自然を感じる
   中3 あえとく(aetoku)  2025年10月1日

 私は、夏でもできるだけエアコンを使わずに過ごすことがある。暑い日には汗が流れて不快に感じることもあるが、窓を開けて外の空気を感じながら過ごす時間は、どこか心が落ち着く。エアコンを使うと部屋を閉め切らなければならず、外の音がほとんど聞こえなくなる。室内は快適だが、まるで外の世界と切り離されてしまったような気分になる。しかし、エアコンを使わずに窓を開けてみると、涼しい風が通り抜け、遠くから鈴虫の声や子どもたちの遊ぶ声、夜の静けさの中に響く犬の遠吠えなど、さまざまな音が聞こえてくる。それらの音が季節の移り変わりを確かに感じさせてくれる。私たちの生活は、便利さと引き換えに、こうした自然の気配を失いつつあるのではないか。現代の住宅は気密性が高く、エアコンや暖房を使えば一年中ほとんど同じ温度で過ごすことができる。これは科学技術の大きな進歩であり、特に体の弱い人やお年寄りにとっては命を守る大切な道具でもある。しかし一方で、私たちは自然の変化に対して鈍感になり、季節が移ろうことを肌で感じる機会が減っているように思う。

そのための第一の方法として、「変化を楽しむ気持ち」を持つことが大切だと考える。季節が変わると、暑さや寒さといった不快さをすぐに悪いものと考えてしまいがちだ。しかし、少し見方を変えれば、それは自然が見せる表情のひとつである。春の心地よい陽気も、夏の汗ばむ暑さも、秋の涼しい風も、冬の冷たい空気も、それぞれに意味があり、私たちの感覚を豊かにしてくれる。変化を避けるのではなく、むしろその変化を受け入れ、楽しむ心の余裕を持ちたい。

第二の方法として、学校や社会の中で、もっと季節ごとの行事を大切にする文化を育てていくことも重要だと感じる。織田信長は、子供のころから野山を駆け回って、あたりの地理や自然を熟知していた。そのために、桶狭間の戦いでも、最高の場所と時刻を選べたのではないか。最近では、季節行事が形式的になったり、忙しさの中で省略されたりすることが多い。しかし、例えば学校で季節の花を植えたり、地域でお祭りや自然観察会を開いたりすることで、子どもたちが自然に触れる機会を増やすことができる。そうした経験は、単なる娯楽ではなく、自然のリズムの中で生きる感性を育む貴重な学びになる。

科学の発達は人間に快適で安全な環境をもたらした。寒さに震えることなく、暑さに苦しむことも少なくなった社会は、人間にとって幸福な進歩の結果である。しかし同時に、便利さに慣れすぎてしまうと、季節の変化を感じる心が失われ、生活がどこか単調に感じられるようになるのではないか。私たちは、技術によって自然から離れすぎないように意識する必要があると考える。

これからの時代、地球温暖化やエネルギー問題など、環境に関する課題がますます深刻になっていく。そのような時こそ、自然と調和した暮らし方を見直すことが求められている。冷暖房に頼りすぎず、季節に合わせた工夫をすることは、環境にもやさしく、自分の感性を豊かにすることにもつながるはずだ。自然の声に耳を澄ませ、季節を感じながら暮らすことこそが、心の豊かさを取り戻す第一歩なのではないか。