一つひとつの物に対する深い思いやりと、視野の広さが感じられるとても良い文章でした。丁寧(ていねい)な言葉選びも光っています。

<<え2016/336pみ>>

【総評】
 「古い物」と「新しい物」の価値について、具体的なエピソードと歴史的な例を交えてバランスよく論じられています。特に印象的だったのは、物に対する「愛情」や「思い出」を大切にする視点です。文章構成は論理的で、段落ごとの役割も明確です。結論も主張の核心(かくしん)にしっかりと立ち返っており、説得力があります。

【段落ごとの講評】
第1段落(導入)
 家具の話から始め、マスクの例に展開している構成は、身近な問題に引き寄せながら読者の関心を高めています。テーマに対する複眼的な視点(経済性・精神性)を持ち込め(もちこめ)ていて、導入として非常に良いです。

第2段落(古い物の価値)
 ぬいぐるみのエピソードが具体的で、読み手の共感を呼びます。特に「思い入れは一番」という表現に、時間と感情の重なりが丁寧(ていねい)に表れていて良いです。

第3段落(新しい物の価値)
 NintendoSwitchの話題など現代的な例が効果的に使われています。中国との比較(ひかく)も加えられており、視野の広さが見えます。「進化」「合理性」というキーワードを的確に扱え(あつかえ)ている点も評価できます。

第4段落(結論)
 「愛情を持つこと」に主眼を置いた結びは、文章全体のテーマを上手に回収しています。「健康の外見ではなく、健康自身」という比喩(ひゆ)もよく考えられていて、哲学(てつがく)的な深みを与え(あたえ)ています。

【特に優れていた点】
古い物・新しい物の両方に公平な目線を持っている
具体的な体験談と社会的な視点をバランスよく使っている
語彙(ごい)が豊かで、文末表現も多様

【考えを深めるための質問】
 もしあなたが、古くて思い出がたくさん詰まっ(つまっ)た物と、新しくて便利な物のどちらか一方しか持てないとしたら、どちらを選びますか? その理由も考えてみましょう。
 


■思考語彙 19種 22個 (種類率86%) 74点
 しかし, 確か,。しかし,」こそ,いこう,くまに対して,くれるはず,しまうため,しよう,だろう,と思う,ないと,なければ,ならば,に思える,れると,健康らしい,見出そう,関わらざる,

■知識語彙 64種 79個 (種類率81%) 82点
一番,不可欠,世界中,両親,中国,人間,仕方,体調,価値,健康,制度,古代,可哀想,合理,名前,周囲,場面,外見,大事,大切,家具,家族,対話,役目,必要,応援,性格,性能,愛情,愛着,技術,改良,旅行,日本,時期,時間,最近,木目,未熟,本当,機器,毎日,沸騰,無言,率直,理解,相手,確実,社会,簡単,結局,罪悪,自身,行動,親戚,言葉,話題,説得,販売,進化,適度,重要,関係,魅力,

■表現語彙 118種 181個 (種類率65%) 81点
 確か,いくつ,きっかけ,くま,くれるはず,ここ,こと,さ,しまうため,それ,それぞれ,たくさん,たち,どちら,どれ,ぬいぐるみ,もの,よう,カタカナ,ゲーム,コロナ,ソフト,テレビ,マスク,一つ,一番,不可欠,世界中,両親,中,中国,人,人々,人間,仕方,他,体調,何,使い捨て,例,価値,健康,制度,前,力,十,古代,可哀想,合理,名前,周囲,場面,外見,大事,大切,家具,家族,対話,年,店,度,役目,心,必要,応援,思い入れ,思い出,性格,性能,愛情,愛着,感,技術,控え目,改良,旅行,日本,昔,時期,時間,最近,木目,未熟,本当,様々,機器,毎日,決め手,沸騰,無言,物,率直,理解,百,的,相手,確実,社会,禍,私,簡単,結局,罪悪,自ら,自身,行動,見た目,親戚,言葉,話題,説得,販売,進化,適度,重要,釘付け,関係,魅力,

■経験語彙 40種 53個 (種類率75%) 79点
いける,くれる,しまう,せる,できる,と思う,なさる,に思える,もつ,もらう,られる,れる,付ける,使える,動かす,増える,変える,守る,感じる,持つ,挙げる,捨てる,接する,教わる,数え切れる,楽しむ,求める,湧く,生きる,用いる,繰り返す,置く,見出す,覚える,買う,費やす,追い求める,関わる,響く,飲み込む,

■総合点 86点

■均衡点 7点
 

古い物・新しい物の価値観
   中2 あきかは(akikaha)  2025年6月2日

 百年以上家具を使ったという例は別に珍しくない。百年の木目は、いまだ未熟な私たちを控え目だが確実にしっかり応援してくれるはずだ。「百年使える百年の木目をもった家具」こそ、無言だが、もっとも説得力がある対話相手のように思える。私はコロナ禍、使い捨てマスクを毎日新しい物に変えるということに、少し罪悪感を覚えていた。適度に新しくしなければ自身の体調にも響いてしまうため仕方なく飲み込んだが、たった少しの役目しかないのはマスクが可哀想だと感じていた。このように、簡単に物を捨てられない性格の人はいつつも、新しくすることが必要不可欠である場面は多くあるだろう。

 確かに、古い物は良い。私は幼い時期から、家族や親戚にいくつものぬいぐるみを買ってもらっていた。そのぬいぐるみと何の関係もないようなカタカナの名前を付け、旅行に持っていこうとしては両親に置いていきなさいと言われていた。一つ一つにたくさんの思い出があるにも関わらず、お店で「かわいい」と率直に感じた物があると買いたくなってしまい、ぬいぐるみは増えていくばかりである。そんな中で、最も大切な物はどれかと言われると、それは十年ほど前に買ってもらったくまのぬいぐるみだ。他にも見た目がかわいらしいぬいぐるみはたくさんあるが、そのくまに対しての思い入れは一番である。結局、新しくて性能が高かったり、見た目がかわいらしかったりすることが、そのまま愛着を湧かせるきっかけとなるのではないのだ。決め手は、どれだけの時間を共に費やしてきたのかなのである。

 しかし、新しい物も良い。世界中では、数え切れないほどの人々がテレビゲームを楽しんでいる。そして、新しいゲームソフトや機器が販売される度、その人々は新しさに釘付けとなる。ここ最近、特に話題沸騰している、NintendoSwitch2も、その例として挙げられるだろう。人間は遥か昔から、改良を繰り返してきている。周囲がどんどん進化していくのならば、自らも進化していかなくては生きていけないと、新しく性能が高い物に魅力を感じるものなのだ。古代に日本が中国から様々な制度や技術を教わっていたというのも、その例である。そうして、私たち人間は、ここまで生きてきた。新しい物を求めるということは、とても合理的であり、その行動が社会を動かしているのである。

 古い物を守ることも、新しい物を追い求めることも、どちらも必要だ。しかし、最も大切なことは、時間は関係なしに、それぞれに愛情を持つことである。「大切なのは、健康らしい外見ではなく、健康自身である」という言葉があるように、古いか新しいかということを用いて価値を見出そうとすることよりも、「大事にしよう」という心で物と接することが重要なのだ。そして、物の本当の価値は、その「大事にしよう」という心がなければ見出すことができない。私は、そんな価値を理解できる人間になりたいと思う。