深い思考と広い視野があり、読む人に「自分はどう考えるだろう?」と問いかける力があります。今後も、日常の疑問や社会の出来事を自分の視点で考え、言葉で表現する力をどんどん伸ばし(のばし)ていってください。

<<え2025/11pみ>>

【総評】
 この意見文は、単に「知恵(ちえ)が大切」という主張にとどまらず、知識との関係性、さらには「目的意識」の重要性にまで話を展開しており、非常に高い思考力が感じられます。哲学(てつがく)者や心理学の研究、童話の例、自分の体験、そして名言と、多角的な材料を活かして論を進めていて、読み応えのある構成です。意見文としての構造も明確で、読み手にしっかり伝わる内容に仕上がっています。

【段落ごとの講評】
第1段落:知恵(ちえ)と学歴の関係性を否定する形で導入し、教育への問いやジャン・ギットンの思想を引用して、「考えること」の重要性を強調した要約となっています。

第2段落:「ブレーメンの音楽隊」を通して「協力と知恵(ちえ)の力」を伝える展開が秀逸(しゅういつ)です。物語を使いながらも、自分の主張を(じく)にブレずに語れている点が素晴らしいです。

第3段落:知識の重要性を、過去の実体験(スポーツデイ)で具体的に示しており、論理的に主張の補強ができています。「知恵(ちえ)だけでなく、知識があってこそ」という視点が説得力を高めています。

第4段落:マハトマ・ガンディーの名言を用いて、最終的な主張を「目的意識」に結びつけている構成は見事です。知恵(ちえ)も知識も目的に沿って使うことで初めて意味を持つ、という締めくくり(しめくくり)は非常に印象的で、文章全体の完成度を高めています。

【特に優れていた点】
哲学(てつがく)・心理学・文学・実体験・名言と多角的な具体例を用いた論展開
・知識と知恵(ちえ)のバランスを丁寧(ていねい)描き(えがき)つつ、より深い「目的意識」へと論点を発展させている
・構成が明確で読みやすく、説得力のある意見文に仕上がっている

【考えを深めるための質問】
 あなたが今、何かの「目的」を持って行動していることがあるとすれば、それはどんな目的で、どんな知恵(ちえ)や知識を使おうとしていますか?

内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎

字数/基準字数:1285字/1000字
思考点:92点
知識点:85点
表現点:84点
経験点:88点
総合点:94点
均衡(きんこう)点:7点

 


■思考語彙 26種 35個 (種類率74%) 92点
 確か,、考える,。しかし,。すなわち,。つまり,。例えば,。考える,「なぜ,あるから,いると,ことによって,この場合,しよう,じっくり考える,すれば,だろう,てこそ,ないかも,なければ,に考える,のため,も同様,を考える,寝るため,考えるざる,考えるため,

■知識語彙 68種 110個 (種類率62%) 85点
上海,以上,価値,保護,優勝,先生,分類,前提,努力,効率,動物,十分,協力,協調,友達,哲学,団体,場所,大人,大切,大幅,子供,学年,学校,家庭,寛容,巧妙,年報,心理,情報,意味,成人,成功,成果,手段,提案,教室,教師,教育,方法,明確,智恵,有名,椅子,泥棒,活動,無事,特有,環境,生存,疑念,発表,発見,目的,知恵,知識,童話,結果,練習,自分,行動,言葉,訓練,運動会,重要,雄鶏,音楽,驢馬,

■表現語彙 123種 199個 (種類率62%) 84点
 確か,いま,こと,この場合,ころ,さ,それ,たち,とき,どちら,のため,もの,も同様,ゆとり,よう,インター,サピエンス,ジャン,タイム,バトン,パス,フォーム,フランス,ブライアン,ブレーメン,ヘア,ホモ,リレー,上海,中,人,以上,何,価値,保護,優勝,先生,分類,前提,力,努力,効率,動物,十分,協力,協調,友達,受け渡し,哲学,団体,場所,多く,夜,大人,大切,大幅,子ども,子供,学,学年,学校,実り,家,家庭,寛容,寝るため,巧妙,年,年報,後,心理,性,情報,意味,成人,成功,成果,我々,手段,提案,教室,教師,教育,方法,明確,智恵,有名,校,椅子,泥棒,活動,無事,特有,犬,猫,環境,生存,疑念,発表,発見,目的,知恵,知識,私,童話,結果,練習,考えるため,者,自分,行動,言葉,訓練,話,誰,運動会,重要,隊,隙,雄鶏,音楽,頭,驢馬,

■経験語彙 46種 60個 (種類率77%) 88点
、考える,。考える,しれる,じっくり考える,せる,ちぢまる,ついて行く,つく,できる,に考える,られる,れる,を考える,与える,使う,使える,働かせる,働く,入る,励む,寝る,年老いる,弱る,得る,成し遂げる,戻る,持つ,探す,支える,果たす,沿う,編み出す,行う,見つける,見計らう,覚える,話す,説く,走る,追い払う,追い返す,逃げる,通う,関わる,離れる,驚く,

■総合点 94点

■均衡点 7点
 

智恵と智識
   中2 あおらえ(aorae)  2025年10月2日

  知恵があるかどうかは学歴などとはまったく関係がない。情報には疎いかもしれないのに、豊かな人生の知恵を持った人もいるし、情報にはやたら詳しいのに、全く知恵の言葉を吐かない人もいる。いまの教育は、家庭でも学校でも、十分に考える訓練をしているだろうか、子供は自分の頭でじっくり考えるためのゆとりを与えられているだろうか、という疑念が頭を離れない。フランスの哲学者・ジャン・ギットンという人は何よりも、考えることの大切さを説いた。考える訓練をしなければならないのは子どもばかりではない。教師も大人も同様である。先生が教室で話した言葉の中で子どもが成人した後も椅子までも覚えているのは、たいてい知恵に分類される言葉である。

 知恵は大切だ。2017年に発表された、ブライアン・ヘアの「心理学年報」では、我々ホモ・サピエンスの生存には、協調、寛容性などのホモ・サピエンス特有の知恵が関わっていたとしている。グリム童話には、「ブレーメンの音楽隊」という有名な話がある。年老いた驢馬と、それについて行った犬・猫・雄鶏が夜に寝るための場所を探していると、泥棒の家を発見した。泥棒たちを驚かせることに成功し、逃げて行った隙を見計らって中に入ることができ、また戻ってきた泥棒を追い返すこともできた、という話だ。驢馬など、弱っている動物もいる中で、力ではなく協力と智恵を使うことによって泥棒を追い払うことができた。このように、智恵を使うことによって大きなことでも成し遂げられる。

 確かに知恵も大切だが、知識も大切である。知恵とは、その前提となる知識があってこそ十分に働くものであるから、知識がなければ使えない。私が上海のインター校に通っていたころに、スポーツデイという、運動会があった。リレーの練習をしたときに、ただどういうフォームで走るかだけを考えていたのだが、友達であったシュロックという人が、バトンパスについて提案をした。つまり、受け渡しの練習もしよう、ということだ。その練習にも励み、バトンパスにおけるタイムが大幅にちぢまった結果、無事学年での優勝を果たすことができた。すなわち、智恵以上に、それを支える知識、この場合だとバトンパスも大切だという知識は大切である。

 知恵と知識はどちらも大切なものである。しかし、マハトマ・ガンディーの「目的を見つけよ。手段は後からついてくる。」という言葉がある。そのように、最も大切で重要なものは、智恵でも知識でもなく、何のためにそれを使うか、である。どんなに多くの知識があっても、智恵があっても、行うことが目的に沿っていなければ意味がない。例えば、環境保護団体に入っていて、知識や情報を持っていても、「なぜその活動をするのか」「誰のために行うのか」という目的を考えずに行動すれば、効率が悪く成果も十分に得られないかもしれない。また、知恵を働かせて巧妙な方法を編み出しても、目的が明確でなければ、その努力に何も実りがないかもしれない。したがって、知識や智恵は目的のために使って価値を持つものなのである。