言葉の「潤滑(じゅんかつ)油」としての機能について、<<え2009/243み>>
日々言葉を交わす日常生活における親しみのある実例と、薩長同盟など交渉(こうしょう)における言葉のはたらきに目を向けた話題によって、言葉の交話機能の複雑さをより深く考えた内容になりました。
とくに、薩長同盟の実例をふりかえり【この場合は、…潤滑(じゅんかつ)油としての役割である相手に踏み(ふみ)よるための第一歩にもならなかった】と検証し、【潤滑(じゅんかつ)油としての役割を果たすには気持ちを込め(こめ)た言葉が必要なのだ。】と考えた点がすばらしいです。四段落の結びも、今回の長文で学んだことを職場体験での自分のふるまいに置き換え(おきかえ)たところが、長文理解にとどまらず自ら実践(じっせん)する力を示していて立派です。

あこうあさんの作文は、言葉の「交話機能」というテーマを深く考え、自分の体験や歴史の実例を交えてわかりやすく説明できている点がとても素晴らしいです。特に、英検の会場での緊張(きんちょう)挨拶(あいさつ)で和らいだ体験や、新しいクラスでの挨拶(あいさつ)から親友ができた話は、交話機能の大切さを具体的に示していて、読者に説得力を持って伝わります。
また、幕末の薩摩(さつま)(はん)と長州(はん)のエピソードを用いた歴史的な実例も効果的で、言葉の「潤滑(じゅんかつ)油」としての役割が十分に理解できるようになっています。
さらに、「潤滑(じゅんかつ)油としての言葉は気持ちを込める(こめる)ことが大切」という指摘(してき)や、「トランプが生きているのは実際に使われているとき」という名言の引用も、文章に深みと説得力を加えています。
最後に、職場体験に向けて自分の考えを具体的に述べているところから、学んだことを実生活に活かそうとする姿勢が感じられ、成長の意欲が伝わってきます。


項目(こうもく)評価】
体験実例がよく書けています。
昔話の実例がよく書けています。
名言がよく書けています。
複数の意見がよく書けています。
総合化の主題がよく書けています。

内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎

字数/基準字数:1336字/1000字
思考点:82点
知識点:82点
表現点:85点
経験点:80点
総合点:90点
均衡(きんこう)点:8点

 


■思考語彙 22種 25個 (種類率88%) 82点
 しかし, 確か,。しかし,。もちろん,この場合,たので,だから,だろう,と思う,ないので,なければ,みると,も思う,よるため,入らざる,入るため,出会うと,合わせるため,捨てざる,結ぶため,自分らしい,行くため,

■知識語彙 65種 107個 (種類率61%) 82点
不安,両方,中学校,中身,今年,今度,仕事,他人,以前,仲介,会場,体験,先生,先述,内容,同盟,商品,土佐,地域,坂本,大事,大切,安心,対立,対話,小学校,小学生,山口,幕末,年生,役割,必要,挨拶,整理,時間,最初,最近,有意義,本格,本題,機能,波長,潤滑,生徒,相手,笑顔,第一歩,結局,緊張,職場,職業,背中,自分,薩摩,表現,親友,言葉,試験,警戒,距離,途端,長州,関係,飲食,鹿児島,

■表現語彙 125種 220個 (種類率57%) 85点
 確か,お互い,こと,この場合,さ,そう,それ,たち,とき,もの,よう,よるため,りか,クラス,スタッフ,トランプ,プライド,プレー,マニュアル,一,不安,両方,中,中学校,中身,二つ,人,人々,今,今年,今度,仕事,他,他人,以前,仲,仲介,会場,体験,何,働き,元々,先生,先述,入るため,内容,別,前,合わせるため,同盟,商品,土佐,地域,坂本,塾,声,大事,大切,安心,対立,対話,小学校,小学生,山口,席,幕末,年生,店,役割,心,必要,思い,恐れ,挨拶,整理,方,時,時間,最初,最近,有意義,本格,本題,棚,検,機能,気持ち,油,波長,潤滑,生徒,的,相手,私,笑顔,第一歩,結ぶため,結局,緊張,職場,職業,背中,自分,英,薩摩,藩,行くため,表現,親友,言葉,試験,話,警戒,距離,近く,途端,通り,酒,長州,関係,集まり,飲食,馬,鹿児島,龍,

■経験語彙 41種 59個 (種類率69%) 80点
いらっしゃる,くれる,しまう,と思う,もらう,も思う,やわらぐ,よる,れる,伝える,使い分ける,使う,入る,出会う,助け合う,受ける,合う,合わせる,困る,弾む,持つ,捨てる,果たす,沿う,活かす,生きる,生まれる,結ぶ,縮める,聞く,至る,行う,見せる,話す,踏む,込める,返す,通う,違う,集まる,飲む,

■総合点 90点

■均衡点 8点
 

交話機能というのは
   中2 あこうあ(akoua)  2025年11月4日

 交話機能とは、ことばがもつ、人と人の気持ちを結びつける作用を指すものである。見知らぬ人に出会ったとき、私たちはなんとなく不安な気持ちになり、緊張することがある。そんなとき、思いがけなく相手が一言「こんばんは」とか「いい天気ですね」などと声をかけてくれると、急に気が楽になって思わず弾んだ声で挨拶を返してしまう人は多いと思う。このように、他人に出会うと、心の中に警戒、不安、恐れなどの気持ちが多少なりとも生まれるものである。交話機能とは人々が本格的な対話関係に入るための心の波長を合わせるために行うものである。

 確かに言葉には潤滑油としての役割があり、それを活かしていくことが大切だ。私も、最近英検を受けた。今までは自分の通っている塾で試験を受けていたので、初めて他の地域の会場に行ったとき、とても緊張していた。しかし、会場に入った途端会場にいるスタッフの方が、すぐに挨拶をしてくれ、今までの緊張が少しやわらいだ。また、中学校2年生になった今年、新しいクラスで、元々別の小学校から来て、一年生の時に違うクラスだった人と、近くの席になった時、話したことがないので、気まずさがあったが、その人と挨拶をしてみると、意外と話が合い、今ではとても仲の良い親友の一人になった。

 しかし、潤滑油としても機能だけで、中身のない話ばかりというのも困る。幕末に鹿児島の薩摩藩と、山口の長州藩は土佐藩の坂本龍馬を仲介して同盟を結んだが、同盟を結ぶことになる集まりの前、薩摩藩と長州藩は同盟を結ぶために以前にも集まっていたそうだ。しかし、薩摩藩は一向に同盟を結ぶ本題に入らず、結局酒を飲むだけで同盟を結ぶことには至らなかったという。潤滑油は、相手に踏みよるための第一歩にはなるが、この場合は、お互いのプライドを捨てずに、ただ酒を飲んだだけだから、潤滑油としての役割である相手に踏みよるための第一歩にもならなかったことだろう。私も、先述したように、英検の会場で挨拶をしてもらった時は、すごく安心したが、飲食店などで、マニュアルに沿い、商品の棚を整理しながら「いらっしゃいませー」と言われても特に何も思わない。もちろん、「いらっしゃいませー」と言われないよりかはマニュアル通りに「いらっしゃいませー」と言われる方が嬉しいが、潤滑油としての役割を果たすには気持ちを込めた言葉が必要なのだ。

 このように、言葉には、潤滑油としての働きと、内容を伝える働きの両方がある。しかし、大事なことはその二つの働きが対立しているのではなく、お互いに助け合っているということである。「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである。」という言葉もあるように、いくらいい中身を持っていても、それが使われなければ、役割を果たしたことにはならない。私も、今度職場体験で近くの小学校に行くため、しっかりと潤滑油と中身を使い分け、自分も相手の小学生や先生も緊張している最初は、軽く笑顔で挨拶をし、少しずつ距離を縮め、挨拶をするだけではなく、先生たちに、どのような思いで仕事をしているのかを聞いたり、生徒たちに自分の背中を見せることで職業体験を有意義な時間にし、自分らしさを表現したい。