真の理解
   中3 のんの(aohita)  2025年10月3日

 子どもが動物園で動物を見てまず関心を持つのは、形や色、大きさなどの外見的な特徴であり、生態や環境に興味を持つのはもっと成長してからのこと。科学の発展もこれと同じ道筋をたどる。研究の初期段階では、対象の形態や振る舞いといった現象的側面に注目し、分類や観察が行われる。そこから経験的な規則性が見出され、「ケプラーの法則」などの経験法則が生まれた。しかし、その段階にとどまるなら単なる博物学にすぎず、自然の本質を理解するには不十分である。現象の背後にある原理を探求することが、より深い理解につながる。たとえば台風についても、形や構造を記述するだけでなく、「なぜ発生するのか」「どのようにエネルギーが生まれるのか」といった成因や作用を考えることが重要である。こうして現象から成因、そして作用へと探究を進めることが、科学の真の発展につながる。表面だけでなく、物事の本質を見抜いていきたい。



そのためにまず心がけたいのは、観察したことを自分の言葉で説明する習慣をもつことだと思う。授業で学んだ内容を休んでいた友達に説明すると、理解していたつもりの部分が意外とあやふやだったことに気づく。言葉にして伝えることで、頭の中が整理され、表面的な暗記ではなく「なぜそうなるのか」を考える力がつく。たとえば理科の実験でも、結果を見て「こうなった」で終わらせず、「なぜこの現象が起こったのか」を自分の言葉でノートにまとめるようにし、理解をしやすくなった。国語でも同じで、登場人物の気持ちや行動を説明する際に「悲しいと思っている」だけでなく、「どうして悲しいのか」「何がきっかけだったのか」を自分の表現で言い換えることで、物語の本当の意味が見えてくる。



次に大切にしたいのは、疑問を持ったらすぐに調べる、あるいは人に聞く姿勢である。わからないことをそのままにしておくと、表面だけをなぞった理解のまま終わってしまう。たとえば授業中に先生が話した言葉の意味が気になったとき、すぐに質問することや、放課後に図書館やインターネットで調べることは、本質に近づく第一歩だ。学校で行われる探求学習では、調べた内容をもとに自分なりの意見をまとめる場面が多い。その際に、ただ情報を集めるだけでなく、「なぜこの情報が必要なのか」「どんな背景があるのか」と考えるようにすれば、より深い探求につながり、成績が上がった。たとえば環境問題を調べるときに、「地球温暖化が進んでいる」ではなく、「なぜ進んでいるのか」「その原因をなくすには何ができるのか」と問いを立てることで、知識が行動に変わっていく。



確かに、物事の本質を見抜くことは簡単ではない。考えることは時間もかかり、答えがすぐに出るわけでもない。しかし、そこを避けて通れば、ただ事実を並べて満足するだけの「博物学的な理解」にとどまってしまう。疑問を持ち、それを言葉にして考え、調べ、そして説明する。この積み重ねこそが、物事の本質を見抜く力を育てる道だと思う。科学者のように現象の裏側にある仕組みを追究するような目で、日常の小さな出来事にも向き合いながら、真に理解できる人間として成長していきたい。