このところ、ドストエフスキー(感)
()
年月日
昔読んだ古典を読み直すと、流行の作品にはない新しい発見や清々しさがある。流行作はその時代には多く読まれても、風俗や気質の変化とともに忘れられていくことが多い。それに対して古典は、人間がもつ矛盾した感情や本質的な性質を、時代ごとの具体的な素材を使いながら抽象的に表し続けているため、長い年月を経ても命を保つ。古典に登場する素材が現代の日常と違っていても、その違いがかえって内容の骨組みをはっきり見せ、日常の中で曖昧になりがちな思考を整えてくれる。古典を読むのは、古いからではなく、今も生きて語りかけてくる力があるからである。
古典が長い間人々に愛され続けてきたのは、それだけの魅力があるからである。坂本九さんの楽曲である「上を向いて歩こう」が今でも歌われるのも魅力があるからだ。「上を向いて歩こう」は、1963年にリリースされ日本国内はもちろん、英語タイトル「SUKIYAKI」として全米チャートで1位を獲得するなど、世界的に知られている名曲として知られている。この曲の魅力は親しみやすいメロディー、坂本九の温かい歌声に加え希望を見いだす歌詞となっており聞いている人を励ましているように聞こえることから長い間歌われているように感じる。このような曲だからこそ長い間歌われているのだ。
一方、流行のものも多くの人の気持ちを引きつける。例えば、「こぶとり爺さん」だ。ある夜、山で鬼たちの宴に迷い込んだお爺さんは、調子よく踊ったことで鬼たちに大いに気に入られ、こぶまで取ってもらうという幸運に恵まれた。この出来事が村に広まると、「鬼に人気の踊り」がたちまち話題となる。もう一人のこぶを持つ欲張りなお爺さんも、同じように踊れば自分のこぶも取ってもらえるに違いないと考える。しかし、鬼たちにとってその踊りはすでに流行りのものではなくなっており、無理に真似たお爺さんはかえってもう一つこぶを付けられてしまう。という物語だ。踊りは一部の鬼ではやるのではなく村中や人間にも広がったことから、流行のものは一部の人にとどまるのではなく多くの人たちで流行るのだ。
確かに古典にも流行のものにもそれぞれ良さがある。しかし、一番大切なことは、「問題とは、そこにあるものではなく、自分が作るものである。」という名言もあるように、二つの良さを理解したうえで本当に自分の心に響くものを見つけていくことである。