相対と絶対
中2 すみひな(sumihina)
2025年9月1日
私たちが目を開けると、様々な物の形が目に入ってくる。人間の目はカメラと同じ仕組みで光を取り込み網膜に像を結ぶが、見える大きさは物体までの距離で変化する。そのため視覚だけでは大きさの絶対値を知ることはできず、人間は物差しや数学の比例などの概念を使って大きさを補っているのだ。しかし、形の把握は視覚だけの役割ではない。触覚でも形はある程度わかるし、聴覚で位置や広がりを認識する生物もいる。私は「ゴールデンカムイ」という漫画を読んだことがある。死刑囚のひとりである、都丹庵士は舌を鳴らした音の反響で、夜でも何がどこにあるか分かるスキルを持っているのだが、その様子が音を出して獲物を探すイルカにとてもよく似ていた。私は、人間がここまで進化し、生活の便利さを追求することができたのは、視覚系が絶対的なものよりも相対的なものの方が、情報量が少なくて済むからだと思う。
しかし、私は人生や学習において絶対的な基準が必要な時もあると考える。例えばマラソンの完走タイムや試験の合格点などは、明確に数値で決まっているため、そこに到達することを目標として努力できる。絶対的な目標は、現在の自分とゴールの差をはっきりと意識させてくれるため、行動計画を立てやすい。私も、定期テストの目標点を自分で決めれば、それに向かって計画を立てることができる。実際に採点をするときだって、絶対的な点数がなければ授業の姿勢が評価に直接つながってしまうことになる。もし基準があいまいなら、努力が十分かどうかも分からず、途中であきらめてしまうかもしれない。絶対的な目標は、自分の成長を確かめるために不可欠だと思う。
だからといって、絶対的な数値だけが意欲を高めるとは限らない。教育心理学者ミッドグリーらの研究(2010年)では、学級平均点より10点低い成績だった生徒は、次回テストに向けての家庭学習時間が平均より約25%長かったと報告されている。「他者と比べる」ことが学習意欲を高めたことを示しているのではないだろうか。もしも自分が会社で働くならライバル社に負けないよう、懸命に努力するだろう。相対的な目標は、競争心や達成感を刺激し、行動を持続させる力を持つといえる。
確かに、相対的なものも、絶対的なものもどちらも大切だ。しかし、もっと大切なことは自分が何のために比べ、何のために測ろうとしているのか、目的を知ることだ。勉強なら基礎を固める時期は絶対的な基準を重視し、応用力を伸ばす段階では相対的な競争を利用する、といった使い分けができると効果的だろう。そもそも私は最初に「形」について考えたが、形は物そのものにあると同時に、私たちの脳が作り出す像でもある。私たちの目標設定も同じで、絶対と相対のどちらか一方にこだわるのではなく、自分が何を達成したいのかを明確にすることが最も重要なのだ。もし、テストの選択問題で迷ったときは「ぜったい100点とるぞ!」という目的を忘れずに選べば間違えないかもしれない。(笑)