ほどほどが一番
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年月日
「四次元ポケット」から出てくる奇想天外な科学の小道具は、困難を解決してくれるどころか思惑に反して勝手に暴れだし思いがけない新たな問題を引き起こしてしまうのが常である。現代の日常生活は科学文明を過信するあまり、科学に対する基本的な姿勢を忘れ紗てしまっている。便利という言葉に浮かされて出来合いの科学を大量に買い込んで、これでもかという失敗を繰り返しても実に平気なのである。
私は科学文明を過信すぎることはあまり良いことではないと思う。そう考える理由は2つある。第一に科学文明を過信するとなんでも科学文明に頼ってなんでも楽な方向に進むようになって最後には自分につけが回ってきてしまうからだ。私はどちらかと言えば科学文明を過信している側の人間だと思う。最近、新しいシャープペンシルが欲しいと思ったため文房具屋に買いに行った。その時に「自動で芯が出てくるシャープペンシル!!」と書いてあるシャープペンシルを見つけた。私はそれを見て自分でボタンを押さずに芯が出てくるとはなんと楽なのだろうと思い深く考えずに買ってしまった。すると、使い始めて四か月後にシャープペンシルに異変が起きた。なんと書いているうちに本来なら芯が出てくるはずが逆に戻っていくようになったのだ。いくら直してもどうにもならなかったので使い物にならなくなってしまった。科学文明を過信し、楽な方へと進もうとしたために自分にとってあまりよくない結果になってしまったのだ。だから科学文明を過信しすぎるのは良くないと思う。
第二に科学文明を過信しすぎると人間らしさがなくなってしまうからだ。近年、地球温暖化の影響によって気温が上昇してきてしまっている。そのため、全世界でエアコンの普及率が上昇している。日本では千九六五年の二パーセントから二千十八年の九十一・二パーセントにと大きく増えていることがわかる。
私はエアコンの普及率が上がったことで夏らしい音や風景を見る機会が減ってしまったと思っている。昔は、水打ちをして涼しくしようとしたり、風鈴の音を聞くことで涼しさを感じさせたり、様々な工夫をして夏を快適に過ごそうとしていた。だが、エアコンがほぼ全世帯に普及したことで様々な工夫を必要としなくなった。だから、伝統的な音や風景が見られなくなってきたのだと思う。科学文明を過信しすぎても人間らしさを失ってしまうと感じた。
確かに人間の生活が進歩していって楽になるのもよいことだと思う。しかし、中庸は徳の至れるものなりという名言があるように科学文明を過信して頼りすぎないことが大切だと思う。