効力感
高1 あうては(auteha)
2025年10月3日
効力感とは自分のしたいことだと思える活動や達成を選び、そこで自己向上感が実感されてはじめて獲得されるものだ。自然な生活の中で、子どもは極めて多くの望ましい特性を発達させていく。気をつけなければならないのは、親がむしろこれにブレーキをかける役をしてしまいがちなことだ。全ての躾や教育を賞罰に頼って押し通そうとすると、効力感を伸ばすことはまず無理になる。できるだけ子どもなりの知識の体系や価値観が形成され、さらにそれが自覚化されていくのを期待するようにすべきだろう。私たちは子供の効力感を潰すことは避けるべきだ。
第一の方法は様々な物事に触れる機会を増やすことだ。興味の持てる分野を見つけることで自発的に学び、成長していくことで結果として効力感を得ることができる。要するに他人が何かをやらせるのではなく、自分からやりたいと思えることを見つけるのだ。例えばさまざまな分野の図鑑や本を、本棚の目線の位置に置いたりして自然に手に取るように工夫し、紙と文字と写真を通じて子供たちが自分の世界を広げていくように仕向ける。そして広がった世界で好きな分野を見つけられるのだ。私も、歴史の雑誌がたまたま食卓に置いてあって、ページを少し開いてみたところから、歴史が好きになり、社会を好きになった。きっかけは隅々に転がっているのだろう。
第二の方法は段階を踏んで学ぶことだ。いきなり自分の身の丈に合わないことに挑戦しても挫折感を味わい、やる気をなくしてしまう。ドイツ統一の際にビスマルクは、デンマーク、オーストリア、フランス、と国力の弱い隣国から順に戦い、勝利していった。いきなり大国のフランスと戦っても順調にはいかなかっただろう。遠回りをした方が結局近道なことはざらにある。私も学校の物理の授業で先生が基礎知識をすっ飛ばしていきなり問題の解き方の解説から始めるおかげで、一学期の間はちんぷんかんだった。土台ができていないのでいくら問題を解いたところでその場しのぎにしかならず、定期テストではしっかりと赤点をとった。そこで、二学期の中間テストの直前に書店で解説書を買って読んでみたら内容が頭にスッと入り、ドミノ倒しのように今まで何を言っているのか分からなかったところも次々に理解することができた。また、段階を踏むことで達成感を得られ、やる気が起き、そして達成感を得るという好循環が生まれる。
確かに、自分の限界を知っていることも社会に出る上では必要だ。自分にできること、できないことを見分けられなければならない。他にも、大人になると自分では望まないことでもやる必要が出てくる場合がある。よってそういった社会システムに慣れておくことも大切だ。しかし、さまざまな形の粘土も同じ型に嵌めてしまえば、結局できる形は同じである。子供たちの可能性を、親は潰すのではなく伸ばすように工夫するのが大切なのだろう。