広い視点から古い物と新しい物の両方を丁寧(ていねい)比較(ひかく)し、自分の考えを深く掘り下げ(ほりさげ)て表現できています。大変読み応えのある意見文でした。

<<え2025/6pみ>>

【総評】
 冒頭(ぼうとう)で述べられている自然素材の家具の価値と、新技術の進化に対する関心がバランスよく対比されており、主張に説得力があります。文章構成も段落ごとに明確で、読者の理解を助けています。引用や具体例も多く、文章に厚みが出ています。終わりのまとめも名言を活用して丁寧(ていねい)締めくくら(しめくくら)れており、高い完成度です。

【段落ごとの講評】
第一段落(古い物の価値)
 環境(かんきょう)や生命力といった広い観点から無垢材の家具の価値について書かれた長文をわかりやすくまとめられています。

第二段落(新しい物の利点)
 実例が豊富で、技術革新がもたらす社会的メリットを的確に説明できています。特に新幹線や(ちょう)音速旅客機などのニュースをうまく取り入れていて、時事性がありました。段落の最初に意見を述べることで読み手がわかりやすくなります。

第三段落(古い物の良さ)
 年賀状や童話を用いて情緒(じょうちょ)や文化的価値を描写(びょうしゃ)し、古い物の持つ人間的・感情的な側面をうまく表現しています。「ナイチンゲール」の話の選び方が巧み(たくみ)です。

第四段落(まとめ)
 (やなぎ)宗悦(むねよし)の言葉を活かした「物にも心がある」という締めくくり(しめくくり)は印象的で、主張の余韻(よいん)を残します。比較(ひかく)総括(そうかつ)のバランスがよく、説得力のある結びでした。

【特に優れていた点】
社会的・文化的視点をふまえた内容の深さ
引用・実例の効果的な活用
各段落の構成が論理的で明確
終結部での思想的なまとめの強さ

【考えを深めるための質問】
 あなたがこれからの生活で「古い物を大切にする」としたら、どんな物を選び、どのように使っていきたいですか? また、それを使い続けることで、どんな気持ちや価値を得られると思いますか?
 


■思考語彙 23種 25個 (種類率92%) 85点
、しかし,。だから,。つまり,。例えば,かかわらざる,から考える,すれば,たため,だろう,てこそ,と思う,ないと,なければ,なると,の場合,は確か,みると,わかるはず,学ぶべき,家具にとって,扱えば,生き方こそ,目指すらしい,

■知識語彙 90種 105個 (種類率86%) 100点
一番,一瞬,不便,中国,人間,人類,代物,以内,企業,価値,効果,動物,単純,命令,問題,回復,地球,基本,大体,大分,大切,大統領,太平洋,太陽,宗悦,実現,宮中,家具,家電,対応,対策,寿命,小夜,年度,年賀状,悪化,意識,感動,慣習,成功,技術,撤廃,旅客機,日本,昨今,時代,時速,時間,最大限,最高,本物,東北新幹線,横断,機械,歌声,活動,渋滞,温暖,無垢,現代,現在,現行,環境,生命,生活,生産,発明,発芽,発表,皇帝,目標,相手,短縮,確実,社会,禁止,童話,粗末,経済,自然,製品,要素,車両,重病,重要,開発,陸上,電池,音速,飛行,

■表現語彙 160種 218個 (種類率73%) 100点
お正月,くず,こと,これ,これら,さ,それ,それぞれ,それら,たため,どちら,の場合,は確か,ほう,もの,よう,わかるはず,アンデルセン,インターネット,カイト,クルマ,トランプ,ナイチンゲール,ブロス,ベンチャー,レベル,一,一番,一瞬,不便,中,中国,人,人間,人類,今,仕掛け,代物,以内,企業,体,価値,分,力,効果,動物,化,十,千,単純,周り,命令,問題,回復,地球,基本,大体,大分,大切,大統領,太平洋,太陽,宗悦,宝,実現,宮中,家具,家電,対応,対策,寿命,小夜,年,年度,年賀状,後,心,悪化,意識,感動,慣習,成功,技術,持ち腐れ,撤廃,数,旅客機,日,日本,昨今,時,時代,時速,時間,最大限,最高,期,木,本物,東北新幹線,柳,横断,機械,歌声,活動,渋滞,温暖,無垢,物,現代,現在,現行,環境,生き方,生命,生活,生産,用,発明,発芽,発表,百,的,皇帝,目標,相手,短縮,確実,社会,禁止,種,空,童話,策,米,粗末,系,経済,自ら,自然,良しあし,製品,要素,話,誰,車,車両,重病,重要,鉄,開発,間,限り,陸上,電池,面,音速,飛行,JR東日本,km,

■経験語彙 37種 58個 (種類率64%) 74点
かかる,かかわる,から考える,くれる,しまう,せる,つかう,できる,と思う,られる,れる,わかる,上がる,使い込む,使う,備える,入れる,合う,壊れる,変わる,学ぶ,尽きる,届く,悲しむ,感じる,扱う,教える,暮らす,曲げる,死ぬ,比べる,気にいる,生きる,目指す,聞く,送る,飛ぶ,

■総合点 88点

■均衡点 -1点
 

モノの良しあし
   中2 あおらえ(aorae)  2025年6月2日

  家具にとって百年とは、短い期間と言える。もし壊れても、無垢の天然木を使っていれば少し修理しただけでまた使うことができる。そして、十年たっても価値が下がることはなく、むしろそれほど使い込んだほうが良くなる。それに比べ、車や家電製品のほとんどは十年以内の寿命である。そしてそれが尽きた後は大体の場合鉄くずの価値しかない。また、無垢の木でできた家具にとって経済面から考えた効果が最も重要な要素ではない。それらを生活の中に入れてみると、人の意識が変わる。木は、種から発芽して数百年から数千年生きる生命力を備えている。また、自らの体を少しずつ大きくするという生産活動をしている間、周りの環境を悪化させない。動物には全く見られないことであり、この期の生き方こそ、人間は学ぶべきだ。

 昨今、人類の技術レベルは確実に上がってきているだろう。例えば曲げられるぺブロスカイト太陽電池が発明されたり、空飛ぶクルマが開発されたりしている。これらは基本的に現在の問題とされている地球温暖化や渋滞の対策、対応策として使うことができる。つまり、現代社会に合っているということだ。だから、新しいものは良い。JR東日本は東北新幹線用にE10系を開発すると発表した。最高時速350kmを目指すらしい。実現すれば、現行の車両よりも時速30km速くなる。さらに、米トランプ大統領は陸上での超音速飛行の禁止を撤廃するよう命令した。さらに、米ベンチャー企業Boomは超音速旅客機の初飛行をすでに成功させ、2029年度を目標に開発中だとしている。太平洋横断は4時間30分ほどとなり、現行の約10時間よりも大分短縮される。

 ただ、古い物に良さがないということではない。古い物にも古い物なりの良さがある。だから、インターネットを使ったら一瞬で相手に届くというのに日本にはお正月になると年賀状を送る慣習がある。アンデルセン童話に小夜啼鳥、またはナイチンゲールという話がある。中国の皇帝はある日ナイチンゲールの歌声に感動したためナイチンゲールは宮中で暮らすことになるが、ある日機械仕掛けのナイチンゲールが送られてくる。皇帝はこれを気にいったが、一年後に壊れてしまった。そして皇帝が重病にかかった時、誰もが死ぬものだと思っていたが本物のナイチンゲールが歌声を聞かせ、回復したという話だ。機械仕掛けのものよりも自然の、本物のナイチンゲールが一番だ、と教えてくれる。

 新しい物も古い物もそれぞれの良さがあり、単純には比べられない。新しい物は確かに時代に合っているが、懐かしさは感じられない。古い物に懐かしさは感じられるが、しかし不便な時代に合わない代物も多い。だが、柳宗悦は「物にも心がある。粗末に扱えば物も悲しむ。」といった。最も大切なことは、新しい物・古い物にかかわらず、今あるものをできる限り大切に使っていくことではないだろうか。どちらであっても、大切に使わなければ宝の持ち腐れである。どちらも最大限つかってこそ、良しあしがわかるはずだ。そうでないと、「物も悲し」んでしまう。