成長すること

    ()  年月日

 教師たちが、日頃相手にしているのが自分たちより年齢の低い生徒たちばかりであるためなのだろうか。教員室の空気は頽廃していた。幼い子を相手に同じことばかり教えていると自分自身の勉強は疎かになるばかりか、自分の今のありようや生き方を省みるということもしなくなる。それをしなくても教師という職業は結構つとまるからである。しかし、およそ人間として成長するためには絶えず現在の自分の生き方を恥じることが必要であろう。現在の環境に埋没することなく自分の新たな可能性を開拓しようとする気魄を持ち続けることだ。私は、自らの置かれた状態に慢心せず、常に向上心を持つべきだと思う。

 第一の方法は、自己満足で終わらないことだ。私たちはともすれば現状に満足し、新しいことに手を出すことを控える。人間は新しい物事には本能的に不安を覚えるし、何よりサボり性だからだ。私も人に強制されないと勉強に限らずなかなか自分からは行動を起こさないし、その結果何も用事がない日などは一日中家にこもってしまう。しかし、様々なことに手を出し、多様な経験をする方が人生が豊かになるのは事実である。私も、これまで色々な習い事を経て、結局一芸に秀でることはなかったがその分知識は広がったし、器用にもなったと思う。そして将来生活に余裕ができたら様々な国に旅行に行きたいと思っている。生活から建築からその国独自の自分にとって新しい様式に触れることで、厚みのある充実感を得られるし、そして自らの考え方、価値観が色々な文化に接することでどんどん奥深く、多角的になっていくと思う。つまり、今の自分から脱却し、常に新しいことにふれ、挑戦し続けることで人間は成長していくのだろう。

 第二の方法は外部との風通しを良くするように組織全体で行動することだ。ある一定の決まった顔ぶれのみで意思決定をしていてはどうしても行動に柔軟さが失われ、また客観的に自分たちの状態を把握しにくくなり、固定観念に支配されてしまうということが起きる。外部からの意見、全く新しい方向性の考え方が組織をよりよい方向性に導いていくだろう。徳川幕府も目安箱を設置して、大名旗本ではない、庶民の意見、要望を参考にすることで新しい政策を実施できた。立場の全く違う人、組織に関係のない人からの客観的、世論的な意見を取り入れることは大切だ。

 確かに現在の状態を保って安定させることは大切だ。挑戦に失敗、挫折はつきものだ。下手に危ない橋を渡るよりは何もしない方が良い場合もある。しかし、成長しない人は動く抜け殻である。新しいことに挑戦しなければ人間は成長できず、そして成長して自分にとって大きな何かを達成してこそ自らの人生に意味が与えられ、充実感を得られる。私も、転がったきた機会はみすみす逃さないようにしたい。