お米の大切さ
小6 あえさた(aesata)
2025年7月2日
ケーキミックスは大ヒットした。アメリカ国内で売り出すと、ヨーロッパやオーストラリアにも進出していた。ところが、ケーキミックスは日本の市場では完全な失敗だった。日本の食文化におけるお米の重要さはいうまでもない。その御飯をたくのと同じ器でケーキを作るとバニラやチョコレートに汚染されてしまうのではないか――。日本の主婦が引っ掛かったのはそこだった。
「パンやラーメンは少しくらい残しても何も言われないのに、お米だけは一粒も残さず食べなさいって、なぜだろう?」。ある日、母に注意されたとき、そんな疑問が心に浮かんだ。僕たちが毎日のように食べている白いごはん。でも、お米だけが特別に大切にされているのはどうしてなのか、考えてみることにした。
小学五年生のとき、学校の社会科の授業で、お米ができるまでの過程を学んだことがある。田おこし、水の管理、田植え、草取り、そして稲刈り。どれも簡単な作業ではなく、時間も労力もかかる。特に真夏の炎天下で泥だらけになりながら働く農家の人たちの姿を映像で見たとき、胸がぎゅっとなった。自分が当たり前のように食べていたごはんが、こんなにもたくさんの苦労の上にあると知り、「こんな大事なものを、残しちゃいけない」と強く思った。
さらに父にその話をすると「お米は日本人にとってなくてはならない、あるのは当たり前だと思ってしまうけど大切な物なんだよ。」と教えてくれた。そう言われて、お米ってなんだかすごいんだな、とあらためて感じた。ごはん茶わんに一粒でも残っていると、「きれいに食べなさい」と言われるのも、ただのマナーじゃなくて、お米にこめられた感謝の気持ちを忘れないためなんだと思った。
もし、お米がまったく食べられなくなったらどうなるだろう。おにぎりも、カレーライスも、チャーハンも、全部なかったことになってしまう。僕にとっては、ごはんがあるだけでホッとするし、食卓がちゃんとして見える。だから、もしお米がなかったらと思うと、なんだかとてもさびしくて、食事そのものが物足りなくなる気がした。日本人にとって、お米は心のよりどころのような存在なんだと思う。
また世界にはどんなマナーがあるのか調べてみた。世界には、食べ物に対する考え方やマナーが国によってちがっている。たとえば、インドでは右手で食べるのがマナーとされ、左手を使うのは失礼になるらしい。中国では、麺をすするときに音を立てるのが「おいしい」というサインになるという。また、フランスではパンくずを残さず、きれいに食べるのがマナーだ。一方で、アメリカやイギリス、フランスなどでは、食事中に音を立てることは行儀が悪いとされていて、まったく逆の考え方なのだと知った。このことから分かるようにそれぞれの国で食べ方やマナーに違いはあるけれど、どの国でも「食べ物を大切にしよう」という気持ちは共通しているのだと思った。
人間にとってお米とはただの主食ではなく、人の努力と文化が詰まった大切な存在なのだ。だから僕はこれから命への感謝や自然への思いやりを大切にしていきたいと思う。「粒々辛苦」ということわざがあるように、一粒のごはんのうしろには、多くの人の苦労や時間がある。そのことを思えば、たった一粒でもむだにせず、大切に食べていきたいと心から思う。