自然とともに学ぶ自由
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 トンボ王国は、自然保護の場であると同時に、博物館やトンボ池を通してトンボやその環境を学び楽しむ場所である。しかし、見るだけでは魅力を知り尽くせず、子供たちにはトンボ採りを体験させるべきだと考える。トンボは子供にとってかけがえのない美の対象であり、美しいものを自分のものにしたいという欲望は人間的で自然な感情である。子供たちが採集を始めても、禁止すれば自然がつまらないものとなりかねない。むしろ、大人が適切に支えれば情操教育となる。かつては採集に価値の序列や暗黙のルールがあったが、今は遊びの文化が衰退し、環境も失われつつある。だが四万十川流域にはまだ環境が残っており、トンボ王国はそれを体験ゾーンとして整備し、子供たちに自然の素晴らしさを感じさせたいと願う。それが将来、日本各地に水辺を再生する力になると信じている。

 私は、何事も自分の身をもって体験することで成長していきたいと考えている。たとえば、小学生の頃、夏休みに友人と川遊びをしたことがある。水の流れに足を取られて転んだとき、自然の力の大きさを実感し、危険に対する注意深さを学んだ。同時に、魚を見つけて捕まえようと工夫する中で、仲間と協力する楽しさや挑戦することの大切さも感じ取ることができた。自然は人間にとって時には牙を向くこともある。しかし、人間は自然がないと生きていけないのも事実である。僕たちは小さいうちから自然と触れ合うことで少しずつ成長していく必要があると思う。机の上で教科書を読むだけでは決して得られない実感があり、自らの体験を通じてこそ理解や成長が深まるのだと、その時強く思った。

 しかし現代社会では、子供たちを取り巻く環境が昔とは大きく異なっている。公園や空き地が少なくなり、自由に遊べる自然も減った。さらに、犯罪や事故の危険から保護者が過度に注意や禁止を与える傾向が強まっている。確かに安全は大切だが、子供たちに「してはいけない」ばかりを伝えていては、主体的に考え、責任をもって行動する力は育ちにくい。むしろ、一定の自由を与えたうえで、その中での配慮やルールを教えることこそ必要ではないだろうか。社会全体で子供たちが安心して挑戦できる場を増やすことが、将来を担う人材を育てる基盤になると考える。そうすることで社会は少しずつより意欲できる。

 哲学者ジョン・デューイは「教育とは生きることそのものであり、将来への準備ではない」と述べている。これは、学びが単なる知識の習得ではなく、日々の体験を通して人間性を育む営みであることを示している。私たちは危険を完全に取り除くことはできないが、むしろその危険や困難にどう向き合うかを学ぶことが成長の糧になる。子供の時期に自然や人と触れ合い、時には失敗し、時には感動しながら得た経験は、大人になってからの判断力や人間関係の基盤となるだろう。だからこそ私は、自由の中に責任を伴う体験を重ね、自分自身を磨いていきたい。