輸入は怠惰から?
   高2 かずま(auyoto)  2025年8月1日

 かつて日本は、太平洋戦争を引き起こした。日中戦争中だったわれらが祖国は、戦争遂行のためには決して少なくない量の石油が必要不可欠であった。しかし、日本の拡大主義を警戒したアメリカに石油輸出を全面禁止とされてしまった。自給自足が不可能であった日本は、最後の賭けとして、戦争を選んだのである。あの地獄の戦争から約80年たった今でも、日本は資源を他国に依存している。それは紛れもない事実だ。しかし、一つ認識を改めておく必要があるように私は思える。日本は他国に依存しているという問題を抱えている。しかし、それは決して日本人の怠慢のせいとは言い切れないのだ。それは、この問題の原因を考えれば、自然に証明ができる。

第一の原因として、社会の充実、日本の経済力上昇があげられる。日本は豊かになった。昔のように、飢饉にあえぎあばら家に住む生活から、次第に産業革命、工業化を挟んで、今では値段に眉を顰めることはあっても、食料不足で餓死することはそうそうない。一昔まえ、当時の世界で瞬く間に広まっていた大量生産大量消費が、ついに日本でも産声を上げたおかげだ。その結果、従来の第一次産業だけでなく、第二、三次産業が急速かつ爆発的に発展していった。もちろん、環境破壊や生活環境の悪化など、決して無視できないデメリットも数多くあったのを忘れてはならないが。どちらにせよ、第二、三次産業が発展したことは、日本に住んでいれば一目瞭然、火を見るよりも明らかだ。そしてその炎は、次第に第一次産業に並び、そして瞬きをする間もなく追い越していった。これは経済的な観点だけであれば、すばらしい偉業である。少し前までちょんまげに刀を差していた人々が、いまやスーツに身を包みレンガ造りの、少し前までは想像もつかないであろう建物の合間を革靴で歩く。誰がこのような急速な変化を予想できたであろう。しかし、第一次産業以上に第二、三次産業が発展した結果、次第に人々は重労働な農作業や、危険極まりない鉱山労働などから遠ざかっていった。社会が充実し、経済が発展していったというのに、海外からの輸入品に頼らなくてはならなくなったのだ。現在、日本は世界で唯一といっていい、オタク大国である。アニメ、マンガ、ゲーム……世界中にいるサブカルチャーのオタクは皆日本に何かしら世話になることだろう。これらはすべて第三次産業である。もちろん、このようにオタク文化が花開くことはおおむね称賛されるべきことだろう。しかし、第一次産業は停滞したままである。経済が発展していったのは事実だが、工業化の弊害はいつも、思いもよらないところで起こっているものだ。

第二の原因として、そもそも日本の資源埋蔵量が少ないことがあげられる。かつては銀や金など、様々な資源が取れた。佐渡島の二つに割れた佐渡金山などは有名だろう。出島での銀や金の貿易はだれしも歴史で習うことだ。だが、現代ではそのほとんどを掘りつくしてしまっている。日本で稼働している金山は一つしかなく、銀山に至ってはそれ単体では存在しない。先に挙げた金山で多少とれる程度だ。石油に関しても、新潟などで少しばかり取れるだけ。国内消費量の1パーセント以下だ。そのような状況では、アメリカや中東諸国などの、海外の国々に頼らざる負えないだろう。しかし逆に言えば、日本固有の資源だけでは足りなくなるほどに、日本の経済、工業化は進んだともいえる。いまや車はいたるところを走り回り、石油からできた服を着たり、プラスチックの容器を使ったりもしている。ほかにも、衣料品となって、人々の命を救う、アスファルトとなって人々のインフラを支えるなどの一面もある。もちろん、工業化という出来事や、石油を使った製品らが一概にいい物事だとは言えないのは歴史が証明しているが。だとしても、日本の経済力がより強固になったからに違いない。先人の人々が多大な努力をしてきたからであろう。それに、最近は何かと国際化を口ずさむことが多いだろう。物流の壁が技術の発展によって次第に取り壊され、多くの人、そして物が世界を行き来しているのが現代という時代だ。アメリカや中国のような超大国でさえ、何かしらの製品を輸入している。程度の違いはあれど、他国に何かしら依存しているのは日本だけではない。それで、世界中の国々はうまく回っていけているのだ。日本だけが他国への依存で立ち行けなくなる道理はないだろう。

たしかに、農業であれば、豊かな土地があれば農作物を育てることが出来る。農業であれば日本でも十二分に行えるものだ。だから、政府が農家の補助を怠ったせいで、今日の依存状態があるといわれるかもしれない。それに、埋蔵資源も、日本近海の地下資源の存在が指摘されている。それらを有効活用すれば、依存状態から脱却できる。それだというのに、日本はいまだに実行しない怠慢のせいで、今日の依存状態があるのだといわれるかもしれない。それらは、決して口八丁手八丁だとは言えないだろう。しかし、物事は大体、一言二言では表せないものだ。すでに述べたように、我々はむしろ経済的に豊かになったからこそ、こうして資源の輸入問題に悩まされている節もある。日本人は謙虚さを尊ぶ。謙虚なこと自体は問題ないだろう。だが、謙虚すぎて自らの実力を見誤っては本末転倒だ。能ある鷹は爪を隠すというが、謙虚すぎるあまり爪を一生隠しつづけ、実力を理解していないようでは、山で獲物を狩ることはおろか、いつか他の捕食者に対して抵抗も出来ず一生を終えるだろう。我々は、自らの実力を過小評価するわけにも、過大評価するわけにもいかないのだ。