自分が何を必要としているのかを問う
   中2 あかるら(akarura)  2025年6月2日

 良い家具は使い方さえ間違えなければ百年以上生活を共にすることができる。それに比べて車や家電製品の多くが十年使い続けると鉄くずの価値でしかなくなる。質の高い家具を長年活用することは経済的な利益だけでなく人間の意識にも良い影響を与える。自然の温かさと柔らかさは私達を受け入れ応援してくれるのだ。これは二十一世紀問題、つまり人間の基礎をどう造るのかという問いの解決にも繋がるだろう。百年の木目の家具が最も説得力のある対話相手となる。



 古くからある自然のものを大切にするべきだ。なぜなら自然の温かみを、五感を通して体験することができるからだ。木の質感や手触り、模様、そして匂いは怒りや焦りといったネガティブな感情を静めてくれる。つまり森林浴と同様、リラックス効果があるのだ。母は「良い物を長く、大切に使う」ことを重視し一つ一つの商品を吟味した上で購入している。私の勉強机を買うときも、母は値段よりも質にこだわり、ヒノキで作られた机を選んでくれたのだ。長時間の勉強で疲れた際や問題が解けずに焦っているときに私は机の引き出しを開ける。なぜならヒノキのツーンとした香りが鼻を通ると自然と心が落ち着くからだ。時間が経つにつれ、味わい深いものになるだろう。古くから使われているという歴史と自然の優しさを持った製品は私達の一生を共に生き、長年楽しませてくれる存在となるのだ。



 一方、新しいものを次々と買うことにもメリットがある。私達の生活がどんどん便利になっていくからだ。科学の発展と産業革命の時代から続く工業化の流れが今日の次々と新たな製品が生まれ大量生産される世の中を作っている。例えばスマートフォンに注目すると、壊れていたり使えなかったりするということではないにも関わらず、便利な機能を求めて新しいものを買ってしまう。中にはいくら値段が高くても並んで買う人もいる。従来の物が目まぐるしいスピードで新製品に置き換わっていくのだ。このように新しい商品を次々と購入していくことは生活の質を向上させ、便利さと物質的豊かさを得ることにも繋がるだろう。



 確かに古くからある自然のものを大切にすることにも新製品を次々と購入することにもどちらにもメリットがある。しかし最も大切なのは、自分は何が必要でどのような生活を送りたいのかを考えることだ。「絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それがもっとも素晴らしい偉業である。」というラルフ・ウォルドー・エマーソンの言葉がある。どちらか一つに偏ることが必ずしも良案とは言えない。自分の立場を考え真剣に選んで買ったものこそが、自分にとって最も効果的で満足できる商品と言えるのではないだろうか。