食の移り変わり
小5 あえひの(aehino)
2025年7月3日
葉を食べるという事は、ずいぶん効率の悪い事なのである。普通草食の哺乳類でサイズの小さい物は、葉だけを食べるという事はせず、もっと栄養のつまっている果実や種子や貯蔵根を食べる。小さい哺乳類は、体重当たりで比べれば非常に多くの食べ物を必要とするから、栄養価の低い葉っぱだけで生きていく事は難しいのだろう。サイズの大きな哺乳類でも、草に含まれている細胞質だけから栄養を取る事はせずに、もっと優れた方法を編み出した物が繁栄している。昆虫の成功の秘訣は、大量にありながら他の動物たちがあまり手をつけなかった葉っぱという食物に目を付けたところにある。昆虫は、羽化を節目として食性と運動性を切り替える。幼虫期は、あまり動かずひたすら食べる。羽化して成虫になると、飛び回る事が最優先になり、消化が良く栄養価が高い物を食べる。例えば花の蜜は、栄養の水溶液、つまりドリンク剤のような物だから、吸収が良く、重い胃袋を抱えてよたよた飛ぶ事にならず、都合がいい。
人間の栄養摂取もまた年齢と共に大きく変容する。乳児期には母乳から離乳食へ、さらに普段の食事へと移行する。わかりやすい例で言うと、お酒だ。お酒は〇歳から、一九歳までは禁止なので、二〇歳から、アルコールも飲めるようになって、圧倒的に食生活が変わる。それに、モンシロチョウも、甘藍等のアブラナ科の物から、花の蜜等の、栄養価が高い物を食べる。つまり、成長に合わせて食べ物が変化しているという事だ。という事は人間も同様で、成長段階や、歳によって必要な栄養や食べ方が変化している。
ペンギンはどうだろうか。ペンギンはずっと魚を食べている印象がある。調査によれば、皇帝ペンギンの赤ちゃんは「ペンギンミルク」という物を飲むそうだ。これはペンギンのお父さんが子どもにエサをやるために、約二か月間絶食して、自分の胃や食道の粘膜を溶かして子供にあげる物だそうだ。ペンギンミルクの成分には、タンパク質や脂肪がたくさん含まれていて、まるで本物のミルクのような役割を果たしている。ちなみにペンギンのお母さんは、卵を生んですぐに出稼ぎに出るそうだ。だから、お母さんは出稼ぎから帰ってきて初めて赤ちゃんに会うらしい。生まれてから数日間、長いときは数週間お母さんがいないのは可哀想だ。人間はお母さんから母乳が出るので役割が両親で反対だけど、ペンギンが出しているのは「ミルク」と呼んでいるけど実は粘液なので、単純な役割逆転ではないのだと思う。ペンギンは生まれてから魚を食べているイメージだったけど、赤ちゃんの時代には本当はペンギンも年齢によって違う物を食べていると言える。
このように、食べる物が年齢によって変わらない生き物はいないのではないだろうか。なぜなら、変わらないと思っていたペンギンでも、小さい頃にはペンギンミルクという物を飲んでいたからだ。人間が赤ちゃんに離乳食を与えるのは、歯がまだないから、いきなりお肉を与えたら噛む事ができなくてそのまま飲み込んで窒息してしまうからだ。それと同じように、ペンギンも生まれてすぐにいきなり魚を与えられたら、飲み込めず苦しくなる。だからペンギンミルクを飲む。生き物はみな、自分の身体の大きさや成長具合に対応する物を食べて育ち、命を繋いでいるのだと思う。