昔話

   中3 あききの(akikino)  2025年11月3日

 昔話の研究をすることは、現代に生きる我々に対して思いがけぬ示唆を与えてくれる。日本の昔話はよく老人が登場するという特徴がある。老人の知恵は思考の逆転の必要性を示しており、この思い切った発想こそ、我々が老人のことを考える時に必要なことではなかろうか。また、昔話には類話というものがある。類話の多様性は人生の問題の解決法を示している。人によって色々な生き方があり、それはそれなりに面白いものだ、と昔話の知恵はわれわれに語りかけてくるのである。私は昔話から生き方を学びながら生きていきたい。

 そのための方法としてまず、昔話は幼稚なものだと思わずに、そこから人生の教訓を読み取ることだ。昔話のこぶとりじいさんから考える。この話は優しいおじいさんが鬼にこぶを取ってもらい、それを真似した欲張りなおじいさんは、逆にこぶを増やされてしまう話だ。私はここから欲張らない方が良いということを学んだ。私はバトントワリングを習っている。小学四年生の冬、初めて選手権として順位がつく大会に出場した。初めてなので、誰しもが私は決勝まで残らないと思っていた。もちろん、私自身もだ。しかし、まさかの決勝進出が決まった。喜びと驚きが混じったなんとも言えない気持ちだった。私が残った理由は上位にいきたいという欲張る気持ちがなく、ただ心から楽しんで踊っていたということが審査員に伝わったことが良かったのではないかと母と考えた。決勝は少し欲が出てしまい、思うような演技にならなかったが、今の私に繋がる有益な経験だ。

 また2つ目の方法として昔話を語り継ぐことだ。福島県の浪江町で、「浪江まち物語つたえ隊」という団体がある。地域の民話や東日本大震災の記憶などを紙芝居で語り継ぐ活動をしている。この団体は、東日本大震災によって仮設住宅で暮らす浪江町の住民に地元の昔話を伝えるために始まった。震災から14年が経過し風化が懸念されているなか、このような活動は震災の被害をより明確に後の世代へ伝えていく、とても重要な役割を果たしているのではないか。私の小学校には囲炉裏が備わっている、少し昔を感じる部屋がある。一年に二回ほど放課後、その部屋で昔話を聞くという機会があった。しかし、ただ昔話の絵本を読み聞かせするのではない。本ではなく、身振り手振りで昔話を話すのだ。物語を本を通して目で認識するのではなく、耳から認識するという経験は新しく、6年ほど経ったいまでも印象にのこっている。

 確かに、古いものにとらわれず、新しいものにチャレンジしていくことも大切だ。しかし、「ほんとうの幸いは、ただ一つの正しい道をたずねつづけるところにある。」という名言があるように、昔話をしっかり読み、そこから生き方を学びながら生きていきたい。