進級試験合格です。おめでとう!

<<え2005/54み>>

 事実とフィクションの両方に価値を見出し、深い洞察(どうさつ)を通して「考える力」の大切さを伝えてくれました。とてもレベルの高い意見文です。

【総評】
 「本当のこととは何か?」という問いを(じく)に、ノンフィクションとフィクションの両面から真実を捉えよ(とらえよ)うとする構成が非常に優れています。特に、自分の体験から出発して考えを深めている点が読み手に説得力を与え(あたえ)ており、バランスのとれた論理展開も魅力(みりょく)です。各段落でしっかりと根拠(こんきょ)や例を用い、自分の考えを丁寧(ていねい)に広げていて、中学生として非常に高い水準にある文章です。

【段落ごとの講評】

●第1段落
 導入として非常に自然な入り方ができています。「本当のこととは何か」というテーマの提示が明確で、読み手の関心を引きつけます。問題意識の持ち方が鋭く(するどく)、社会的な広がりも感じられます。

●第2段落
 自分の体験をもとに、事実と印象の違い(ちがい)について考察しています。動画の切り取りが誤解を生むことに気づいたことが、文章全体の信頼(しんらい)性を高めています。実体験を通して得た教訓が非常に説得力をもって伝わってきます。

●第3段落
 フィクションの役割について語っているこの段落は、バランスの面でも重要です。事実では描け(えがけ)ない人間の本質に、物語がどう迫る(せまる)かを丁寧(ていねい)に述べています。映画の内容を完全に見ていないことを正直に書いている点も誠実でよい印象を与え(あたえ)ます。

●第4段落
 まとめとして非常に完成度が高いです。両方の立場を認めた上で、「受け取る側の姿勢」という新しい視点を提示しています。締めくくり(しめくくり)の一文で「自分自身で考えること」の大切さを強調し、全体を美しく収束させています。

【特に優れていた点】

体験実例の活用(構成・表現)

多角的な視点(主題)

バランスのとれた構成(構成)

説得力のある表現力(表現)

【考えを深めるための質問】
 「事実」と「真実」は必ずしも同じではないとあなたは考えましたが、どんなときにその違い(ちがい)がいちばんはっきり見えると思いますか? その例を自分の生活の中に探してみましょう。
 


■思考語彙 17種 27個 (種類率63%) 69点
 たしかに, 一方,。しかし,。だからこそ,。例えば,あれば,からこそ,さこそ,だから,で考える,と思う,なければ,を考える,創作によって,立ちざる,芸能人に対して,迫るため,

■知識語彙 60種 97個 (種類率62%) 79点
一部分,世界,事実,人物,人間,体験,作品,全体,判断,創作,動画,印象,反省,問題,大事,大切,姿勢,実在,役割,必要,情報,情熱,想像,意味,意見,感想,戦争,手軽,数字,映像,映画,時代,最初,本当,本質,正確,正解,毎日,物語,現実,番組,痛感,発信,発言,直接,真実,確認,自分,自由,自身,芸能人,葛藤,表現,複雑,設計,誤解,資料,部分,青年,飛行機,

■表現語彙 105種 185個 (種類率57%) 76点
こと,さ,すじ,それ,それぞれ,たくさん,たち,とき,ところ,もと,もの,よう,コメント,テレビ,ノンフィクション,フィクション,モデル,一つ,一部分,世界,中,事実,人,人々,人物,人間,体験,何,作り話,作品,側,元,全体,判断,創作,動画,印象,反省,問題,多く,夢,大事,大切,姿,姿勢,実在,形,役割,心,必要,思い,情報,情熱,想像,意味,意見,愛,感想,戦争,手軽,数,数字,方,映像,映画,時代,最初,本当,本質,欄,正確,正解,毎日,物語,現実,番組,痛感,発信,発言,目,直接,真実,確認,私,耳,自分,自由,自身,芸能人,葛藤,表現,複雑,視,設計,誤解,誰,資料,迫るため,迷い,部分,重み,青年,風,飛行機,鵜呑み,

■経験語彙 46種 64個 (種類率72%) 88点
あふれる,かける,させる,しまう,できる,で考える,と思う,ふれる,まじる,ゆるす,られる,れる,を考える,伝える,伝わる,偏る,傾ける,切り取る,受け取る,受け止める,向ける,基づく,届く,感じる,押しつける,持つ,描き出す,描く,書く,残る,生まれる,生み出す,異なる,立つ,聞く,苦しむ,見える,観る,語りかける,読む,起きる,込める,近づく,迫る,追う,違う,

■総合点 81点

■均衡点 3点
 

ノンフィクションの書き手は
   中2 あえもま(aemoma)  2025年6月1日

 私たちは毎日のように、テレビやSNSでたくさんの情報にふれている。その中には事実もあれば、誰かの意見や想像がまじっているものもある。そんな時代だからこそ、「本当のこと」とは何かを考えさせられる。

 事実を正確に伝えることには、大きな意味があり、大切だ。作り話ではなく、実際に起きたことをそのまま伝えることで、私たちは世界の本当の姿に近づくことができる。私がこのことを強く感じたのは、テレビ番組の一部分だけが切り取られた動画を見たときだ。その動画では、芸能人の発言が問題視されていた。最初にその映像を見たとき、私はその芸能人に対して「ひどい人だ」と思ってしまった。しかし、コメント欄には「実際に番組全体を見てみたら、この人は決して悪いことは言っていない」と書かれていた。そこで私も元の映像を確認したところ、印象がまったく違って見えた。自分が偏った情報だけで人を判断していたことを、反省した。この体験から、正確な情報が伝わらなければ、誤解が生まれてしまうことを痛感した。手軽に情報が発信できる時代だからこそ、事実の重みがいっそう大切になる。だからこそ、事実をありのままに伝えるノンフィクションには、人々の心に直接語りかけるという、大きな役割があるのだと思う。

 一方で、たとえ事実をもとにしていなくても、フィクションの物語だからこそ届く「真実」もある。例えば、スタジオジブリの映画『風立ちぬ』は、戦争中に飛行機の設計に情熱をかけた青年を描いた作品で、実在の人物をモデルにしながらも、多くの部分が創作であると聞いた。私はまだこの映画をしっかり観たことはないが、あらすじや感想を読む中で、「夢を追いながらも、時代の重みに苦しむ人間の姿」が心に残った。このように、事実に基づきながらも、創作によって人の心の葛藤や愛、迷いを描き出すことで、現実の数字や資料では見えてこないものに近づくことができるのではないかと思う。フィクションの物語は、一つの「正解」を押しつけるのではなく、読む人・見る人それぞれに異なる受け取り方をゆるし、人の数だけの「真実」を生み出す。その自由さこそが、現実の複雑さや人間の本質に迫るために必要なのだと思う。

 たしかに、事実を正確に伝えるノンフィクションも、物語を通して本質に迫るフィクションも、それぞれ大切な役割を持っている。けれど、情報があふれるこの時代において、本当に大切なのは、受け取る側がどんな姿勢でそれを受け止めるかだと思う。事実だからといって何でも鵜呑みにするのではなく、創作だからといって軽く見るのでもない。大事なのは、その中に込められた意味や思いに目を向けることだ。私はこれからも、どんな形の表現にも耳を傾けながら、「自分自身で考えること」を大切にしていきたい。