個性的な子供の頃のお母さん
小4 はるまき(akoruka)
2025年7月1日
個性的な子供の頃のお母さん
はるまき
「この服とこの服、どっちがいいと思う?」
太陽が眩しい朝。お母さんは、私にそう聞いてきた。
「うーん、どっちも似合うと思うけど⋯こっちの方が動きやすくていいんじゃない?」
私は、重いまぶたをこすりながらそう答える。
「そう、ありがとう!」
ありがとうと言いながら、その服をもう一度体に合わせるお母さんを横目に、私はそんなお母さんの子供の頃が気になっていた。
今はファッションに気をつけているお母さんは、子供の頃もおしゃれだったのだろうか。それとも、特に気にしていなかったのだろうか。そんなことを、お母さんに聞いてみることにした。
「私、ずっと黄色の服を着てたの!」
「えっ!?」
今はふんわりとした印象の水色や桃色が好きなお母さんも、小さい頃は元気な黄色が好きだったのだろうか。
「なんでわざわざ⋯?」
するとお母さんは、困ったように微笑んだ。
「私、弟がいるでしょ?だから、弟にあげられるように、男の子も着やすい黄色の服をずっと着せられていたの!」
「えぇっ⋯」
予想外の答えに、私は顔をしかめた。私だったら、自分の好きなタイプの洋服を着たい。そのことについて、お母さんはどう思っていたのだろうか。
「別に、ふーん、いいアイデアだなー。ぐらいしか思ってなかったよ!」
「えぇっ⋯」
おしゃれな今のお母さんと大違いだ。大人になると、みんなファッションに気をつけるようになるのだろうか⋯。私は、弟がいる女の子の友達の服を観察してみることにした。その子の服は、ピンク色のフリルつきワンピースなど女の子っぽい服で、電車好きのその子の弟とは大違いだった。今のお母さんとは違う子供の頃のお母さんのファッションに、少し驚いた。
私はそろばんと文房具にハマっているが、お母さんは子供の頃何にハマっていたのだろう。
「私ね、モンチッチっていうお人形にハマっていたの!大ブームになったから、私以外にもハマっている人がたくさんいたんだ!」
モンチッチは、たまに見たことがある。栗色のふさふさした毛に、つぶらな瞳。確かに、流行りそうだ。
「それでね、ずっと抱いて寝ていたの。そしたら、モンチッチの毛をブチブチ取って鼻の中に入れるクセがついちゃったの!それで、鶏の皮みたいになっちゃったんだよね〜」
それはちょっとモンチッチが可哀想かも⋯というよりも、そんなに奇抜な行動をするお母さんの子供の頃にびっくりした。
お母さんは、学級委員長タイプの私とは違ってけっこう個性的な子供だったんだなぁと思う。今のしっかり者のお母さんとは大違いだし、そんなお母さんの個性をたくさん見つけていきたいなと心の中で思った。