深いテーマに真正面から向き合い、自分の言葉で丁寧(ていねい)に考えを表現できていて素晴らしいです。

<<え2007/353み>>

【総評】
 「個人の自立」と「助け合い」という一見対立する価値を、どちらも大切なものとして論理的に位置づけ、自分なりの意見を筋道立てて展開できていました。冒頭(ぼうとう)に引用された評論の要点を受けて、自立とは何か、なぜ必要かを自身の学校での経験と結びつけながら説明し、さらに古典の名言や寓話(アリストテレス、イソップ童話)を用いて「助け合い」の価値を補強するなど、説得力ある構成となっています。結びではブルース・リーの言葉を引用し、「成長」というキーワードで全体を収束させており、高度なまとめができています。

【段落ごとの講評】
第1段落(要約・状況(じょうきょう)説明):ヨーロッパと日本の市民意識の違い(ちがい)紹介(しょうかい)し、「文化の長所と短所は分けられるか」というテーマを提起しています。内容の要点を把握(はあく)し、問題提起として機能している点が良いです。

第2段落(意見A・実例):自立の重要性について、自身のグループ活動での変化を通じて具体的に説明しています。過去との比較(ひかく)を用いることで、成長や自立がどのように効果をもたらしたかが明確に伝わります。

第3段落(意見B・実例):助け合いの必要性を哲学(てつがく)的な引用(アリストテレス)と寓話(イソップ)によって説得力を持たせています。抽象(ちゅうしょう)と具体のバランスが良く、テーマを多面的に捉え(とらえ)られています。

第4段落(主題の総合化・引用):自立と助け合いの両立を目指し、最終的に「成長」を(かく)とする意見に昇華(しょうか)させています。引用を効果的に使い、読後感のある締めくくり(しめくくり)ができています。

【特に優れていた点】
・自立と助け合いという複数の価値を対比し、バランスよく論じている
・引用(評論・哲学(てつがく)・名言)を効果的に使い、内容の深みを増している
・自身の経験を交えながら、抽象(ちゅうしょう)的な主張を具体化している
・構成が明確で、各段落が役割を果たしている

【考えを深めるための質問】
「自立」と「助け合い」のどちらかを選ばなければならないとしたら、あなたはどちらを選びますか? その理由も含め(ふくめ)て考えてみましょう。

内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎

字数/基準字数:1232字/800字
思考点:79点
知識点:85点
表現点:80点
経験点:88点
総合点:89点
均衡(きんこう)点:6点

 


■思考語彙 21種 22個 (種類率95%) 79点
 しかし,。しかし,。だからこそ,。例えば,あるはず,あるべき,あれば,いかざる,ざるば,たから,といえ,とおもい,と思う,と考える,ならざる,のため,は単なる,も思う,れざる,社会にとって,誰にとって,

■知識語彙 68種 106個 (種類率64%) 85点
一緒,不可能,仲間,価値,信頼,個人,全体,内部,分離,利己,前提,前述,動物,古代,困難,国家,基盤,外的,大切,学校,小学校,市民,幸福,必要,思考,想像,意見,意識,感謝,成果,成長,文化,日本,日本人,明確,最終,活動,独立,現代,現在,生活,発散,目的,相互,短所,社会,積極,空虚,立派,童話,精神,肝要,自分,自力,自立,自身,行動,親切,言葉,議論,責任,追及,選択,都市,重要,長所,関係,雰囲気,

■表現語彙 114種 206個 (種類率55%) 80点
あるはず,いま,こと,さ,それ,とおり,とき,どちら,におい,ねずみ,のため,もの,よう,イソップ,ギリシャ,グループ,ブルース,ポリス,ヨーロッパ,ライオン,リー,一緒,不可能,人,人々,仲間,価値,信頼,個人,全体,内部,分離,利己,前提,前述,力,動物,古代,困難,国家,在り方,基盤,外的,大切,学校,小学校,市民,幸福,彼ら,必要,思考,恩返し,想像,意見,意識,愛,感謝,成果,成長,文化,日,日本,日本人,明確,時,最終,木,様々,活動,独立,現代,現在,生き方,生活,発散,的,目的,相互,短所,社会,私,積極,空虚,立派,童話,精神,網,考え,肝要,自ら,自分,自力,自立,自身,行動,親切,言葉,話,誰,議論,豊か,責任,身,追及,通り,道,違い,選択,都市,重要,長所,関係,陰,雰囲気,

■経験語彙 46種 59個 (種類率78%) 88点
しまう,せる,ちぎる,つかまる,つながる,できる,といえ,とおもい,と思う,と考える,なす,のぞく,もつ,も思う,ゆく,られる,れる,わかる,乗り越える,伴う,使い分ける,分かる,助け合う,取り入れる,合う,向かう,忘れる,成り立つ,持つ,指す,捕まる,支える,欠く,欠ける,止める,歩む,死ぬ,深める,湧く,着ける,続ける,縛る,逃がす,進む,頼む,食う,

■総合点 89点

■均衡点 6点
 

成長へ
   中2 あおらえ(aorae)  2025年9月3日

  ヨーロッパでは、人間は市民として互いに対等の存在である。個人としてのその在り方が独立的で、強く頼もしい。日本では、このことはいまなお全く欠けているのである。前述のヨーロッパの長所は、同時に短所を伴っている。強い市民意識は、利己的なにおいを発散させる。外的な立派さの陰に、空虚がのぞいている。それは愛に乏しい生活である。現代の日本人が、やがて彼らの文化の長所を身に着けるときがあるにせよ、この短所までも一緒に取り入れるのではつまらない。しかし、分離することは不可能ではないか。現代日本人が、現在における自分自身の生活の基盤から、自力をもって追及していかねばならない。日本人自身の内部からの力が湧いて、なされねばならぬのである。

 個人が自立することは大切であると思う。社会は個人個人が責任を持つことを前提に成り立っているし、自立することで自分の生き方や歩みたい道を選択できる。例えば、私は学校でグループの活動をすることがしばしばある。そのようなときは、自らが積極的に意見を言うようにしている。小学校の時にはあまり意見は言わなかったが、いうことで議論が進み、全体の雰囲気も良くなり、また成果も大きくなると考えたからだ。同時に、自分の思考力を、想像力が成長し、様々な人の意見との違いも分かるようになった。さらに、自分の考えを明確にすることもできる。だからこそ、自立することは自分のためだけでなく、仲間や社会にとっても価値があるといえる。

 しかし、相互で助け合うことも大切だ。アリストテレスは「人はポリス的動物だ」といった。ポリスとは、古代ギリシャの都市国家を指す。イソップ童話には「ねずみの恩返し」という話がある。ねずみがライオンにつかまってしまったが、ライオンはねずみから頼まれたとおりにねずみを逃がす。ライオンはそれを忘れていたが、ある日ライオンが捕まった時、ライオンを縛っていた網をねずみが食いちぎり恩返しをする。ライオンはねずみに感謝する、という話だ。この話からわかるように、助け合いは単なる親切だけでなく、互いに支え合うことで困難を乗り越えられる力になる。よって、相互の助け合いは社会を豊かにし、人々の信頼関係を深める大切な行動である。助け合いの精神を持つことは、誰にとっても成長と幸福につながるのだ。

 自立すること、個人の独立が必要な時もあれば、相互で助け合うことが必要な時もある。それを使い分けることは大切であるし、どちらも欠かせないものだとおもう。しかしながら「成長し続けよ。木が成長を止めたとき、それは死んでいる。」というブルース・リーの言葉がある。その通り、自立する時には自立をし、助け合うときには助け合うことは重要だが、最終的には成長するという目的に向かって進んでゆくことが最も大切なことであるはずで、そうあるべきだとも思っている。自分の成長へとつながるように、自立をしながら助け合うことが肝要だ。