ゆっくりで
中3 あおさみ(aosami)
2025年7月1日
幼いの頃布団の中で初めて読む昔話の定番として、イソップ童話の「うさぎとカメ」がある。「うさぎとカメ」はうさぎとカメが競争をする話である。走って休むうさぎと、ゆっくりだが止まらないカメ。最初にゴールテープを切ったのはなんとカメだ。急がば回れという言葉があるように、私はカメのようにゆっくり着実に生きていきたい。
そのための方法として第一に、目標を見据え、それに向かって進むことだ。人生には道しるべが必要だ。常に彷徨っている状態だと前へ進むことができない。いつの間にか私も誕生日を迎え15歳となった。今年の冬には高校受験もある。高校受験という4文字は学校でテストも受けない私にとって未知の世界だ。最近夏休みも近づき、やっと高校受験と向き合う覚悟ができた。手探り状態なためネットで高校受験への心構えや頭の中の整理について検索した。手順に沿って一つずつ目標を正確にする。最近志望校が変わったことで勉強する量や教科の偏りも変化した。この時期は自分のことを熟知し、臨機応変に対応しなければならない。そのための一歩として目標を見据え、逆算をし計画を立てることが大切になってくるのだ。テストに慣れるために二学期からはテストをいつどのくらい受けに行くか、一日何時間どの教科を勉強するのか、苦手な古文や理科を集中的に勉強するなど自分のことを分析し、自分に合ったペースの計画をたててみる。目を瞑ったまま歩いていると、障害物や分かれ道に出会っても適切に処理することができない。対して目標を見据えていると、目が開いた状態で地図もあり、「オズと魔法使い」に出てくる黄金の道のように導いてくれるということになる。方向音痴の私はとてもありがたい。カメも頭の中で、うさぎの昼寝の時間や速さをふまえ、自分の進むべき速さを計算していたのだろう。もっともカメはただ自分のベストを尽くしていただけかもしれないが。
第二に、長所を伸ばし、もっと長い目で成長を見守るような社会になることだ。検索してから出てくるまでの時間や膨大な計算をこなす速さまで競い、タイムパフォーマンスという言葉が重視される今の社会では無意識のうちにお互いをせかし合っている可能性がある。学生時代から適応能力や即戦力、目に見える結果を求められ、月刻みに行われるテストで前回以上の結果が出るよう努めるべきだと思われる。このような環境にいると焦ってしまい、プレッシャーが不安やストレス生んでしまう。また心の余裕を失うことにもなる。ここでカメのことを思い出してみてほしい。彼は周りと比べると遅く、一貫して進み続けるのは地道で飽きそうに思える。だがその中でカメはカメのペースで進み、ゴールへと達した。ここから自分のペースで進むことがいちばんの近道なのだということを学ぶ。結果を急ぐのではなく、長期的な視点で確実な成長過程を重視することが大切である。そうすることで持続的な成長を促し、基盤の形成に時間をかけることができる。得意不得意や成長の仕方は人それぞれだ。短所をなくすのではなく、短所が霞むぐらい長所を伸ばしていくべきだ。最近通知表の評価基準も変わりつつある。社会がもっと自分のペースで成長できる環境になるとよい。
確かに、効率よく淡々と進む生き方もあるだろう。しかし、「毎朝、歯をみがくのに、1週間分をまとめて一挙にという人はいない」という言葉があるように、焦らず目標に向かってこつこつと進んでいきたい。周りと比べて焦ってしまうのは、自分の軸が出来上がっていないからだ。焦らず自分のペースで生きていくためにも、目標を見据えておくべきだろう。人生は速度ではなく、進む方向だと思っている。具体的な目標でなくても、理想とする人間性や価値観を大切にしていこうと思う。