うたさん、今回の作文には多くの洞察(どうさつ)含ま(ふくま)れており、非常に興味深く読ませていただきました。
特に、「時間」という抽象(ちゅうしょう)的な概念(がいねん)を具体的な事例を通じて解き明かそうとするアプローチは見事でした。
序文での自然の比喩(ひゆ)を用いた説明は、読者に対して時間の流れというテーマを柔らかく(やわらかく)、しかし効果的に提示しています。

また、社会問題としての「時間に縛り付け(しばりつけ)られること」に焦点(しょうてん)を当てた点も、現代社会における重要な議論を呼び起こすものです。
原因の分析(ぶんせき)では、未来への不安や効率追求という二つの視点から深掘り(ほり)しており、その分析(ぶんせき)は非常に論理的で理解しやすかったです。

さらに、個人的な体験を交えることで、説得力を増しており、読者が共感しやすい内容となっています。
文末で提起された「時間を生きる」という哲学(てつがく)的な問いは、読者に深い考察を促す(うながす)素晴らしい締めくくり(しめくくり)でした。

この作文は、個人の感情と社会的な視点が巧み(たくみ)に組み合わされており、非常に高い完成度を示しています。
次回作にも期待しています。

項目(こうもく)評価:
-社会問題の主題がよく書けています。
-原因がよく書けています。
-体験実例がよく書けています。
 

森リン評価 同じ時間は存在しない nnga 05月2週 うた
字数/基準字数:
1390字/600字
思考点:77点
知識点:83点
表現点:79点
経験点:76点
総合点:86点
均衡点:7点
●語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
1200字換算
 
思考点:点
知識点:点
表現点:点
経験点:点
総合点:点
均衡点:7点
●換算語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
●語彙の説明
語彙種類個数種類率点数説明
思考語彙20種24個83%77点考える言葉です。
理由、方法、原因などの説明の語彙。
多すぎると、説明の多い硬い文章になる可能性があります。
知識語彙66種106個62%83点難しい言葉です。
社会的な例や調べた例の語彙。
多すぎると、難しい言葉の多い重い文章になる可能性があります。
表現語彙112種205個55%79点豊かな言葉です。
話題の幅が広い語彙。
多すぎると、散漫な文章になる可能性があります。
経験語彙38種58個66%76点詳しい言葉です。
身近な例や経験した例の語彙。
多すぎると、身近な話の多い狭い文章になる可能性があります。
種類率は、60%以上が目標。70%以上の場合は多様な語彙が使われています。
1390字
 77点
 83点
 79点
 76点
字数 思考語彙 知識語彙 表現語彙 経験語彙

 


■思考語彙 20種 24個 (種類率83%) 77点
 確か, 第,、すなわち,、によって,、もちろん,。しかし,。だからこそ,。例えば,あろう,するから,すると,だろう,と思う,のため,は第,少なからざる,心底思う,忘れざる,覚えるから,重みによって,

■知識語彙 66種 106個 (種類率62%) 83点
一定,一番,一般,不安,主義,予定,人間,今日,以前,休息,優柔不断,効率,勉強,原因,友人,友達,古代,問題,大切,太陽,季節,安心,家族,工場,座標,影響,心底,必要,性格,意識,成功,手段,放課後,文字,文明,日本,時計,時間,有限,未来,無数,無駄,焦燥,現代,生産,産業,皮肉,目的,破綻,社会,管理,結局,結果,綿密,練習,罪悪,能力,自分,計画,談笑,資本,軽蔑,追求,達成,集団,革命,

■表現語彙 112種 205個 (種類率55%) 79点
 確か,あなた,あまり,いつか,こと,しよう,すべて,その後,たち,どこ,のため,もの,よう,わけ,サーフィン,ダメージ,ネット,ピアノ,ボルネオ,一,一つ,一定,一番,一般,不安,中,主義,予定,二,人,人間,今日,以前,休み,休息,何,優柔不断,先ほど,全て,別々,効率,勉強,動き,化,原因,友人,友達,古代,問題,回,大切,太陽,季節,安心,家族,工場,底,座標,影響,心,心底,必要,思い,性格,息,意識,感,成功,手段,放課後,数,文字,文明,日々,日本,時,時計,時間,有限,未来,無数,無駄,焦燥,現代,生産,産業,皮肉,目,目的,破綻,社会,私,管理,結局,結果,綿密,練習,罪悪,能力,自分,計画,話,誰,談笑,資本,軽蔑,追求,達成,重み,間,集団,革命,

■経験語彙 38種 58個 (種類率66%) 76点
こびりつく,しまう,すぎる,できる,とる,と思う,もたらす,られる,れる,休む,作る,切り替える,受ける,囚われる,塗れる,増やせる,定まる,属する,従う,心底思う,忘れる,感じる,死ぬ,求める,決まる,生きる,異なる,立てる,経つ,続ける,縛りつける,縛り付ける,苛む,覚える,詰まる,遊ぶ,限る,離れる,

■総合点 86点

■均衡点 7点
 

同じ時間は存在しない
   高2 うた(aimee)  2025年5月2日

 山川の流れが早瀬となって走るとき、表層の水は白く泡立って流れていても、深層の水は静かにたたえている。同じように、流れない時、時間をこえた時、というものは存在した。時の原初の意味を考えると、時は「もの」である。手で捕まえたり、目で見て耳で聞くことができる「もの」であるのだ。桜の花の咲く時、梅の実の黄ばむ時。そういう時に逢う時、それが時である。時は、私たちの人生がその上に展開する座標ではない。日本の時間とボルネオの時間、現代の時間と古代の時間、私の時とあなたの時、すべて異なるものである。時間は決して一つにはなっていないのだ。そんな中で、今日の私たちが一定の時間に縛り付けられていることは問題である。

 その原因としては第一に、私たちは未来の予定が定まっていないということに不安を覚えるからだ。人間誰しもがいつかは死ぬわけであって、時間は有限である。その重みによって、私たちは、計画を立てなくてはという思いに苛まれるのであろう。計画を立てる、すなわち時間を管理することは、私たちに安心をもたらす。しかし、時間に囚われることは本当に良いことなのだろうか。私は日々、とにかく無駄な時間を作りたくないと思い続けている。だからこそ、綿密な計画を立てるのだが、もちろん全てが上手くいくことはなく、そのような時に受けるダメージは大きい。そして、一回計画が破綻すると、何もかもどうでもよくなってしまうことである。もうそうなったらどうしようもない。ひたすらネットサーフィンをして数時間が経ってしまっている。こんな時、「つい先ほどまで、時間がないと焦燥感に塗れていた自分が馬鹿らしい」と心底思う。そして一番皮肉なのが、それだけ遊んでいても結局どうにかなってしまうことなのである。

 第二の原因として、効率を追求するからである。産業革命以前、私たちは時計ではなく、太陽の動きや季節に従っていた。その後、工場生産などが一般化し、私たちは効率のために時計に従うようになったのである。資本主義社会では、限られた時間の中で、どのくらい何を達成したか、によって成功が決まる。しかし、私たちは効率を意識しすぎるあまり、その必要がない時にも、心の底に、効率という文字がこびりついて離れなくなっているのではないだろうか。例えば、放課後や休み時間に友達と談笑をしている時である。少なくとも私は、どうでもよい話をしている時に、どこか罪悪感を感じてしまうことがある。この時間にもっと勉強ができるのではないか、ピアノの練習時間を増やせるのではないか、などと、友達といる時間すら大切にできないのである。休む時は休む、と切り替えられない優柔不断な私の性格の問題でもあると思うが、効率化に対する意識は少なからず影響していると感じる。

 確かに、社会、家族、友人間などと、無数の集団に属する私たちには、時間管理能力が求められる。特に、文明社会である日本では、時間管理ができない人は、軽蔑の目で見られる。しかし、その思いに囚われすぎている結果、休息をとっている時でさえ、時間に囚われることがある。私たちは、一人一人、別々の時を生きている。そして、自分の時間を管理することは目的ではなく、手段である。そのことを忘れずに、息が詰まらないように、時間に縛りつけられることなく生きていきたいものだ。