どんな面も
   中3 あおさみ(aosami)  2025年6月4日

 目に見えるものをそのまま信じてしまうのではなく、影となって見えない部分にあるかもしれない事実にも目を向けられる人になりたい。

 そのための方法として第一に、情報を疑う姿勢を持つことだ。私は新聞を読むのに30分以上をかける。毎日23面ほどある新聞を読むにはかなりの体力と集中力が必要だ。新聞の国際面にはガザやウクライナを中心とした記事が載っている。どこでどのような攻撃があり、どのくらいの被害があったのかなどといった現状が書かれているのだ。注目すべき点は、「どこが」そのような発表をしたのかということだ。英やロシア、ウクライナの国防省、アメリカやイスラエル政府、国際機関など、組織はさまざまである。小説に読み慣れてくると3行や5行を一度に読んだり、飛ばして読んだりするようになる。だが新聞に慣れてきても一単語も見逃して読んではいけない。なぜなら組織が報道する情報がそれぞれ違うことがあるからだ。情報の持つ力を使い、自分たちにとって有利に人々を仕向けようとしている思惑が伺える。なので、情報を得るときにはその情報源を明確にしなければならない。そして一つの情報が全てだとは思わず、さまざまな立場の人からの情報を手に入れるべきだ。今の社会で事実の情報が手に入る可能性は高くはないだろう。また事実を誰も知らないということもある。だから心の余地を残しつつ、情報と付き合うことが大切だ。

 その第二の方法として、自分の考えを持つことである。自分の考えとは、ものごとに対して、自分の価値観や経験、情報などをもとに自分なりの解釈を築いていくことだと考える。情報を受け取るだけで終わらせず、それをどう受け止め、どう思うのかと自問することが大切だ。社会には、基準やアンコンシャス・バイアスが多数存在する。その存在に気づくためには、まず「知ること」。次にその情報をもとした自分の考えを噛み砕くことがあると思う。このことをガムに例えてみたい。ガムは何回も噛む、そしてカメが噛むほど柔らかく、味のないものになる。このように「考え」も、何度も情報を反芻することで、より抽象化され、柔軟性の帯びたものになってゆく。多様性が重視されている現代は、正解のない問が多く存在する。あやふやな考えも持っていると、道に迷ってしまう。だから何かに書いたり、誰かに話してみたりして考えを整理することも重要になっていくのだ。6月はプライド月間である。プライド月間とはLGBTQ+の権利について啓発を促す活動を活発にする月間のことだ。LGBTQ+といえば、トランプ大統領が「性別を女性と男性の2つにする」という大統領令に署名したことが記憶に新しい。私はレインボーカラーのアイテムを着用する、周りの人にプライド月間、LGBTQ+のことについて伝えてみることなどしかできない。だが、水面にしずくが落ちない限り波紋は広がらないという思いから、少しずつ参加していきたい。自分の考えを持つと、「考え」という内なるものから「行動」へと広がっていくのだ。

 確かに、メディアで大々的に取り上げられていることは整理されていて、取り入れやすい。しかし、「花はだれがみていなくても咲いている」という言葉があるように、当事者だからこそ見えているものがある。私たちにできることは、多様な考え、情報があることを心の隅に置き、適応能力を高めることだ。疲れたら距離を取ったり、知りたいという好奇心に従って深く掘り下げてみたり、自分に合う付き合い方をしていけるとよい。