想い
   小6 よしたか(yositaka)  2025年7月1日

 プレゼントとは何かと問われたとき、僕はそれを「思いを形にしたもの」だと答えたい。物そのものよりも、それにこめられた感情や記憶こそが、人の心に残るからだ。年に一度、クリスマスの朝に届くサンタクロースからの贈り物は、幼い私にとってまさにその象徴だった。



 サンタクロースの歴史をさかのぼると、その起源は3世紀の司教・聖ニコラウスにたどり着く。彼は貧しい人々にそっと贈り物を届けたと言われ、その慈愛と秘められた行動がやがて伝説となり、現在のサンタ像へとつながっていった。贈ることに見返りを求めず、ただ誰かを思って行動するそれがプレゼントの本質だと、僕は感じている。



 僕も毎年、サンタクロースからプレゼントを受け取ってきた。1年生のときは「アニアのフィギュア」、2年生は「ドラえもんの人生ゲーム」、3年生は「カービィ」のぬいぐるみ。どれもその年に私が夢中になっていたキャラクターで、喜びと共に記憶に残っている。だが、今も強く印象に残っているのは4年生のときに受け取った贈り物だった。



 包装紙を破いたとき、最初に目に入ったのは灰色の正体不明の何かだった。思わず「何これ」と口に出し、少し涙が出そうになった。だが中から現れたのは、自分が考えたオリジナルキャラクター「タピオカ王」のぬいぐるみだったのだ。自分の空想の中でしか存在しなかったキャラクターが、立体的な存在としてそこにある。その瞬間、胸に熱いものがこみ上げた。世界にひとつしかない自分だけのぬいぐるみは、今でも宝物だ。5年生では、そのタピオカ王をモチーフにした着ぐるみ風のパーカーをもらった。袖を通すたび、自分が作り出した世界に包まれているような不思議な安心感があった。ただの衣服ではなく、「自分という存在」を受け入れ、楽しんでくれている人がいるという証のように思えた。母はよく「手紙のような、気持ちが伝わるプレゼントが一番うれしい」と言う。物の価値ではなく、そこに込められた心にこそ意味があるのだと、母は教えてくれた。それは大人になった今、少しずつ実感としてわかるようになってきた。受け取った瞬間の驚き、喜び。それらはすべて、贈る側の「あなたを思っています」というメッセージから生まれるものだと思う。



 プレゼントはただの物質ではなく、思いや願い、愛情の象徴だ。その形は人それぞれだが、本質は変わらない。「誰かを思う心」を、言葉ではなく形で伝える手段として、プレゼントは今も昔も人々の間で受け継がれている。



 タピオカ王のぬいぐるみを見つめると、今でもあの日の気持ちがよみがえる。プレゼントには、あの瞬間の心が永遠に宿るのだと思う。