愛情
中2 あおらえ(aorae)
2025年7月2日
赤ちゃんが事象を指して話す言葉であるが、日本語文化圏などにおいてこれら一群の単語は大人が赤ちゃんに向かって語りかけるときにもまったく同じ要領で使用される。しかし、同一の人物がほかの成人に対して同様に話す場合には相手はとても奇異に受け取ることは疑いない。しかし、それがフランス語文化でそれはほとんど聞かれないという。赤ちゃんに対しても、大人に対するのと大差ない言葉の用法を使用する。ただし、母親語は歴然として存在している。そもそもフランスでは子供中心の家庭生活を営みがちな日本語文化圏とは異なり、かなり著しい対照をなすことが多いようだ。すなわち、赤ちゃん言葉の現象は文化によって大きく左右される。
日本語文化圏での子育て方法、つまり子供に大人を合わせる子育て方法は良い。子供の年齢によっても変わってくるが、最初は全員うまく言葉を話せないところから始まる。大人側が子供と話す言葉を共通なものとすることによって子側は何も不都合なく会話することができる。さらに、言葉を一にすることにより、より親しみを感じられ、より親の子に対する愛情がわく。米スタンフォード大学などの研究によると16カ国、2329人の赤ちゃんが通常の会話よりも赤ちゃん言葉を明らかに好むことが判明した。また、これを使用するときが多いほど、24か月時点の発話語彙量が増加したという分析結果もある。さらに、UCLAの研究ではモノリンガル・バイリンガル環境を問わずに早期言語獲得のスピードに差はないと報告されている。
ただし、大人が子供を「小さな大人」として捉え、成人に対するのと変わらぬ語りかけを行うこともよい。グリム童話に「おやゆびこぞう」という話がある。昔、子供のできなかった夫婦に親指ほどの大きさの男の子が生まれ、様々な冒険をするというあらすじである。その冒険には人に売られそうになる、牛に飲み込まれそうになる、狐に連れ去られるといったものがあるが、おやゆびこぞうはそれらを切り抜けてゆく。その冒険に夫婦は付き添っていなかったが、しかし彼は話し合いをしたり、馬車を動かしたりと大人として捉えられ、またそう行動していた。そのように大人として周りからとらえられることで自らの精神的な成長が行われていく。
確かに、子供に大人を合わせる子育て方法と、子供を大人に合わせる子育て方法のどちらにも、実際に両方が世界で使われている通り、それぞれの良さがある。しかし、修道女のマザー・テレサは過去に「大切なのは、どれだけたくさん与えたかではなく、どれだけ心を込めたかである」と言っていた。どれだけ赤ちゃん言葉を使って会話したのか、もしくはどれだけ子供に対して「大人の言葉」で語りかけたかは、子に対する愛情、子に対する思いの前ではそれほど大事でないと感じる。子育てにおいても、最も「大切なのは、どれだけ心を込めたか」だと、どれだけ子供のことを思ったのかであると。