とても深い視点で、自分の過去と未来を見つめるすばらしい文章でした。大人顔負けの考察に感心しました。
<<え2016/260pみ>>
【総評】
「子ども時代の無邪気さ」と「孤独による自己対話」という一見対立する二つの価値を、どちらも大切だと捉え、バランスよく意見をまとめているところがとても良かったです。自分自身の体験と読書体験、そして名言の引用を通じて、自分の考えを丁寧に展開しています。とくに後半の論の深まりと、結びのメッセージ性の強さが光っています。
【段落ごとの講評】
第1段落:詩的で情緒ある描写が印象的な導入です。子どもの頃の場所や記憶を静かに振り返る要約で、読み手を自然にテーマへと引き込んでいます。
第2段落:自分の子ども時代の記憶を鮮明に描写しており、実体験を通して「子ども時代の大切さ」を論理的に主張できています。具体性と感情のバランスがとれていて説得力がありました。
第3段落:「星の王子さま」という文学作品を引用し、「孤独な時間が人を成長させる」という主張を効果的に支えています。文章の中で、物語のエピソードと自分の主張が自然に結びついており、高度な構成力を感じました。
第4段落:全体をきれいにまとめています。「ゴダードの名言」と「自作の結論」を結びつけ、自分なりの意見として読者に力強く語りかけています。テーマ全体をしっかりと総合化し、文章を締めくくっている点が秀逸です。
【特に優れていた点】
・昔話(『星の王子さま』)を効果的に引用し、意見に説得力を加えている
・情景描写と心情描写を融合させた詩的な導入が魅力的
・自分の実体験を丁寧に振り返りながら論理を展開できている
・名言を引用して主題に深みを持たせている
【考えを深めるための質問】
「子ども時代の経験」と「孤独な時間」、あなたにとってどちらがより人生に影響を与えていると感じますか?その理由も考えてみましょう。
内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎
字数/基準字数:1288字/1000字
思考点:79点
知識点:90点
表現点:94点
経験点:91点
総合点:92点
均衡点:4点
■思考語彙 21種 26個 (種類率81%) 79点
しかし,、すなわち,。しかし,。だからこそ,。例えば,いくと,いると,ことこそ,ことによって,すべき,すると,すれば,だろう,て考える,と思う,に思える,ももちろん,人にとって,大切にとって,感によって,深く考える,
■知識語彙 75種 107個 (種類率70%) 90点
一体,一生,一番,中庭,人格,人生,今日,他人,付箋,体育館,保育園,保護,列車,千種,印象,参加,友達,名古屋,名札,周囲,園児,園生,土手,基礎,場所,墜落,大人,大切,大河,奇妙,子供,孤独,少年,希望,年中,年代,年少,年長,幾分,当時,形成,影響,役割,必要,性格,成長,敷石,明日,昨日,時代,時間,根幹,汽車,満足,無邪気,物語,王子,現実,環境,目的,着実,砂漠,緑色,自分,自立,自身,行動,記憶,過程,部屋,重要,鉄路,鉄道,飛行機,魅力,
■表現語彙 146種 222個 (種類率66%) 94点
こと,さ,さま,そこ,それ,たち,つながり,とき,ところ,どちら,なじみ,ほか,もの,よう,サン,トカゲ,ナイアガラ,バルコニー,パイロット,プレゼント,ロケット,一,一つ,一体,一生,一番,世の中,中,中庭,人,人格,人生,今,今日,他人,付箋,体育館,何,保育園,保護,僕,内,列車,別,匹,区,千種,卒,印象,参加,友達,名古屋,名札,周り,周囲,喜び,園,園児,園生,土手,基礎,場所,墜落,夢,大人,大切,大河,奇妙,子ども,子供,孤独,室,小1,少年,希望,年中,年代,年少,年長,幾分,庭,式,当時,形成,影響,役割,役回り,後,心,必要,急,性格,感,成長,敷石,旅,明日,昔,星,昨日,時,時代,時間,服,根幹,桶,様,歩,水,汽車,泉,満足,滝,無邪気,父,物語,狐,王子,現実,環境,皆,目,目的,真ん中,着実,砂漠,私,緑色,者,自分,自立,自身,舎,花,行動,親,記憶,話,過程,部屋,重要,鉄路,鉄道,面持ち,飛行機,魅力,
■経験語彙 48種 64個 (種類率75%) 91点
あう,しまう,せる,たいする,て考える,できる,とる,と思う,に思える,もらう,れる,わかる,乗る,住む,出る,及ぶ,合わせる,向き合う,呼ぶ,固める,失う,失せる,持つ,捕まえる,歩く,残る,深く考える,盛り上がる,知る,蘇る,行う,見える,見つめる,見回す,見極める,見送る,覚える,貼る,走る,輝く,進める,遊ぶ,過ごす,過ごせる,違う,離れる,飾る,騒ぐ,
■総合点 92点
■均衡点 4点
昨日の夢
中2 あおらえ(aorae)
2025年10月3日
昔は細い若木だったもみの木立ががっしりと高く聳えていた。花から花へと歩き、匂いを嗅いだり、観察したり、また雲の多い空を眺めた。とある不安を感じながら、少年時代に喜びを味わったなじみ深い場所を見回す。庭、花で飾られたバルコニー、敷石が緑色になった中庭が昔とは違った面持ちで見つめてきた。花たちは魅力を幾分か失い、水桶ももう泉でなく、大河でなく、ナイアガラの滝でもなかった。歩いていくと、鉄道の土手のところで一匹のトカゲを見た。すると、少年心が急に蘇り、ついに捕まえたが、喜びも急に失せた。何をすれば良いかわからない。汽車が輝く鉄路を走って来、それを見送った後、くっきりと列車に乗って世の中へと出たいと思った。
無邪気に過ごせるような子供時代は人生において必要である。そこで周囲の環境と一体となった満足感によって、人格、性格の形成に影響が及ぶ。私は保育園の年長、小1ほどの年代の時に名古屋の千種区という区に住んでいた。その保育園の園舎内には多目的室という、当時は体育館ぐらいの広さに思えた部屋があった。卒園式はそこで行われたのだが、その時は卒園生の保護者のほか、年少、年中の園児たちも参加し、皆で盛り上がっていたことを覚えている。私ももちろん友達と騒いでいて、とても印象に残っている。その時のプレゼントとしてもらった付箋は、今でも大切にとってあるし、その時に服に貼っていた名札さえも、その付箋とともにとってある。人にとって子供時代とは、記憶から一生離れないものである。
しかし、親から自立し、孤独に一人ぽつんといながら自分自身を見つめるようなときも必要である。周りと一体となって行動していると、なかなか自分自身を深く考えることはないだろう。自分自身と向き合うことで、自分をよりよく知ることができる。例えば、サン=テグジュペリの話に「星の王子さま」という物語がある。飛行機のパイロットであった僕は、砂漠の真ん中に墜落してしまう。そこであった王子様は別の星から来ていて、ほかの星の奇妙な人たちを見てきた。その旅の過程で、自分を深く考える時間を持つことになった。「一番大切なことは、目に見えない」という狐にもであった。自分のことをよく知ることによって、他人とのつながりの中で本当に大切にすべきものを見極めることができる。
人としての根幹は子ども時代であると思うし、大人としての成長の一つは自分とより長く見つめあうことであると思う。よって無邪気に遊ぶ子供時代も、孤独になって考えるときも、どちらもたいせつである。しかし、「ロケットの父」と呼ばれるゴダードは「昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実である。」といった。昔の夢を、一歩一歩着実に進めていく、すなわち自分を成長させることができるように過ごすことが重要だ。子ども時代とはその基礎を固める役割をすると思うし、自分自身と見つめあう時間というのはそれを進めていく過程としての役回りだと思っている。だからこそ、自分をそれに合わせて成長させていくことこそが最も重要なことである。