思ったことを共有する
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日本人は「見る」ということに重要な意味を与える。さらに言えば、日本人は言葉ではなく物理的対象を見ることで外交が成立する。月見、花見、雪見のような集団的な鑑賞行為は、実は日本文化の中でのコミュニケーションの方法でもある。西洋のようにしゃべることが外交の基本となっている国では話が途切れると気まずい思いをするが、日本人ならば黙って何かをながめているだけでもコミュニケーションは進行するのだ。しゃべりたかったらしゃべればいいししゃべりたくなくなったら見ているだけでいい日本人のようなコミュニケーションは緊張感がなくなる秘訣でもある。それでも私は自分から進んで考えや気持ちを伝えたほうがいいと思う。
第一の理由は人間にはアウトプットが必要だからだ。例えば、私が海外で語学留学をしていた時も、ある程度単語が覚えられたと思っていても、実際英会話をしてみると文章にして伝えるのが難しかったり、相手が何を話しているか理解できても、自分からは何も伝えることができなかったりしてすごく焦った。ジェスチャーで表現しても自分が本当に思っていることを相手に伝えるのは難しいし、楽しく会話ができない。この体験をして、日本の学校ではただ皆と同じものを見てそのまま書き写すだけだったが、それだけでは効率よく勉強が進まないし実際に応用できないと意味がない。だから海外では自分から進んで英会話をして、言葉の語彙とその使い方を覚えた結果、一か月で英語がたくさん上達した。最初のころは英語に自信がなくてうまくしゃべれなかったが今では自信をもって英会話をすることができるようになった。そのため、一番いい勉強法は見たものを自分の中で吸収して自分なりにアウトプットしてみることだ。これは今まで受け身だった自分が自発的に取り組める、成長できる第一歩になると思う。
第二の理由は相手の思っていることがわかって安心できるからだ。私はある日、友達に誕生日プレゼントを渡したら、思ったよりリアクションが低かったことがあった。そのときは、あまり気に入らなかったのかなと少し落ち込んでしまった。自分が思ったことは素直にちゃんと伝えてほしかったし、何を思ったのかわからなくて不安になるのは悲しい。一方海外では、ある日教室の中が臭くて、休み時間の後だったため仕方ないと思うが、皆が臭い臭いと言っていたところ、先生が「最近教室が臭すぎるので、ちゃんとお風呂に入って制服も洗ってください」と言っていた。私の学校の先生は何でもガツンと言う人だったので、時々「そんなことまで言うのか」と驚いてしまったこともあったが、この時の言い方があまりにも正直すぎて少し笑ってしまうほどおかしかった。でも今思うとそのほうが、自分はどう思われているのかがわかるから自分を見直すことができる。しかも、お互い正直に伝え合うことでお互いの信頼関係もよくなると思う。だから言葉にして伝えることで相手の思っていることがわかって安心できる。ただ、言葉遣いに気を付けないと相手がどう感じるかわからないためそこは注意したほうがいい。
たしかに、おなじ物を見るだけで相手に伝わりやすいのはいいことだが、「道は近くても、行かなければ到達しない」ということ名言の言うように、道は近いからといって、ただ何もしないのではなく自分から進んで行動してみることが重要なのだ。いわば、同じものを見るだけではなくて、自分の思っていることを表現して相手に伝えることで、自分自身の成長にもつながる。また、相手との関係もよくなるから、自分から進んで考えや気持ちを相手に伝えるのはいいことだと思う。私はこれからも自分から進んで学問に取り組んだり、うれしかったことや楽しかったことを誰かに伝えて、幸せのおすそ分けをしたりすることで、自分の考えや気持ちを相手に伝えていきたい。