一段落(いちだんらく)◎導入 作文の冒頭(ぼうとう)から子ども時代の思い出が生き生きと描写(びょうしゃ)されていて、<<え2011/68み>>
読者を物語の世界へ引き込む(ひきこむ)力があります。仮面ライダーごっこに夢中になっていたエピソードや、その結果としての事故が、子どもの無邪気(むじゃき)さとその危険(きけん)性をリアルに伝えています。
段落(だんらく)★体験実例 課題「痛かっ(いたかっ)たこと」にそった具体的な内容は、痛み(いたみ)とともに起こる<<え2012/10み>>【恐怖(きょうふ)】や過失への後悔(こうかい)という感情についてとてもうまく書けました。
段落(だんらく)◎聞いた話 お母さんの子供(こども)時代のエピソードは世代を超え(こえ)た共通の経験としての「痛み(いたみ)」を表現し、四段落(だんらく)痛み(いたみ)が人間成長の一部であるというテーマにうまくつながっています。
段落(だんらく)一般(いっぱん)化の主題 <<え2012/10み>>【人生とは痛み(いたみ)と共に成長していく「試行錯誤(しこうさくご)」の連続】と考え、【成長過程】には痛み(いたみ)をともなうものという高い次元でとらえた結びの意見がとてもうまく書けました。
◎書き出しの結び 書き出しに使われていた<<え2012/10み>>「緊急(きんきゅう)信号」というキーワードを再び取り上げることで、文章に美しい締めくくり(しめくくり)をもたらしている点も見事です。

内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎

字数/基準字数:1030字/800字
思考点:77点
知識点:63点
表現点:69点
経験点:82点
総合点:75点
均衡(きんこう)点:3点

 


■思考語彙 20種 21個 (種類率95%) 77点
、なぜ,。もちろん,。思う,あるから,いかざる,うと,からこそ,さえ思う,それこそ,だけ思える,だと,だろう,と考える,のかも,は確か,思うば,捕まえよう,欠かさざる,眠れざる,覚ますと,

■知識語彙 37種 47個 (種類率79%) 63点
予告,人生,保育園,信号,全部,出血,危険,参加,夢中,寝室,当時,恐怖,成長,拍子,排水,握手,時間,最大,最高潮,本棚,毎日,準備,片手,理不尽,経験,緊急,翌朝,自分,興奮,衝撃,記憶,証拠,試行錯誤,連続,遊園,過程,部屋,

■表現語彙 91種 151個 (種類率60%) 69点
あと,あまり,かけがえ,こと,ごっこ,さ,それ,とき,は確か,まま,イベント,ショット,テレビ局,テンション,バランス,ファン,中,予告,人生,今,仮面ライダー,会,体,何,保育園,信号,傷,僕,全部,出血,危険,参加,取り,叫び,地,夏,夜,夢中,大好き,子ども,家,寝室,当時,心,恐怖,成長,手,拍子,指,排水,握手,日,時間,最大,最高潮,本棚,母,毎日,気持ち,涙,準備,溝,爪,片手,理不尽,痛み,目,真っ青,経験,網,緊急,翌朝,自分,興奮,蓋,虫,血,衝撃,角,記憶,証拠,試行錯誤,連続,遊園,過程,部屋,間違い,雀,頃,頭,額,

■経験語彙 42種 56個 (種類率75%) 82点
。思う,きれる,さえ思う,しまう,しれる,だけ思える,できる,と考える,にじみ出る,ふるう,ぶつける,やってくる,られる,れる,入る,分かる,刻む,変わる,崩す,忘れる,持ち上げる,挟む,捕まえる,撮る,欠かす,死ぬ,泣きわめく,泣く,生きる,癒す,眠る,眠れる,落ちる,覚ます,諦める,走り回る,走る,起きる,迫る,追いつく,逃げ込む,達す,

■総合点 75点

■均衡点 3点
 

緊急信号
   小6 よしたか(yositaka)  2025年8月1日

 緊急信号

ガツン。

「痛い!」

鋭い痛みが頭に走る。

僕は保育園の頃、仮面ライダーの大ファンだった。遊園地の握手会やイベントには欠かさず参加し、テレビ局まで行って、当時の仮面ライダー・エグゼイドと2ショットを撮ったこともある。もちろん、家でも毎日仮面ライダーごっこに夢中だった。特に寝室ではテンションが最高潮に達し、興奮のあまり部屋の中をぐるぐる走り回っていた。そんなある日、本棚の角に思いっきり頭をぶつけてしまった。

ゴツンという衝撃のあと、頭からじわっと血がにじみ出てきた。何が起きたのか分からないまま、ただひたすら泣きわめき、叫び、泣いて泣いて泣いた。今も変わらないが、あのときの痛みは、僕がそれまで生きてきた中で間違いなく最大だった。その夜は痛みと恐怖でなかなか眠れず、子どもながらに「死ぬのかな」とさえ思った。血も、痛みも、なぜ自分にこんなことが起きたのかという理不尽な気持ちも、あの夜は全部、涙に変わっていた。

母もまた、小さい頃に忘れられない痛みの記憶があるという。ある夏の日、虫取りが大好きだった母は、虫取り網を片手に走り回っていた。ふと目に入ったのは、かわいらしい子雀だった。「網で捕まえられるかな」と網をふるったが、うまくいかず、子雀はすっと排水溝の中に逃げ込んでしまった。諦めきれなかった母は、なんとか捕まえようと、排水溝蓋を持ち上げ、手で捕まえようとした。けれど、バランスを崩した拍子に蓋が落ちてきて、母の指を思いっきり挟んでしまった。

あまりの痛さに母は泣きながらそのまま眠ってしまい、翌朝、目を覚ますと指の爪が内出血で真っ青になっていたという。

人生には、突然の痛みが予告もなくやってくる。心の準備ができていないときほど、その衝撃は大きく、時に涙すら追いつかない。けれども、そうした経験はいつしか時間の中で少しずつ癒され、記憶の中に刻まれていく。僕の額の大きな傷も、その証拠だ。子どもだったあの日の僕も母も、痛みに泣いたことは確かだが、その痛みがあるからこそ、今の自分がある。思えば人生とは、痛みと共に成長していく「試行錯誤」の連続なのかもしれない。そしてそれこそが、かけがえのない「成長過程」なのだと、今なら少しだけ思える。

痛みとは成長過程であると同時に、体に何か危険が迫っているという緊急信号何だろうと考えている。