先入観の向こうにやさしさが
小5 あきひろ(asiguru)
2025年6月4日
コオロギの声は、日本人にはきれいで美しく聞こえるが、ヨーロッパでは雑音と捉え雑音と聞こえるといわれる。アオマツムシの声も、帰化昆虫だということを知ってからうるさく聞こえるようになる。知識と習慣は物の見方を変えるといわれる。自分のものの見方や考え方が絶対のものだと思わないことが大切だ。
ぼくがそれを実感したのは、小学2年生のときのことだった。担任の先生は、クラスではとても人気があって、やさしくて楽しい先生だった。でも、家に帰ってその名前を言うと、姉が「その先生、あんまり好きじゃなかった」と言った。ぼくはその言葉に引っぱられて、「え~最悪……」と思いこんでしまった。
次の日から、先生に会うのがちょっとこわく感じていた。でも、何日かたつうちに、本当にやさしい先生なんだと気づいた。あのときの自分は、姉の話をうのみにして、先生のことをちゃんと見ようとしていなかった。それに気づいたとき、心の中が先入観でいっぱいだったことをとても後悔した。その後は、先生のことが大好きになって、卒業して離任されるとき、ありがとうの気持ちをこめて梅干しをプレゼントした。
ChatGPTとこの話を考えながら、「コオロギの声がヨーロッパ人には雑音に聞こえる」という文に目がとまった。どうしてそんな違いが生まれるのか気になって調べていくと、人の耳は、生まれてから毎日聞いている言語のリズムや高さ、強さによって発達すると知った。これを「聴覚のチューニング」というらしい。
日本語は「音の高さ」に敏感な言語で、コオロギの「リーン、リーン」という音の高低差も意味のある音として聞きとれる。だから、日本人には「涼しい」「落ち着く」と感じられるのだ。でも、英語やフランス語などのヨーロッパの言語は「強さ」の変化に敏感なため、虫の音はただの「高くて細かいノイズ」に聞こえてしまう。
また、日本では虫の声は俳句や詩に出てくるような「季節を感じる自然の音」として大切にされている。でも、ヨーロッパでは「環境音」や「背景の音」として扱われ、文学にもあまり出てこないそうだ。
このことからぼくは、同じ音でも、育った言語や文化、知識、思いこみによって、感じ方が大きく変わってしまうということをあらためて知った。そして、アオマツムシのように、ちょっとした知識や先入観で、今まで感じていたことまで変わってしまうことにもおどろいた。
だからこれからは、「自分の感じ方や考え方がいつも正しいとは限らない」ということを忘れずに、いろいろな人の見方を受け入れられる心を大切にしていきたいと思った。