レンタル
中3 あうえあ(auea)
2025年7月3日
何といっても、現代技術を特徴づけるのは豊富な工業製品の氾濫であろう。少なくとも先進工業国においては、高い生産性に裏づけられた安価で高品質の工業製品を容易に入手することができる。このことが豊かさの象徴である。そして途上国においても、そのような豊かさが目標として設定されている。現代技術は、とりあえず人間にとって有用でない自然資源を抽出し精練し、そして加工して有用なものに変化させることをその中心としている。豊かさは、このような生産技術によって支えられる。ところが、このような技術の持つ問題が、最近しばしば話題になる。豊富な工業製品をつくり出すための条件としての資源エネルギーについては、その限界が指摘されてすでに久しい。しかも使用し終わった製品の廃棄については、安全問題などを引き起こしながら廃棄場所の重大な不足を招いている。そしてもっと本質的なこととして、資源と廃棄という、いわば工業製品の条件のみならず、製品そのものの使用の場面においてさえも、道路の容量に対して過剰な自動車とか、家の中に入り切らない家庭用機器などの問題が起きている。しかも道路の新設は少なくとも都会においてはもはや不可能であり、家の広大化は地価の高騰によって望むべくもない。
私は毎年、夏のお祭りで浴衣を着るのが楽しみの一つだ。これまでは毎年、自分の浴衣を新しく購入していたが、実際に着るのは年に数回だけで、ほとんどの時間はたんすの中で眠っている状態だ。浴衣は季節や流行によって好みも変わるため、毎年買い足すことで種類が増え、その管理や保管にも手間がかかる。そこで最近は、来年から浴衣をレンタルしてみようかと考えている。レンタルであれば、その年の気分や流行に合った柄を選べるし、使い終わったらクリーニングの手間もなく返すだけで済む。これまで所有することが当たり前だと思っていたが、実際にはモノを持たなくても、その楽しさや機能を十分に味わうことができると気づいた。こうした経験から、「持たないこと」も一つの豊かさであるという新しい価値観を持つようになった。
また第二の方法として、こうした考え方が社会全体に広がっていくためには、誰もが気軽にレンタルできる環境を整えていくことが重要だと思う。たとえば、学校の教材や備品、地域の道具など、みんなで共有して使えるものを増やす取り組みがもっと進めば、多くの人が「買わなくても困らない」という体験を得ることができるだろう。また、レンタルサービス自体も、利用しやすいシステムや料金設定の工夫が必要だ。インターネットを活用した簡単な予約や受け取りの仕組みが普及すれば、より多くの人が気軽に利用できるようになるはずだ。モノを所有することにこだわらず、必要なときに必要な機能を使うことができる社会は、資源の節約や環境負荷の軽減にもつながり、これからの豊かな社会の実現に役立つだろう。
確かに自分を取り巻く人々の関係、信頼いったものまでレンタルすることはできない。しかし「限られた人生で大事なことは何をするかではなく何をしないかである」という名言があるように私自身も、浴衣の例に限らず、何を所有するかではなく、どう活用するかを考えることを大切にしていきたい。自分や周囲の人々にとって本当に価値のあるものを見極め、必要なときに必要な機能を活かせるようになれば、より豊かな生活が送れるだろう。それと同時に、こうした意識が広まることで、資源の無駄遣いを減らし、地球環境にもやさしい未来をつくることができると信じている。これからも私は、この考え方を大切にし、持続可能な社会の実現に向けて自分にできることを考え続けていきたい。