時間の構造や「自由」の本質を見つめる視点が哲学的で、高校生離れした完成度の高い意見文です。
<<え2015/98pみ>>
【総評】
「自由とは何か」「時間とどう向き合うべきか」という抽象度の高いテーマに対し、文学的かつ論理的にアプローチした意欲作です。導入の比喩表現(芝居の暗転)によって抽象概念を読者の感覚に落とし込み、読解の手がかりを与えています。第2・第3段落では現代人が陥りやすい「時間に縛られた生き方」からの解放策を具体的に述べ、最終段落では「適応」による危機感を訴えながら、自由意志の重要性を説く構成が効果的です。
【段落ごとの講評】
●第1段落(導入・主題提示)
芝居の暗転をたとえに「何もしない時間」の価値、「積み重ねる時間」と「流れる時間」の対比などのキーワードを使って要約できています。主題「自由を求めていくべきだ」が明確に提示されており、導入として力強いです。
●第2段落(方法1:趣味の必要性)
「趣味を見つける」という方法を、自身の通学体験や「アラームに怯える生活」というユーモアを感じる表現で実感を込めて描いています。睡眠不足という生理的制約を絡めることで、自由を奪われる実感がよく伝わってきます。
●第3段落(方法2:手段の自由)
「目的のために手段が縛られる不自由さ」という論点を、塾や学校の提出物に絡めて論理的に述べています。問題集の例が具体的で説得力があり、「自由な学び」への提言として有効です。社会制度への問いかけにまで展開できている点が優れています。
●第4段落(まとめ・名言)
「人は不自由にも適応してしまう」という事実と、「自由のない人間は自分自身ではない」という名言引用による対比が印象的です。「刑務所の長期収容者」の例は極端ながら強いインパクトがあります。人生の豊かさと自由意志を結びつけて結論を出しており、テーマの深まりがあります。
【特に優れていた点】
主題の抽象度が高いにもかかわらず、身近な体験(高校生活・アラーム・塾)を通して論を展開している点。
比喩(芝居の暗転)、名言引用(自由のない人間は…)などの表現力。
各段落が主題に応じた構成になっており、論理的に無理がない点。
【考えを深めるための質問】
「自由」とは、人にとってなぜそんなに大切なものなのでしょうか?
「自由であること」と「安心して生きられること」は、どちらを優先すべきだと思いますか?
■思考語彙 27種 34個 (種類率79%) 95点
確か, 第,、むしろ,。しかし,。つまり,。例えば,あろう,いくべき,がため,すべき,するから,すれば,だから,だろう,できるから,と思う,なければ,なはず,なれると,のため,の場合,人にとって,取るため,受かるため,得るため,言えば,認めるべき,
■知識語彙 74種 129個 (種類率57%) 89点
一時,人生,人間,以上,会社,体験,余裕,使用,依存,個人,刑務所,効率,半分,去年,収容,呪縛,問題,多忙,大丈夫,大切,存在,学校,安寧,定着,少量,工夫,幕間,得点,必要,意志,意識,所属,手段,提出,放課後,方法,時計,時間,暗転,期限,極端,消費,潜在,潮流,無意識,現代,理由,環境,生活,画一,疑問,目標,睡眠,知識,社会,範囲,自主,自分,自由,自身,行動,観客,解放,言葉,趣味,追求,連続,達成,適応,部分,長期,集団,風潮,高校,
■表現語彙 130種 220個 (種類率59%) 87点
確か,うち,かた,がため,きり,ここ,こと,さ,それ,たち,ところ,なはず,のため,の場合,ほう,よう,ティーン,テスト,ルー,一,一時,中,事,二,人,人々,人生,人間,以上,会社,体験,何,余裕,使い,使用,依存,個人,刑務所,効率,化,十,半,半分,去年,収容,取るため,受かるため,呪縛,問題,塾,多く,多忙,大丈夫,大切,好き,存在,学校,安寧,定着,家,少量,工夫,幕間,年,度,得るため,得点,心,必要,性,意志,意識,感,我々,所属,手段,提出,放課後,数,方法,日々,時,時計,時間,暗転,期限,極端,流れ,消費,潜在,潮流,点,無意識,現代,理由,環境,生活,画一,疑問,的,目標,目覚まし,睡眠,知識,社会,私,積み重ね,範囲,者,自主,自分,自由,自身,行動,観客,解放,言葉,豊か,趣味,身,追求,連続,達成,適応,部分,長期,集,集団,風潮,高校,
■経験語彙 44種 62個 (種類率71%) 85点
いける,おく,しまう,つく,てる,できる,と思う,なおす,なれる,やる,られる,れる,任せる,似る,出る,削る,取る,受かる,問う,失う,始まる,始める,定まる,定める,属す,得る,怯える,感じる,放つ,暮らす,求める,決まる,流れる,為す,積み重ねる,縛る,見つける,認める,費やす,追う,送る,逃れる,通う,通る,
■総合点 95点
■均衡点 6点
自分の意志
高1 あうては(auteha)
2025年5月3日
日常生活における「何もしないでいる」時間というのは、芝居の「暗転」や「幕間」と似ている。多くの観客がここでホッとするのは、無意識にではあれ、それまで「流れ」として連続していた時間を、「積み重ね」として体験しなおすことができるからであり。その呪縛から逃れることができるからである。「流れる」時間については、放っておいても体験できるし、むしろそれに呪縛されている感が強いのだが、「積み重ねる」時間については、我々自身が意識し、工夫しなければ体験できないことになりつつあるのではないだろうか。私たちは多忙な時間の潮流の中にあって、自由を求めていくべきだ。
第一の方法は、趣味を見つけることだ。私たちは、学校や会社などといった集団に属している以上、個人の時間の使いかたはかなり定まっている。つまり、自由なことをする時間がすくない。特に現代では効率化を追求する社会的風潮のため、時間に追われる生活を送っている人々が数多く存在する。私も高校に通い始めてから家を出る時間が一時間半も早くなり、目覚まし時計を使用し始め、アラームに怯える生活へとなってしまってた。このような睡眠時間を削るほどの時間に余裕のない生活の中にあって趣味は必要であろう。一時の心の安寧と時間の縛りからの解放、そして時間を好きなことに少量でも費やすことのできる自由は、人にとって大切なはずだ。
第二の方法は、目標までの手段までをも縛らないことだ。現代の人々の定められた行動のほとんどは、達成すべき事があるがために為されている。私の場合で言えば、去年度は放課後の時間の約半分を塾に取られていたのだが、通っていた理由は当然高校に受かるためであった。このように、期限が決まっている目標があるがために、私たちの日々の生活のルーティーンは所属集団に大きく依存している。しかし、その中にあって目標が達成されさえすれば、その手段は問わないという自由も認めるべきだ。例えば、テストで良い点を取るために、学校からは問題集のテスト範囲の部分の提出を画一的に求められた。ただ、目標はあくまで知識の定着であり、テストで高得点を取るためであるのだから、既に身についているところをやっても時間をただ消費するだけとなってしまう。手段は個人の自主性に任せるほうが良いと思う。
確かに、私たち人間は自由のない生活は自由のない生活で適応できてしまう。私も高校生活が始まったばかりの時はこんな忙しさで大丈夫かと疑問であったが、案外なれると何も感じなくなる。極端なところで言えば、長期収容者で、自由のほとんどない刑務所の中で数十年も暮らしていけるのは人間が環境に適応するからだろう。しかし、「自由のない人間はもはや自分自身ではない」という言葉がある。私たちの多くは潜在的に、無意識のうちに我々自身に関する大部分の自由を失ってしまっているのではないか。一度きりの人生の豊かさを得るためには自分の意志による行動は大切だ。