努力
小6 みさ(misa)
2025年10月4日
「笑う門には福来る」とは、笑顔のあるところに自然と幸運が訪れるという意味のことわざである。しかし本来の意味は、「福が来るから笑う」のではなく、「笑うから福が来る」という能動的な姿勢にある。運の悪さを嘆く人は多いが、その多くは自ら運を遠ざける生活を送っていることに気づいていない。社会性を欠いた言動や、感謝の心を失った毎日の積み重ねが、人とのつながりを弱め、結果として「世の中が冷たい」と感じる状況を生み出しているのである。人生には困難がつきものであり、それをどう受け止めるかによって、運の流れは変わっていく。カソンの言葉に「人生の消耗にたえられる人は、幸運の人である」とあるように、困難を前向きに受け入れ、笑顔で乗り越える人こそが、幸運を呼び寄せることができるのだ。
では、「笑う門」とはどのようにしてつくられるのだろうか。それは、自分の心の持ち方と日々の習慣によって形づくられるものである。他人への思いやり、礼儀、感謝の気持ちを忘れずに過ごすことで、人とのつながりが生まれ、運を引き寄せる基盤ができる。たとえば、朝に自ら進んで明るく挨拶をすることや、相手の立場に立って考え行動すること、それだけでも周囲の人の心は自然と開き、良好な関係が築かれていく。逆に、無愛想で自己中心的な態度を取り続ければ、人も運も離れていくのは当然である。運とは単なる偶然の結果ではなく、「因果応報」の原理の中で、自分の行いに応じて返ってくるものなのだ。常に前向きな心を持ち、感謝を忘れずに生きることが、「笑う門」をつくる第一歩となる。
「運を引き寄せる人」とは、逆境においても希望を失わず、前を向いて努力を重ねる人である。その代表例が、日本の実業家・松下幸之助である。彼は幼少期に家業の失敗を経験し、学校にも通えず、病弱な体を抱えながら働き続けた。しかし、そのような環境の中でも学ぶことをやめず、人との信頼関係を築くことに力を注ぎ続けた。その結果、世界的企業パナソニックを創業し、日本を代表する経営者へと成長したのである。「運が悪い」と嘆くのではなく、「この状況をどう生かせるか」を常に考える姿勢こそが、彼を成功へと導いた要因であった。つまり、運とは外から舞い込むものではなく、自分の姿勢と行動によって生み出されるものなのである。
さらに、人格を高めることも、運を呼び寄せるためには欠かせない要素である。明治時代の教育者・新渡戸稲造は『武士道』の中で、「誠実・礼節・名誉」の心が人間の価値を高めると説いた。彼は国際連盟の事務次長として世界に日本人の精神を伝え、その誠実な人柄は多くの人々に信頼された。人格を磨き、他者への敬意を忘れずに生きる人は、自然と人に好かれ、信頼され、その結果として思わぬ幸運に恵まれる。また、「和顔愛語」で人に接し、「温故知新」の心で学び続ける人は、自らの人生を豊かにしながら運を引き寄せていく。結局のところ、運とは天から与えられるものではなく、自らの努力と姿勢によって切り開かれるものである。だからこそ、努力を惜しまず、笑顔を絶やさずに生きることが、幸運をつかむための最も確かな道なのである。