イギリス人は犬をしつけることが(感)
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 イギリス人は、犬を躾けることが上手だ。不必要にほえたり騒いだりすることはないが、日本の犬は、とびかかったり、ほえたりと飼い主が苦労する。このような違いがあるのは、日本人は、家畜を人間の支配下に位置するもの、人間に従属する存在だとみなしておらず、一方でイギリス人は家畜とは人間が完全に支配すべきでそれ自身は自立性を持たず、徹底的な人間中心的動物観を持っているからなのだ。人々を無意識に動かしている基本的な価値体験の枠組みというものは、実に深く隠れている。

 私の母は、小学生のころ、ロンという名前のメスの柴犬を飼っていた。散歩に連れて行ったり、エサをあげたりして、可愛がっていたそうだ。ある日私の母は、いたずらをして祖母に叱られ、お仕置きとして庭に出された。母がわんわん泣いていると、ロンが「どうしたの?大丈夫?」と言わんばかりの目で見つめてきたそうだ。母はその時とても心が慰められ、今でもロンのその表情が印象深く記憶に残っているらしい。僕は、母とロンの関係は、まるで友達のような関係だと思った。

 日本を訪れる外国人が日本に来て驚いたことのひとつとして、日本では、犬におしゃれな洋服を着せて散歩させていることが挙げられるそうだ。外国では寒さ対策で犬に服を着せることはあるが、おしゃれのために着せることはないようだ。僕はこの話を聞いて、日本では飼い犬に対しての愛情があるのは良いことだが、愛情が行き過ぎて、犬は飼い主の身勝手な思いで飼われている部分があると思った。

 この話を読んで、イギリスと日本で、しつけの仕方が違うのは、動物観や生物観の違いがあるからだということが分かった。僕は、どちらの考えも良い悪いは状況によって変わると思う。僕が犬を飼うとしたら、しつけはきちんとした上で、犬は家族の一員として受入れたいと思った。