努力
小6 みさ(misa)
2025年10月3日
「笑う門には福来る」のであって、福が来るから笑うのではない。自分から運を寄せ付けないでおいて、「私は運が悪い」と嘆いている人は多い。何が原因で自分に世の中が辛く当たるのかが理解できないのである。しかし、社会性を欠いた毎日の生活の積み重ねでそうなっていくのである。「人生の消耗にたえられる人は、幸運の人である。」とカソンはいう。困難のない人生などない、これが人生の運を考える時の大前提である。
では、「笑う門」とはどのようにして作られるのか。それは、自分の心の持ちようと日々の習慣によって形づくられるものである。他人への思いやり、礼儀、そして感謝の気持ちを持って過ごすことで、人とのつながりが生まれ、運を引き寄せる土台ができる。たとえば、朝に自分から元気よく挨拶をする、相手の立場に立って考え、行動する、それだけでも周囲の人の心は自然と開き、良好な関係が築かれていく。逆に、無愛想で自己中心的な態度ばかり取っていれば、次第に人も運も離れていくのは当然だろう。運とは単なる偶然の産物ではなく、「因果応報」の原理の中で、自分の行動に応じてやってくるものなのである。常に前向きな心で人に接し、感謝の気持ちを持って日々を過ごすことが、「笑う門」をつくる第一歩となるのだ。
「運を引き寄せる人」とは、逆境においても希望を捨てず、前を向いて行動する人である。日本の実業家・松下幸之助の生涯は、その好例である。彼は幼いころに父の事業が失敗し、学校も満足に通えず、病弱な体を抱えて働きづめの日々を送っていた。しかし、そのような環境の中でも、自ら進んで学び、人との信頼関係を築くことに力を注ぎ続けた。その結果、パナソニックという世界的企業を創業し、日本を代表する経営者へと成長していった。「運が悪いから何もできない」と嘆くのではなく、「どうすればこの状況を活かせるか」を常に考え続ける姿勢が、彼を幸運へと導いたのである。このように、運とは外から舞い込むものではなく、自分の姿勢と行動によって生まれるものだといえる。
さらに、人格を高めることも、運を呼び寄せるためには欠かせない要素である。明治時代の教育者・新渡戸稲造は、『武士道』の中で「誠実・礼節・名誉」の心が人間の価値を高めると説いた。彼は国際連盟の事務次長として世界に日本人の精神を伝え、その誠実な人柄は多くの国際人に信頼された。人格を磨き、他者への敬意を忘れずに生きる人は、自然と人に好かれ、信頼され、その結果として思わぬ幸運に恵まれることが多い。また、「和顔愛語」で人に接し、「温故知新」の心で学び続ける人は、自分自身の人生を豊かにしながら、運も引き寄せていく。結局のところ、運とは天から与えられるものではなく、自分の努力と姿勢によって切り開かれるものである。だからこそ、人間にとって努力こそが、成功をつかむための最も確かな道なのではないだろうか。