人間よりも小さい虫(清書)
   小4 はるまき(akoruka)  2025年8月4日

    人間よりも小さい虫

              はるまき

 「ちょろちょろちょろ⋯」

「わっ、くすぐったい!よっと、こっちに行ってね〜っ!」

私が住んでいるマンションの前には、大きな公園がある。少しジャングルのような道もあるのだが、そこには暗いところが好きなダンゴムシがいる。小学一年生の私はそのダンゴムシたちに目をつけ、つかまえていた。

 その公園は通学路だった。そのため、一緒に登下校していた友だちとダンゴムシをつかまえることができたのである。

「私の方が大きくない?」

「う〜っ、私のは小さいか⋯負けた!」

ある日はつかまえたダンゴムシの大きさを競い、ある日は三匹ほどつかまえてレースをさせた。ダンゴムシは足がたくさんあるので、くすぐったくて落としてしまうこともたまにあった。思う存分ダンゴムシで遊んだ後は、通学路にあるビルの花壇に放すのがお決まりだった。

「ダンゴムシ、どのくらい集まったんだろう⋯」

ダンゴムシをつかまえ始めて一ヶ月ほど経ち、そろそろ花壇にどのくらいダンゴムシが集まったのか気になってきた。早速花壇をのぞいてみると⋯

「うわぁ、これっ、何匹いるの!?」

なんと、無数のダンゴムシがうじゃうじゃと動いていたのだ。つかまえた覚えがない白い赤ちゃんダンゴムシもいたため、繁殖したとみられる。

「すごい⋯」

ダンゴムシが繁殖する力、狭い花壇の中で一生懸命生きる力に、なにか大きいパワーのようなものを感じた気がする。

 木を削ってコップやスプーンを作ったり、かまどのようなところでお餅を焼いたりと自然を自由に活用している祖父。きっと、私のように虫をつかまえていた時代もあったのだろう。

「小学校低学年くらいのときにね、ぼくね、お父さんの会社の寮で暮らしてたんだよ。その寮のすみっこにカブトムシの幼虫が埋まっててね、よく掘り起こしてたよ!」

カッ、カブトムシの幼虫!?あの、白くて太い⋯私だったら、その寮に「カブトムシの幼虫に要注意!」なんて張り紙をしているかもしれない。でも、立派なカブトムシになろう!と頑張って生きている幼虫を無理やり掘り起こすのはかわいそうだな⋯という気持ちもあった。

 虫をつかまえて遊ぶのは楽しいし、学びもある。しかし、人間よりも少し弱い立場にいる虫もいる。きっと私がつかまえたダンゴムシたちは、あの公園が気に入って家族と暮らしていたんだと思う。つかまえられたときは、

「あーっ!助けてーっ!!」

という気持ちだったのではないか。そんな虫を、思いっ切りいじるのはかわいそうな気がする。だから、自然を守るために、虫の気持ちも尊重して程よく遊ぶことが大切だし、私もそうしてゆきたいと心の中で思った。