ゆめあるさん、今回の作文に対する講評をお伝えします。

まず、作文のテーマである「ら抜き(ぬき)言葉」についての議論を、単なる言葉の正しさを超え(こえ)た社会的・文化的な視点で捉え(とらえ)ている点が素晴らしいです。
論点を多角的に設定し、それぞれの観点から詳細(しょうさい)に説明しているため、読み手に対して深い理解を促す(うながす)ことができています。
また、昔話「姥捨て山」を例に挙げることで、言葉が持つ文化的価値を具体的に示しており、昔話の実例がよく書けています。

さらに、新旧の言葉の取り扱い(とりあつかい)についてのバランスの取り方を提案する部分では、複数の意見を巧み(たくみ)扱い(あつかい)、それらを総合化する主題がよく書けています。
このように異なる視点を融合(ゆうごう)させる試みは、議論の深さを増すとともに、読者に対して豊かな考察の余地を与え(あたえ)ています。

最後に、言葉と時代の関係性を洞察(どうさつ)しつつ、現代における言語の使い方についても自分の立場を明確にしており、論旨(ろんし)一貫(いっかん)性が保たれています。
この作文は、言葉の使い方一つを取っても多様な視点から考察することの重要性を教えてくれるものです。
引き続き、多角的な思考を大切にしてください。

項目(こうもく)評価】
-複数の意見がよく書けています。
-総合化の主題がよく書けています。
-昔話の実例がよく書けています。
-論旨(ろんし)一貫(いっかん)性があります。
 

森リン評価 言葉の歴史 yabi 08月1週 ゆめある
字数/基準字数:
1228字/800字
思考点:79点
知識点:72点
表現点:76点
経験点:88点
総合点:83点
均衡点:4点
●語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
1200字換算
 
思考点:点
知識点:点
表現点:点
経験点:点
総合点:点
均衡点:4点
●換算語彙学年表
 小1小2小3小4小5小6中1中2中3高1高2高3  
思考点
知識点
表現点
経験点
総合点
●語彙の説明
語彙種類個数種類率点数説明
思考語彙21種26個81%79点考える言葉です。
理由、方法、原因などの説明の語彙。
多すぎると、説明の多い硬い文章になる可能性があります。
知識語彙50種91個55%72点難しい言葉です。
社会的な例や調べた例の語彙。
多すぎると、難しい言葉の多い重い文章になる可能性があります。
表現語彙106種179個59%76点豊かな言葉です。
話題の幅が広い語彙。
多すぎると、散漫な文章になる可能性があります。
経験語彙46種77個60%88点詳しい言葉です。
身近な例や経験した例の語彙。
多すぎると、身近な話の多い狭い文章になる可能性があります。
種類率は、60%以上が目標。70%以上の場合は多様な語彙が使われています。
1228字
 79点
 72点
 76点
 88点
字数 思考語彙 知識語彙 表現語彙 経験語彙

 


■思考語彙 21種 26個 (種類率81%) 79点
、なぜ,。しかし,。たとえば,。だから,ことこそ,すると,すれば,だろう,と思う,と考える,どう考える,なければ,について考える,のちがい,変われば,守るため,止めよう,生かすため,考えるば,表すため,見ると,

■知識語彙 50種 91個 (種類率55%) 72点
一方,一見,不自然,人間,以上,価値,反対,国民,国語,地域,変化,大事,大人,大切,審議,工夫,年齢,必要,意味,意見,感情,成長,批判,文化,日本,昔話,時代,時間,最終,機関,活動,無理,特別,状況,現実,理解,生活,目安,相手,知恵,社会,禁止,立場,結局,自分,自然,表現,視点,言葉,責任,

■表現語彙 106種 179個 (種類率59%) 76点
い,こと,これ,これら,ころ,ごと,さ,そこ,そのもの,それ,ところ,どちら,のちがい,ば,ほう,もの,ゆるやか,よう,ら,スマート,フォン,フランス,フランス語,ルール,一人ひとり,一方,一見,不自然,中,人,人間,以上,会,何,使い方,価値,別,反対,取り組み,国民,国語,地域,変化,多く,大事,大人,大切,姥,守るため,審議,山,工夫,差,年,年寄り,年齢,当たり前,形,心,心構え,必要,意味,意見,感情,成長,批判,抜き,文化,日本,昔,昔話,時代,時間,最終,機関,気持ち,活動,流れ,無理,特別,状況,現実,理解,生かすため,生活,百,的,目安,相手,知恵,社会,禁止,立場,結局,考え方,自分,自然,表すため,表現,視点,観,言葉,話,責任,赤ちゃん,間,

■経験語彙 46種 77個 (種類率60%) 88点
かける,しまう,せる,と思う,と考える,どう考える,について考える,ぶばる,ぶる,られる,れる,伝える,作る,使う,出る,分かる,受け入れる,合う,合わせる,呼びかける,変える,変わる,守る,広がる,広まる,形づくる,応じる,持つ,捨てる,欠く,止める,残す,決める,生かす,生きる,生まれる,示す,結びつく,育てる,表す,見える,話せる,語り継ぐ,込める,選ぶ,関わる,

■総合点 83点

■均衡点 4点
 

言葉の歴史
   中2 ゆめある(okamoto)  2025年8月1日

 「ら抜き言葉」をめぐる議論は、ただの言葉の正しさを争うだけの話ではない。そこには、年齢による考え方のちがいや、地域ごとの使い方の差、さらに言葉そのものをどう考えるかという意見のちがいが関わっている。国語審議会は、昔のように言葉の使い方をきびしく決めるのではなく、あくまで「ゆるやかな目安」を示すことにしている。そして、最終的には国民一人ひとりが、自分の使う言葉について考えることが大切だと呼びかけている。

新しい言葉が生まれるのは、時代が変わる以上、自然なことだ。人間だって、赤ちゃんのころは「ばぶばぶ」としか話せなかったのに、成長すれば大人と同じ言葉を使うようになる。社会や生活が変われば、それに合わせて新しい言葉が出てくるのは当たり前だ。たとえば、スマートフォンやSNSが広まったことで、「エモい」や「バズる」といった新しい言葉が多くの人に使われるようになった。これらの言葉は、昔にはなかった新しい感情や状況を、短く分かりやすく表すために生まれたものだ。「ら抜き言葉」も同じように、時代の流れの中で自然に広がっていると考えれば、それを特別に禁止する必要はないと思う。

だが、昔から使われてきた言葉には、長い時間をかけて育てられた美しさや深い意味がある。文化というものは、短い間で作られるのではなく、何百年もかけて少しずつ形づくられていく。だから、良いものは守っていかなければならない。たとえば、日本の昔話「姥捨て山」は、お年寄りを大切にする心を伝える話として長く語り継がれてきた。言葉は文化と深く結びついていて、古い言葉にはその時代の価値観や知恵が込められている。フランスでは「アカデミー・フランセーズ」という機関が、美しいフランス語を守るために活動している。こうした取り組みを見ると、古い言葉や表現を残していくことの大切さがよく分かる。

新しい言葉を受け入れることと、古い言葉を守ることは、一見すると反対の立場に見える。しかし、どちらか一方だけを選ぶ必要はない。大事なのは、その時代に合った形で言葉を生かすことだ。ある言葉は自然に使われなくなり、また別の新しい言葉が広まっていく。そうした変化は止められないし、無理に止めようとすると、かえって言葉が不自然になってしまうこともある。だから、「既にあるルールを無理やり守ること」よりも、「現実に合わせてルールを変えること」のほうが大切だという考え方がある。これは、言葉を生かすためには欠かせない視点だ。結局のところ、言葉は人とともに生きている。時代が変われば、人の生活も考え方も変わる。それに合わせて言葉も少しずつ形を変えていく。その変化をただ批判するのではなく、なぜそう変わるのかを理解し、必要に応じて受け入れる心構えが大事だと思う。そして、どんな時代でも、自分の言葉に責任を持ち、相手に正しく気持ちを伝えられるように工夫することこそが、言葉を大切にするということではないだろうか。