相手の成長を本気で考えるやさしさがこめられていて、読んでいて深く考えさせられました。とても読み応えのある意見文です。

<<え2011/32jみ>>

【総評】
 「手助け」をめぐる複雑な側面を、自分の体験と外部の例をまじえながら丁寧(ていねい)掘り下げ(ほりさげ)た内容になっています。弟への手助けや、勉強のエピソード、昔話「かさじぞう」、そしてダーウィンの名言といった素材がよくつながっており、読みごたえのある論理展開ができています。最後のまとめも、相手の成長を(じく)に手助けの価値を再定義しており、深い思考が感じられます。

【段落ごとの講評】
第1段落:弟の具体的な成長の様子から、手助けの意義を自然と引き出しています。「やる順番が同じだった」という観察から、手助けの効果を読み取る視点が鋭い(するどい)です。

第2段落:手助けが人に喜びを与える(あたえる)ことを、自分の意見と昔話を交えて説得力ある形で展開しています。「かさじぞう」の取り上げ方も的確で、物語の教訓をうまく応用しています。

第3段落:自分の学習経験から、手助けの「しすぎ」が逆効果になることを実感として語れており、「ヒントを出す」という提案が具体的で現実的です。

第4段落:ダーウィンの名言を取り入れ、「変化に適応する」という考え方を手助けの判断に重ねた視点はとても秀逸(しゅういつ)です。思考が論理的でありながら、温かさも感じさせる文章になっています。

【特に優れていた点】
・自分の経験と客観的な引用をバランスよく使い、説得力のある構成ができている
・「ヒントを出す」など、助け方の工夫まで具体的に示せている
・「かさじぞう」やダーウィンの名言を的確に使い、主張に深みを加えている
・「成長させようという意志」が主題として一貫(いっかん)しており、結びも見事

【考えを深めるための質問】
 これから(だれ)かを手助けするとき、「どのように」助けると、その人が自分の力で成長できると思いますか?

 


■思考語彙 29種 32個 (種類率91%) 100点
 だから,、なぜ,。しかし,。だから,。つまり,。同様,から考える,しまうから,しまうと,すぎると,すると,せよう,そのため,だろう,とりあえず考える,と思う,と考える,ないため,ないと,ない可能,なおそう,なければ,なので,のかも,は考える,も可能,伝えるため,手助けによって,言い換えると,

■知識語彙 55種 72個 (種類率76%) 75点
一挙,一瞬,三角形,中学,他人,先生,出番,効果,勉強,合同,問題,善意,図形,固執,地蔵,場面,変化,大切,大変,大晦日,失敗,宿題,将来,年生,幼児,後日,得策,意志,感謝,成長,教科書,方法,日本,昔話,時間,正月,準備,生存,生活,生物,目的,相手,納得,結果,翌日,習熟,自分,自身,趣旨,連絡,進化,適応,鉛筆,順番,食材,

■表現語彙 121種 191個 (種類率63%) 83点
。同様,うち,お金,がち,こと,これ,ころ,さん,すべて,そのため,それ,ぞう,ないため,ない可能,ほう,もの,も可能,よう,ら,カ月,ダーウィン,チャールズ,ノート,ヒント,ランドセル,一,一挙,一瞬,三角形,中学,丸,人,人助け,今,他人,付け,伝えるため,側,傘,先生,出番,効果,勉強,半,合同,問題,善意,回,図形,固執,地蔵,場面,売り物,変化,外,夜,大切,大変,大晦日,失敗,宿題,将来,帰り道,帳,年生,幼児,後,後日,得策,性,意志,感謝,成長,手助け,教科書,数,方法,日,日本,昔話,時,時間,机,楽,様々,正月,準備,爺さん,生存,生活,生物,用,町,的,目的,相手,私,種,答え,納得,結果,翌日,習熟,考え,自分,自身,論,赤,趣旨,連絡,進化,適応,野ざらし,鉛筆,門,集,雪,面,順,順番,食材,

■経験語彙 55種 81個 (種類率68%) 101点
かす,かぶせる,から考える,くれる,しまう,しれる,すぎる,せる,できる,とりあえず考える,と思う,と考える,なおす,なくなる,は考える,まとまる,まとめる,もらう,やめる,やる,れる,わかる,伝える,使う,入る,出す,出る,分かれる,削る,助ける,向ける,唱える,喜ぶ,困る,増える,増やす,売る,売れる,役に立つ,手伝う,持つ,接す,教える,気づく,決める,無くなる,生き残る,繰り返す,置く,解く,言い換える,話す,買える,過ぎる,違う,

■総合点 88点

■均衡点 -1点
 

目的意識
   中2 あおらえ(aorae)  2025年7月1日

  人は、手助けによって成長していく。生まれたときは何もできないが、様々な場面で助けられることによっていろいろなことができるようになる。それは、家の中でも学校でもおこっている。私には小学生一年生の弟がいる。入学当初は、夕方に小学校へ行く準備を手伝っていた。それから一瞬のうちに2カ月半が過ぎ、今では一人で準備をするようになった。ランドセルから入っているものを出し、鉛筆は削り、連絡帳を机に置き、翌日使う教科書やノートをランドセルへしまう。そのため、私の出番は宿題の丸付けほどでしかなくなっている。しかし、なぜかそれをやる順番は私が助けていたころにやっていた順と同じであった。人は手助けによってできることが増える。つまり、言い換えると、手助けがなければ人は成長できないということだ。

 だから、手助けはよいと思う。勉強面、生活面における手助けは、一人が自身でできることを増やすことができる。また、手助けによって困っている人を、たとえ赤の他人であっても喜ばせたり、楽にさせたりできる。日本には、「かさじぞう」という昔話がある。大晦日に爺さんはお金がなく、正月用の食材が買えないため町へ傘を売りに行ったが、全く売れなかった。帰り道に雪に野ざらしにされている地蔵さんを見て、売り物の傘をかぶせた。これを地蔵さんは大変喜んだという。その日の夜、地蔵さんらが感謝を伝えるために様々な食材を門の外に置いて行ってくれたという話しだ。このような善意による人助けは、人の役に立ち、また人を喜ばせることができる。

 だが、手助けをしすぎると相手は成長しない可能性もある。すべてのことを一挙に教えてしまうと、相手は考えることをやめる、もしくは自分なりの考えをまとめる時間が無くなってしまうからだ。中学1年生の時の図形の問題集を解いていた時にわからない三角形の合同についての問題が出てきた。そこで先生に教えてもらったが、後日解きなおそうとするとどうもうまくいかない。そのような失敗を数回繰り返すうちに、自分の考えがまとまっていなかったことに気づいた。自分の考えがはっきりとしていないと、一回教えてもらって納得しても、それは答えを見ていることと同じであると考える。だから、どのような難しい問題でも、とりあえず考えることが大切であるし、助ける側としては、まずはヒントを出すほうが相手の習熟は速くなるだろう。

 手助けをしたほうが良い場面と、そうでない場面とに分かれるが、それをどう決めるかは難しく、結果論になってしまいがちだろうと思う。だが、実際に効果は全く違う。「生き残るのは、最も強い種でも、最も賢い種でもない。最も変化に適応できる種である」と進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンは言った。生存という目的に向けて、生物は方法に固執することなく、様々に変化していったほうが得策であるという趣旨だ。同様に、手助けにおいてもするかしないかは後から考えることも可能なので、先ず手助けする相手を成長させようという意志を持つことが最も大切である。幼児にも、そのような意志を持って接したほうが将来的にできることが増えるのかもしれない。