ためることと使うこと
   中1 みお(aemio)  2025年5月2日

 生物界の中で、ヒトは優れた学習能力を一生にわたって維持するという特徴がある。大型哺乳類が限られた環境で繁栄するという方向に進化してきたのに対し、類人猿は、環境に対する柔軟性において進化してきた。類人猿は、経験に基づいて外界の知識を身に着けることが生存のために重要なのである。このような事情はヒトにおいて、より一層顕著に認められる。ヒトは集積された外界の事物、自分自身、およびその関係についてなどの知識を持つことによって生き延び、また現在の社会でもこうすることによってはじめて有能に行動しうるのである。人にとって、学習してあらゆる知識を集積することは大切だ。理由は二つある。

 第一の理由として、様々な知識を積んでおくことで、臨機応変に対応できるからだ。私が通っていた小学校では、六年生は一週間に三人ずつほどが月曜日に全校生徒の前で、目標や心掛けることなど、一言を言う機会があった。私は、担当が回ってきて、言葉を言うとき、事前に話そうと用意していたことを度忘れしてしまった。パニックになって、思い出すことに必死になりかけたが、それよりも自分の知っている言葉、知識を使って文を作ったほうが良いのではないかと思い、本当に伝えたいことは何かを考えながらアドリブで話した。この経験で、記憶力も必要だけれど、何が起こるかはわからないから、ケースバイケースで、その場にあった対応を考え、すぐにとることも大切だと分かった。

 第二の理由として、学習することで今までの生活がよりよいものになるからだ。私は、私が保育園に通っていたころ、夏に先生が蚊に刺されて腕をかいていたところに通りかかった保健の先生が、「かゆくてもかかないで、たたきましょう」と話しているのをちょうど聞いていた。私は今まで、かゆいものはかくのが当然だと思っていたけれど、保健の先生の話を聞いてからというものの、かゆくてもやっぱりかかないほうがいいなと思ってなるべく我慢するようにしている。その結果、すぐ治ったり虫刺されによる傷がだいぶ減ったりした。私は最近まで、家でたこ足配線をしていた。充電器やコンセントは毎回しまったり出したりするのが面倒くさかったので、そのままつなぎっぱなしにしていて、さす場所が足りないときはさす場所を増やしたりと、コンセントの周りは大体ぐちゃぐちゃだった。しかし、テレビの火事が起こる危険性が高い場所ランキングという番組で、コンセント回りが高い順位だったので、それからは、なるべく使わないコードはしまって、からまらないように定期的に整理するようにしている。

 確かに、最初のうちは生きていくうえで必要な知識をどんどん学習していくことが重要である。しかし、「辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である」という名言がある。この名言のように、私は知識を集積することに集中するだけでなく、その知識を実際の生活に生かし、改善していくことが大切なことであると思う。だから、私はすでに得ている知識も、これから得るであろう知識もためておくのではなくどんどん日常的に、そして社会的に使っていきたいと思う。