あきひろさん、今回の作文はとても興味深い(きょうみぶかい)テーマを扱っ(あつかっ)ていて、読んでいて思考を巡らせる(めぐらせる)ことができました。
まず、作文の導入(どうにゅう)部で「コオロギの声が日本人には美しいが、ヨーロッパでは雑音(ざつおん)に聞こえる」という比較(ひかく)を取り上げた点が素晴らしい(すばらしい)です。
これにより、文化や知識(ちしき)がどのように(わたし)たちの感じ方に影響(えいきょう)与える(あたえる)かを具体的に示し(しめし)ています。

また、自身の経験(けいけん)を引き合いに出して、先入観による感じ方の変化を説明した部分は、非常(ひじょう)に説得力がありました。
個人(こじん)的なエピソードを用いることで、読者にも共感しやすく、メッセージが心に届き(とどき)やすくなっています。

さらに、あきひろさんが調査(ちょうさ)を行い、言語や文化の違い(ちがい)がどのように感覚に影響(えいきょう)与える(あたえる)かを学んだことを具体的に綴った点も評価(ひょうか)できます。
これによって、ただの感想に留まら(とまら)ず、教育的な価値(かち)も感じられる内容(ないよう)になっています。

最後に、自分の考えが絶対(ぜったい)ではないという教訓を得て、他人の意見に寛容(かんよう)になろうとする姿勢(しせい)は、非常(ひじょう)成熟(せいじゅく)した思考を示し(しめし)ており、感銘(かんめい)を受けました。
これからも多角的な視点(してん)で物事を捉える(とらえる)力を育てていってください。

項目(こうもく)評価(ひょうか)
・たとえがうまく使われています。
・前の話や聞いた話がよく書けています。
・わかったことがよく書けています。
・書き出しの結びがよく書けています。
 

森リン評価 先入観の向こうにやさしさが   na 06月4週 あきひろ
字数/基準字数:
1157字/500字
思考点:59点
知識点:63点
表現点:67点
経験点:63点
総合点:70点
均衡点:7点
●語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
1200字換算
 
思考点:61点
知識点:65点
表現点:69点
経験点:65点
総合点:65点
均衡点:7点
●換算語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
●語彙の説明
語彙種類個数種類率点数説明
思考語彙13種13個100%59点考える言葉です。
理由、方法、原因などの説明の語彙。
多すぎると、説明の多い硬い文章になる可能性があります。
知識語彙37種51個73%63点難しい言葉です。
社会的な例や調べた例の語彙。
多すぎると、難しい言葉の多い重い文章になる可能性があります。
表現語彙86種137個63%67点豊かな言葉です。
話題の幅が広い語彙。
多すぎると、散漫な文章になる可能性があります。
経験語彙29種48個60%63点詳しい言葉です。
身近な例や経験した例の語彙。
多すぎると、身近な話の多い狭い文章になる可能性があります。
種類率は、60%以上が目標。70%以上の場合は多様な語彙が使われています。
1157字
 59点
 63点
 67点
 63点
字数 思考語彙 知識語彙 表現語彙 経験語彙

 


■思考語彙 13種 13個 (種類率100%) 59点
 だから,。だから,。どうして,いうらしい,いくと,さによって,と思う,なため,を考える,忘れざる,思いこみによって,見よう,言うと,

■知識語彙 37種 51個 (種類率73%) 63点
人気,俳句,先入観,先生,卒業,名前,変化,大切,季節,実感,小学,年生,後悔,意味,担任,敏感,文化,文学,日本,日本人,日本語,最悪,毎日,環境,発達,知識,聴覚,背景,自分,自然,英語,見方,言葉,言語,雑音,離任,高低,

■表現語彙 86種 137個 (種類率63%) 67点
いろいろ,うち,うのみ,こと,これ,さ,そう,その後,それ,ただ,とき,なため,ぼく,よう,ん,クラス,コオロギ,ノイズ,フランス語,プレゼント,ヨーロッパ,リズム,中,人,人気,今,何,俳句,先入観,先生,卒業,名前,声,変化,大切,大好き,好き,姉,季節,実感,家,小学,差,年生,後悔,心,意味,感じ,担任,敏感,文,文化,文学,方,日,日本,日本人,日本語,最悪,梅干し,次,毎日,気,気持ち,環境,発達,目,知識,考え方,耳,聴覚,背景,自分,自然,英語,虫,見方,言葉,言語,詩,話,違い,雑音,離任,音,高低,

■経験語彙 29種 48個 (種類率60%) 63点
おどろく,こめる,しまう,たつ,とまる,とれる,と思う,られる,れる,を考える,会う,出る,受け入れる,変わる,帰る,引っぱる,忘れる,思いこむ,感じる,扱う,気づく,生まれる,知る,聞く,聞こえる,育つ,落ち着く,調べる,限る,

■総合点 70点

■均衡点 7点
 

先入観の向こうにやさしさが  
   小5 あきひろ(asiguru)  2025年6月4日

 コオロギの声は、日本人にはきれいで美しく聞こえるが、ヨーロッパでは雑音と捉え雑音と聞こえるといわれる。アオマツムシの声も、帰化昆虫だということを知ってからうるさく聞こえるようになる。知識と習慣は物の見方を変えるといわれる。自分のものの見方や考え方が絶対のものだと思わないことが大切だ。

 

 

 ぼくがそれを実感したのは、小学2年生のときのことだった。担任の先生は、クラスではとても人気があって、やさしくて楽しい先生だった。でも、家に帰ってその名前を言うと、姉が「その先生、あんまり好きじゃなかった」と言った。ぼくはその言葉に引っぱられて、「え~最悪……」と思いこんでしまった。

 

 次の日から、先生に会うのがちょっとこわく感じていた。でも、何日かたつうちに、本当にやさしい先生なんだと気づいた。あのときの自分は、姉の話をうのみにして、先生のことをちゃんと見ようとしていなかった。それに気づいたとき、心の中が先入観でいっぱいだったことをとても後悔した。その後は、先生のことが大好きになって、卒業して離任されるとき、ありがとうの気持ちをこめて梅干しをプレゼントした。

 ChatGPTとこの話を考えながら、「コオロギの声がヨーロッパ人には雑音に聞こえる」という文に目がとまった。どうしてそんな違いが生まれるのか気になって調べていくと、人の耳は、生まれてから毎日聞いている言語のリズムや高さ、強さによって発達すると知った。これを「聴覚のチューニング」というらしい。

 日本語は「音の高さ」に敏感な言語で、コオロギの「リーン、リーン」という音の高低差も意味のある音として聞きとれる。だから、日本人には「涼しい」「落ち着く」と感じられるのだ。でも、英語やフランス語などのヨーロッパの言語は「強さ」の変化に敏感なため、虫の音はただの「高くて細かいノイズ」に聞こえてしまう。

 また、日本では虫の声は俳句や詩に出てくるような「季節を感じる自然の音」として大切にされている。でも、ヨーロッパでは「環境音」や「背景の音」として扱われ、文学にもあまり出てこないそうだ。

 このことからぼくは、同じ音でも、育った言語や文化、知識、思いこみによって、感じ方が大きく変わってしまうということをあらためて知った。そして、アオマツムシのように、ちょっとした知識や先入観で、今まで感じていたことまで変わってしまうことにもおどろいた。

 だからこれからは、「自分の感じ方や考え方がいつも正しいとは限らない」ということを忘れずに、いろいろな人の見方を受け入れられる心を大切にしていきたいと思った。