自分らしく
   中3 あおさみ(aosami)  2025年7月4日

 幼い頃布団の中で初めて読む昔話の定番として、イソップ童話の「うさぎとカメ」がある。「うさぎとカメ」はうさぎとカメが競争をする話だ。走って寝るうさぎと、ゆっくりだが止まらないカメ。最初にゴールテープを切ったのはなんとカメだ。急がば回れという言葉があるように、私はカメのように自分のペースで着実に生きていきたい。



 そのための方法として第一に、目標を見据え、それに向かって進むことだ。人生には道しるべが必要だ。常に彷徨っている状態だと前へ進むことができない。いつの間にか私も誕生日を迎え15歳となった。今年の冬には高校受験もある。高校受験という4文字は学校でテストも受けない私にとって未知の存在だ。最近夏休みも近づき、やっと高校受験と向き合う覚悟ができた。手探り状態の中、ネットで高校受験へ向けた準備や計画の立て方について検索した。手順に沿って一つずつ目標を明確にすることが重要なステップだそう。最近志望校が変わったことで勉強する量や教科の偏りも変化した。この時期は自分のことを熟知し、臨機応変に対応しなければならない。そのための一歩として目標を見据え、逆算をし計画を立てることが大切になってくるのだ。二学期からはテストに慣れるためにいつどのくらい学校に受けに行くのか、一日何時間どの教科を勉強するのか、苦手な古文や理科を集中的に勉強するなど自分のことを分析し、自分が毎日続けられる程度の量を意識しながら計画を立ててみる。目を瞑ったまま歩いていると、障害物や分かれ道に出会っても対処することができない。対して目標を見据えていると、目が開いた状態で地図もあり、「オズと魔法使い」に出てくる黄金の道のように導いてくれるということになるのだ。方向音痴でも安心できる。お話のカメもうさぎの昼寝の時間や速さをふまえ、自分の進むべき速さを計算していたのだろう。もっともカメはただ自分のベストを尽くしていただけかもしれないが。



 第二に、長所を伸ばし、もっと長い目で成長を見守るような社会になることだ。検索してから出てくるまでの時間や膨大な計算をこなす速さまで競い、タイムパフォーマンスという言葉が重視される今の社会では無意識のうちにお互いをせかし合っている可能性がある。学生時代から適応能力や即戦力、目に見える結果を求められ、月刻みに行われるテストで前回以上の結果が出るよう努めるべきだと思われる。このような環境にいると焦ってしまい、プレッシャーが不安やストレス生んでしまう。さらに心の余裕を失うことにもなる。ここでカメのことを思い出してみてほしい。彼は周りと比べると遅く、一貫して進み続けるのは地道で飽きそうだ。だがその中でカメは自分の速さで進み、ゴールへと達した。ここから自分のペースで進むことがいちばんの近道なのだということを学ぶ。結果を急ぐのではなく、長期的な視点で確実な成長過程を重視することが大切なのだ。そうすることで持続的な成長を促し、基盤の形成に時間をかけることができる。得意不得意や成長の仕方は人それぞれだ。短所をなくすのではなく、短所が霞むぐらい長所を伸ばしていくべきだと思う。最近通知表の評価基準も変わりつつあるそうだ。社会がもっと自分で決めている成功や幸せの形に向かってそれぞれのペースで成長できる環境になるとよい。



 確かに、効率よく淡々と進む生き方もあるだろう。しかし、「家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである」という言葉があるように、周りの速さに無理して合わせず、自分の人生なのだから自分のペースで道を歩むことが大切だ。周りと比べて焦ってしまうのは、自分の軸が出来上がっていないからだと痛感する。だから自分の内側とも向き合い「こうあるべき」という殻を破って将来を見据えたい。また止まることも目標に向かう大事な一歩だと思えるようになりたい。人生は速度もだが進む方向も重要だと思っている。具体的な目標でなくても、理想とする人間性や価値観を心に留めて意識しようと思った。