本当の豊かさ
   高1 あかやゆ(akayayu)  2025年8月2日

 貧困層の定義として世界銀行などで普通に使われるのは1日あたりの生活費が1ドルという水準である。1990年にはそのライン以下に12億人が存在していたという。しかし、全員が貧しいわけではない。例えば、中国南部の少数民族、ヤオ族の人々は自然の中で畑仕事などをして自給自足に近い形で生活している。彼らは所得が1ドル以下で確かに貧困層の中に含まれるが、実際には健康的で豊かな生活をしている。それを所得という数字だけ見て売れる野菜を作って売るようにする、という政策をとってしまうと彼らの幸福を奪うことにつながるかもしれない。だから私たちは豊かさの定義を考え直すべきだ。



 第一の方法としては、なんでもお金で考えないようにすることだ。確かに生きていくためにはある程度のお金は必要であり、お金があれば大抵のことはできる。しかし、お金のことばかりを考えていると生活は豊かでも心が貧しくなってしまう。お金はたくさんあるが、お父さんもお母さんも夜遅くまで働いている家庭よりも、ある程度のお金があって、みんなでご飯を食べたりお出かけしたりしている家庭のほうが精神面では豊かで幸せだと言えるのではないだろうか。また、お金を求めるあまり働きすぎて体を壊してしまう人もいる。たくさんのお金がなくても、最低限のお金とある程度自由にできるお金を持ってたまにおいしいものを食べたり、自分の好きなものにお金を使ったりしてその楽しさを共有できる人がいれば十分幸せだと思う。



 第二の方法としては、個人の価値観を認め合うことだ。人それぞれ幸せや豊かさの定義は違う。昔は、賢い学校に行っていい会社で働くことや女性は結婚して家庭を持つことが幸せだという風潮があった。それによって世間の目を気にして、自分のやりたいことができなかった女性もいたかもしれない。今はその風潮はずいぶん薄れてきたがなくなってはいない。また、最近ではLGBTQという新しい概念も出てきて理解も広がってきたが、まだ正式に法律などで同性婚は認められていない。しかし最近はパートナーシップ制度と言って、結婚した夫婦と同程度の権利が認められるようになった。このように、社会全体で自分の思うしあわせと相手の思うしあわせは違うのだと理解し、認め合い、尊重しあっていかなければならないのだ。



 確かに、お金は一番わかりやすい豊かさの象徴であり、生きていくうえでとても大切なものだ。しかし、いつもお金だけを求めていると、家族の温かみや日常の些細なしあわせなどの本当に大切なものを見失ってしまう。お金にとらわれていてはいけないのだ。「お金とは、得ることが目的ではなく、使い、生活を豊かにするためのものだ。」という名言のように、私たちはお金のために生きるのではなく、生きるためにお金を使わなければならない。だから私は、お金も大切にしたうえで、お金に置き換えることのできない、家族との時間や人とのかかわりの中に生まれる「本当の豊かさ」を大切にしていきたい。