私の祖父母
    ()  年月日

 「直輝、よく帰って来たねー。」

僕の祖父母は、熊本県に住んでいる。祖父は、今年九十二才、祖母は八十七才と僕の同級生の祖父母と比べてもかなり高齢だ。夏休みと、冬休みに祖父母の家に家族で帰省し、家でくつろいだり、皆で食卓を囲んだり、デパートに行くのが楽しみだ。デパートに行くのが楽しみなのは、昔は玩具を、今は本を買ってもらい、デパートの中のレストランで美味しい食事を祖父母がご馳走をしてくれるからだ。たまに、ぼくが祖父母に、鯛やマグロの寿司を握ると、「美味しい」と言って沢山食べて喜んでくれるので、僕も嬉しくなる。

 祖母は厳しい人で、僕は祖母に注意されることが多い。数えるときりがないが、例えば、「小皿はもって食べなさい」、「食べるときの姿勢が悪い」、「動画を見すぎない」などだ。しかしある日、僕が寝る前に祖母は「歯をしっかり磨きなさい」と言ったのだが、僕が祖母に「おやすみなさい」を言おうとして祖母の部屋に入ると、歯磨きを終えた祖母が、キャラメルの箱を持ってこそこそとキャラメルを食べていたのだ。「歯磨きをしたのにどうしてキャラメルを食べてるの?」と僕が聞くと、祖母は「歯磨きをしたご褒美」と言って、苦笑いをしていた。キャラメルを食べていた祖母はまるで幼い女の子のように見えた。祖母は僕に小言を言うのに理不尽だと思った。

 僕の母に聞いた話だが、私の母は子供のころから祖母には良く叱られていたが、祖父には一度も叱られたことがないそうだ。母は高校受験の時に第一志望の高校に行けなかった。その時祖父に「高校に入ってまた頑張ればいいよ」と励まされ思わず涙してしまったらしい。祖母は口うるさいとこがあるが、母が大学で家を出るまでは誰よりも朝早く起き、毎朝炊き立てのお米とお味噌汁とちりめんじゃこの入った卵焼きを毎日焼いてくれたそうだ。僕の祖父母はとても愛情深い人だと思った。

孫は責任がないから可愛がるだけでよいと言う事を聞いたことがある。僕の祖母に限っては可愛がる時もあれば厳しい時もある。そして理不尽なところもあるが、それも人間味がある。祖母は僕を一人前にしてあげたいと考えて半分母親のような愛情をかけてくれていることが改めて分かった。いつも優しい祖父と愛情深い祖母がいるおかげで僕は祖父母の家に帰った時、心が落ち着くのだと思う。これから僕は祖父母孝行をしたいと思った。