎日母から聞かされた言葉だ。僕の通っていた学童保育のおやつは毎日手作りで、しかも自分達で作らなければならない。作るものもクッキーやゼリーなど、皆が大好きなスイーツではなく、山菜の混ぜご飯やおやきなど、家でも食べたことのないものばかりだ。僕はこのおやつの時間が嫌で仕方なかった。
「敬斗ー!せめて一口だけでも食べてみて。」
食わず嫌いの僕に担任の藍ちゃんは毎日話しかける。
「食べない。」
僕はそう答えるけど、学童のみんなが、
「敬斗、お願い、一口だけでいいから。」
と言うから僕は仕方なくそのおやつを食べる。僕にとって決しておいしいおやつではないけれど、皆でワイワイテーブルを囲んで食べるその時間は決して居心地の悪いものではない。そして次第に料理にも参加するようになり、僕の好きなおやつも見つかった。
「ママ、大根ステーキ今から作りたい!」
学童に通い始めて八ヶ月。ようやく家でも作って食べたいおやつに出会った。
「え?どうやって作るの?ママ、作り方知らないよ?」
戸惑う母に
「大丈夫。自分で作れるから!」
自信満々にそう答えた。
「学童で料理が作れるなんてすごいじゃん。ママ感心したよ。」
母に褒められて鼻が高くなった。そして、それからこの大根ステーキが僕の十八番になった。
学童で過ごした日々は僕にとって辛い事も多かった。嫌いな野菜も食べさせられるし、寒い冬も外に出される。暑い中遠くまで歩かされる事もあったし、チビたちの面倒も見なければならなかった。でも、僕が落ち込んでいる時、敬斗が好きなキャロットケーキを作ろうと言ってくれた。チビたちの合宿メニューのピザのトッピングを考えて美味しかったと言ってもらえた。皆で収穫した野菜をおやつに変えたりもした。僕に作る楽しさと食べてもらえる喜びを教えてくれた。僕にとってこの経験は唯一無二のものになったと思う。