地平の拡張
高3 清正(rayuni)
2025年7月3日
最近の日本では海外旅行者が減少していると聞く。私の周りでも英語が出来ない、治安が不安だといったことで海外旅行は敬遠しがちだという人が多い。インターネットを通じていくらでも外を知ることが出来る、と思われている現代では確かに敬遠されがちであることはわからなくもない。しかし、旅にはネットで走りえない世界を知るという役割があり、それが出来ないと閉ざされた自国の見識のみで思考が偏ってしまう恐れがある。
前述の通り、海外へ赴くことがない原因として海外に対する偏見や好くないイメージがあるということが挙げられる。ではどうしてそのようなイメージが出来てしまうのか。やはり大きいのはマスメディアやネットの影響であろう。私もネットニュースを閲覧している一人ではあるのだが、明らかに喜ばしいニュースよりも悪いニュースが取り上げられがちであると感じている。これこれこういう国でこういう事件があって、あれあれ人は犯罪を犯して、と。こんなニュースばかりでは当然海外によいイメージを持つわけがないだろう。また、英語が出来ないといった個人の能力的側面もイメージ形成に貢献してしまっているだろう。。英語は難しすぎる、喋れるわけがないという学生や大人は周りを見渡せば一人は確実にいるというほどに多い。だが、実際に海外へ飛んだ経験から言えば、文法だの語法だのがハチャメチャでも単語だけの片言英語でなんとなく通じてしまうものである。さらに言ってしまえば私の海外経験はオーストラリアでのホームステイなのだが、本当に分からない時はG社の翻訳を使えば簡単に解決することが出来た。先ほど能力的側面といったが訂正させていただく。ただの知らないもの怖さ、臆病なだけである。寝ている時に枕もとでカサカサと音が鳴った時に不安になることに多分、多分変わりはない。つまるところ、海外への怖れは世界に対する理解度が低いということが原因の大半を占めているというわけだ。
ではどうすればこの原因を解決することが出来るだろうか。私が提示する解決策は、世界の文化や歴史、今をより深く知る教育体制、社会基盤を構築することである。理解度が低いのだから理解させてやればいい。なんと単純な回答かと言いたくなるものだが一人の学生として言わせてもらうと、現代日本の教育では決して海外を理解することなどできない。例として歴史教育について話そう。歴史というものにはその時代を生きた人々の主義、思想というものがぎっしりと詰まっている。その思想は現代では忌避されるものであったり、もはや影も見ないほどにすたれてしまったものであったり様々だ。これらの思想に対し、人の思想にあまり介入してはいけないとほとんど解説しないことが多い。しかし、それらの思想の中には今の国々を構築する基盤となったものもあり、思想を知ることによって何がタブーとされているのか、何故その行いをする必要があるのかといった海外での過ごし方を知ることが出来る。過ごし方が分かっていればその国に旅行するとなっても大して怯えたりはしないはずだ。赤の他人の家で過ごすのは大変だが、それに比べて知人の家で過ごすのが非常に楽なように。私たちは今よりもさらに海外について知るべきなのだ。
ただ、確かに我々と海外の間に大きな壁があることも事実だ。そもそもの文化が違うのだからすべてを理解することは当然できない。だとすれば日本をもっと知り、日本を愛するという道でよいではないか、と。しかし、海外、世界を知るということは日本という故郷を見つめなおす機会たり得るのだ。窓を開けて差し込むのはいつだって明るい光である。我々はこの激動の時代の中で、我々を外から見つめる機会を大事にしていくべきではなかろうか。