人は二足歩行で


　人は二足歩行で手を解放し、その手に道具を扱う役割を持たせ、それを発達した大脳で制御するという方法によって、急速に強い優勢な動物になった。強くなったために狩る立場に立つことはあっても狩られる側にまわることはほとんどなくなった。喰われることは不幸である。それは生命というものが個体にのみ宿り、あらゆる努力を払って個体の存続をはかることが生命の第一原理である以上は当然のことだ。しかし、追われる立場で動物としての知恵をしぼって相手をまくこと、そういう時にこそ弱い動物は自分が生きているという実感を改めて感じて幸福感を味わうのかもしれない。動物の場合、我々とは死の概念自体がずいぶん違うのではないかと思うのだ。肉食獣に追われて逃げ切るか喰われるかは一つのゲームである。何度勝った者も最後には敗れる。自然界には自然死という言葉はない。老衰もない動物はみな捕食者であると同時に獲物であり、絶対の優位に立って喰うだけという動物はいない。そのことが生そのものの基本条件だから、生というものが最初から死をその中に含んでいるから、生きるものはそれを承知しているからである。死は常に目前にあり、誰もそれを忘れたふりをしたりはしない。私は、野生動物のように、死を意識して生きることは大切だと思う。

　その理由は第一に、死のような締め切りがあるからこそ物事に一生懸命に取り組むことができるからだ。例えば、テストがあるから勉強を頑張ることができるからだ。もしも、テストがなかったら勉強をあまりやらずにみんな遊んでばかりだと思う。僕は最近、新しいゲームを買ってもらった。ずっと欲しかったドンキーコングバナンザを誕生日プレゼントとして買ってもらった。でも、テストが近かったのでドンキーコングバナンザを我慢してテスト勉強をした。もしもテストがなかったら勉強をせずずっとゲームをしていただろう。

　また、第二の理由は死を意識することは、一見するとネガティブなことに思えるが、実は私たちの人生に多くのポジティブな影響をもたらすことが研究で示されている。まず、価値観の明確化だ。 短い人生で本当に大切なものは何かを考えるきっかけになる。次に、目標設定の促進だ。 残された時間を最大限に活用しようと、具体的な目標を立てやすくなる。そして、人間関係の重視だ。 大切な人との時間をより意味深く過ごそうとする意識が強まる。

　たまには緊張感なく、発達した文明で楽しく暮らすことも大切だ。でも、一生緊張感なく暮らすのも退屈である。名言「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。」という言葉があるように自分は努力を惜しまない人生を進もうと思う。