読書や自己表現に対する情熱が感じられました。ぜひこの感受性と表現力を今後も大切に育てていってください

<<え2020/455jみ>>

【総評】
 「夢中で読む体験」から広がるテーマを、自身の読書体験、学習経験、教育的背景と結びつけて論じており、説得力があります。内容は中学3年生として十分以上で、高校生に匹敵(ひってき)する論理的展開、深い洞察(どうさつ)、そして自然な文章構成が見られます。「モンテッソーリ教育」などの外部知識も活用しており、客観性と独自性の両立ができています。

【段落ごとの講評】

●導入段落:
 読書の本質的な価値を的確にとらえた美しい導入です。引用から始まり、自身の意見へ自然につなげており、「読書の深まり」を主題に据える(すえる)構えが明確です。

●第一の理由段落:
 自分の実体験(量子学の読書、中国語学習)を通じて、「継続(けいぞく)挑戦(ちょうせん)」の価値を語っています。「毎日少しずつ続けることが大切」という結論が、エピソードを通して納得できる形で提示されています。

●第二の理由段落:
 「環境(かんきょう)づくり」の視点がユニークで、しかも教育的裏付け(モンテッソーリ教育)を入れて論理性が高まっています。自身の保育園の経験と社会への提案も結びついており、視点の広がりも見事です。

●結論段落:
 名言をうまく活かし、全体を総括(そうかつ)しながら、自分の生き方に結びつけて締めくくっ(しめくくっ)ています。「夢中になれること」が個人の人生にとってどう意味を持つかという問いに、明快に答えていて感動的です。

【特に優れていた点】

読書体験を(じく)に、学びと生活、教育の本質へと話を広げる構成力

体験の描写(びょうしゃ)が具体的で読者を引き込む(ひきこむ)力がある

教育理論(モンテッソーリ教育)を取り入れた、知的深みのある展開

名言の効果的な活用と、個人の思いのバランスがとれた結論部

【考えを深めるための質問】
 あなたがこれから「夢中になってみたい」と思っていることは何ですか? それに向けて、どんな小さな一歩を今日から始められそうですか?
 


■思考語彙 21種 24個 (種類率88%) 79点
 確か, 第,。しかし,。だから,。つまり,。例えば,いれば,おけば,しよう,そのため,たかも,たから,だろう,つけるため,できざる,として第,と思う,はきっと,届かざる,振り返れば,残らざる,

■知識語彙 66種 102個 (種類率65%) 83点
一方,三日坊主,不安,中国,人間,作業,保育園,保障,充実,内容,分野,創始,医学,博士,原因,原理,図書館,基本,夢中,大切,女性,好奇,子供,学校,学習,安定,必要,挑戦,挫折,授業,提供,教具,教育,整備,方法,日常,時間,機会,毎日,没頭,活動,環境,生活,発音,瞬間,知的,社会,組織,経験,職業,自分,自発,興味,表情,言葉,設定,読書,財産,週間,運命,過度,達成,選択,量子,集中,集団,

■表現語彙 127種 210個 (種類率60%) 85点
 確か,いっぱい,うち,こと,さ,さまざま,そう,そのため,そのもの,それ,それぞれ,つけるため,づくり,とき,ひとつ,まま,もの,よう,わけ,イタリア,ハードル,ページ,リスニング,ヶ月,一,一つ,一方,三日坊主,不安,中,中国,二,人,人間,今,何,作業,保育園,保障,充実,内容,冊,分野,初,前,創始,力,医学,十,博士,原因,原理,図書館,基本,壁,多く,夢中,大切,大好き,女性,好奇,妨げ,子ども,子供,学,学校,学習,安定,家,後,心,必要,思い,性,感,挑戦,挫折,授業,提供,教具,教育,数,整備,方法,日々,日常,時間,本,機会,毎日,没頭,活動,熱,環境,生活,発音,的,瞬間,知的,社会,私,糧,組織,経験,者,職業,自分,自発,興味,表情,言葉,設定,話し声,語,読書,財産,身,週間,運命,過度,達成,選択,量子,集中,集団,面,音,

■経験語彙 51種 68個 (種類率75%) 95点
おく,しまう,しれる,すぎる,つくる,つける,できる,と思う,なれる,ぶつかる,やめる,やる,られる,れる,乗り越える,使う,借りる,入れる,冷める,動かす,取り入れる,取り組める,増やす,変える,始める,学ぶ,届く,心ゆく,忘れる,惹く,感じる,持つ,振り返る,整える,残る,溢れる,現れる,生かす,癒す,終わる,続く,続ける,苛立つ,見向く,覚える,触れる,読み切る,読む,通う,過ごす,過ごせる,

■総合点 89点

■均衡点 4点
 

夢中になれるということ
   中3 あおさみ(aosami)  2025年5月2日

 何を読むかという前に、夢中で読むという体験を一度味わう必要がある。一度読む楽しさを知った人は、本をもとめてゆくものだ。読書はいつどこででも自分の中へ引き戻し、自由に別世界へと想像力を羽ばたかせることができる。また一冊の本を読み終えたとき、別人になったように思える経験は読書以外では味わえない。こうなると読書が深く複雑なものに変わってゆく。 読書の対象はこうして拡がってゆくのだ。

 私は一度夢中になり始めると、時間を忘れて没頭する。夜本を読み始めたことで、寝るのが遅くなることもしばしば。刺繍や読書など、終わりへ近づくごとに達成感を感じるとともに、終わることへの悲しさも感じるあの瞬間が大好きだ。私は何か夢中になれる人間になりたい。

 

 そのための方法として第一に、挑戦しコツコツ続けることだ。

私は興味のあることに没頭しやすい一方で、熱が冷めやすいという面もある。ある職業や分野に強く惹かれて運命を感じても、1週間後には見向きもしなくなる、なんてこともあるのだ。まさに三日坊主という言葉がぴったりである。続かない原因のひとつに、自分でハードルを高く設定しすぎていることがあると思う。例えば、数ヶ月前、量子学に興味を持ち、本を何冊か読んだ。もっと難しい内容に挑戦しようと図書館で分厚い本を借りたが、内容が難しく数十ページで挫折してしまった。今振り返れば、毎日1ページずつ読むという、低いハードルを設定しておけば、読み切ることができたかもしれない。実際、私が中国語の学習を始めたときも、リスニングや発音の壁にぶつかり、やめてしまいたかった。だが少しずつでも毎日続けていくうちに、その壁を乗り越え、学ぶことが楽しくなった。このことから、何かに興味を持ったときは、毎日そのもの触れることが大切だと思うようになった。

 第二の方法として夢中になれるような環境をつくることだ。過度な話し声や生活音が作業の妨げになった経験は多くの人が持っているだろう。私も学校や家が騒がしいと授業や読書に集中できず、集中したいという思いが届かぬようで、苛立ちや不安を覚えることがある。

マリア・モンテッソーリはモンテッソーリ教育の創始者であり、イタリア初の女性医学博士である。このモンテッソーリ教育では「整えられた環境づくり」が基本原理の一つになっている。自発性を身につけるためには、子供の知的好奇心が自発的に現れるような環境の整備が必要なのだそうだ。つまり興味のあることに集中して取り組める環境にするということだ。集中できる環境が保障された中で、それぞれが自分が選択した教具を使い活動に没頭する。私が通っていた保育園でもモンテッソーリ教育が取り入れられていた。なので時間いっぱい集中していた。心に残っているのは、一人残らず、表情が明るく、達成感や充実感に溢れていたことだ。子どもだけの力で環境を変えるのは難しい。だから社会や集団を動かす組織などが、もっと環境づくりに力を入れることが大切だ。さまざまなものに触れる機会を増やし、安定した環境を提供する。私は今でも保育園で過ごした日々を忘れない。それはきっと楽しく心ゆくまま過ごせたからだろう。

 確かに、自分が夢中になれるものばかりやっていればいいわけではない。しかし、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない」という言葉があるように、何か夢中になるものがあることで、日常が楽しく、自分を癒す時間となる。そしてそれは糧となり、日々に生かされるだろう。