子供と大人の個性
   小4 はるまき(akoruka)  2025年7月4日

     子供と大人の個性

             はるまき

 「このワンピースとこのトップス、どっちが私に似合うと思う?」

太陽が眩しい朝、お母さんはいつも私にそう聞いてくる。

「う〜ん⋯こっちトップスの方が動きやすくていいと思うよ。」

私は、重いまぶたをこすりながら答える。ありがとうと言いながら私が選んだトップスを体に合わせる、そんなお母さんの子供の頃が気になっている私がいた。

 ファッションや容姿に気をつかっているお母さんは、子供の頃もおしゃれだったのだろうか。そんなことを、お母さんに聞いてみることにした。

「私ね、ずっと黄色い服を着てたんだよねー。」

当たり前のようにそう答えるお母さん。まさかっ、そんなことが⋯!!今は淡い色が好きなお母さん、なぜ子供の頃は元気な黄色い服を着ていたのだろう。

「私、弟がいるでしょ?だから、弟に小さくなった服をあげやすいように、男の子も着やすい黄色の服をずっと着ていたんだよね〜」

予想外の答えに、私は顔をしかめた。私は、弟がいても自分の好きなタイプの洋服を着たい。ずっと黄色の服を着せられることを、お母さんはどう思っていたのだろうか。

「別に、いいアイデアだな〜くらいしか思ってなかったよ!」

今はおしゃれなお母さんから、毎日黄色い服を着ている姿を想像することができない。大人になると、自然と容姿に気をつかうようになるのだろうか。まぁ、私が大人になったときには、お母さんの気持ちもわかるようになるだろう。

 私はそろばんと文房具にハマっているが、お母さんの子供時代は何にハマっていたのだろう。

「私ね、モンチッチにハマってたんだよねー!」

モンチッチ。あの猿の人形か。つぶらな瞳にふさふさした毛、あまり猿のような姿ではないが、とてもかわいい。そういえば、お母さんが生まれた1970年代はモンチッチが大ブームを巻き起こしていたと聞いたことがある。流行にはいちおう乗っていたことがわかる。

「それで、ずっとモンチッチを抱いて寝てたら、モンチッチの毛をブチブチ取って、自分の鼻の中に入れるクセがついちゃったの!」

これは、腰が抜けそうになるびっくり仰天な話だ。病院に行って、毛を処理してもらうのも大変だったそうだ。でも、モンチッチが鶏の皮のようになっている姿はなかなか想像できないので、毛が抜けたモンチッチを見てみたいなとも思った。

 学級委員長タイプの私に比べて、今はしっかり者のお母さんは、だいぶ個性的な子供だった。もしかしたら私も、逆にこれから個性的になっていくかもしれないので、そんな子供から大人になる変化を存分に楽しみたいなと心の中で思った。